海外ネット課税強化
毎日新聞(7/10)から、
財務省が海外からインターネットで電子書籍や音楽、広告などを日本向けに配信するサービスへの消費税課税を検討している。国会での消費増税法案の成立を視野に、早ければ14年4月に予定する消費税率8%への引き上げ時から適用したい考え。国内のネット配信事業者だけが幅広く消費税を課される現状を改め、海外勢との競争条件を公平化する狙いだが、海外からの配信サービスに確実に課税する仕組み作りは難航も予想される。
消費税は国内の取引とモノの輸入が対象。欧米企業などが海外に配信サーバーを置き、日本向けに音楽や電子書籍などを配信する場合、現行法上は「国外取引」として課税されない。一方、国内事業者などが国内のサーバーから同様の配信を行なう場合は、「国内取引」で課税されている。
例えば、電子書籍を500円でネット配信する場合、国内企業は消費税分の5%を上乗せし525円で売ることになるが、海外の配信サーバーからの提供なら消費税が課税されない分、25円安い500円で販売できる。内外格差は諸費税率が8%に上がれば40円に、10%なら50円に上がり、国内勢は競争上、不利になる。
音楽のネット配信差大手の米アップルは日本国内では消費税分を上乗せして楽曲を販売。価額競争を仕掛けていないが、日本で近く電子書籍向け端末「キンドル」を発売し、電子書籍配信に参入する米アマゾン・ドット・コムは海外からの配信のメリットを生かし,販売価格を消費税分安くするとの観測も出ている。広告や電子書籍のネット配信などで年間約100億円の消費税を納めるヤフーは「1国2制度のようなもの、公正な競争ができなければ、(日本勢が)拠点を海外に移す動きも出てくる」(別所直哉・政策企画本部長)と話す。
こんな声を踏まえ、財務省は今月5日、海外からの配信への消費税課税方法を探る有識者研究会(座長=中里実東大教授)をスタート。研究会が10月にまとめる報告を踏まえ、来年の通常国会にも消費税法改正案を提出したい考えだ。
お手本は03年から海外からのネット配信に付加価値税(日本の消費税に相当)を課している欧州連合(EU)。海外事業者に配信先の国への登録を義務づけ納税させており、財務省は日本も同様の制度ができないか検討する。また、日本に拠点を持たない海外企業が納税する場合、申告手続きなどを担う「納税管理人」を届け出る義務があるが、この仕組みを海外からネット配信への課税に活用できないかも探る。
ただ、ネット取引は実態把握が難しく、課税制度を作っても海外事業者の申告漏れが多発する事態が想定される。財務省は各国との情報交換協定を活用し、納税逃れする海外事業者は本国の税務当局に強制徴収してもらうことも検討する。
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