スマホ依存 考え直そう
毎日新聞(7/31)から、
スマートフォン(多機能携帯電話、スマホ)の急速な普及で、ネット空間と常につながっている人が増えている。便利なツールだけに、ついついのめり込み、手放せなくなってしまう。夏休みを機にデジタル機器を一旦遠ざけ、つき合い方を考え直してみてはどうだろうか。
「ツイッターのフォロワー(読者)の増減に一喜一憂するのに疲れた。嘘を書いてまで維持する価値なんてない」。東京都内で働くウェブプランナーの女性(31)は昨年11月、重宝していたスマホを、意を決して解約した。
短文投稿サイトのツイッターは09年ごろに始めた。転職したばかりで心の支えが欲しかった。リアルタイムで他人とつながっていると、安心感を持てたという。
業界の内実や愚痴を「ズバズバ書いた」のが受け、フォロワーがぐんぐん増えて自信になった。仕事中でも書き込むようになり、いつの間にか投稿は一日100回に。一方で、フォロワーが減ると「何がいけなかったのか。自分はもう人気がないのか」とひどく気になった。
「『家にいると暑いな』とか『洗濯物を干さなくちゃ』のような、日常のツイートも格好悪くてできなくなった」。等身大の自分と乖離し、行ってもいない人気店の感想までツイートしてしまった。嫌気が差したのが、スマホ解約の理由だ。
ネットのマイナス面が意識され始めた米国ではデジタル機器を生活から追い出し、心の健康を取り戻そうという動きが広がっている。毒素を体内から排出する健康法になぞらえ、「デジタルデトックス*」
と呼ばれる。
* ・・ デトックス(「detox 」detoxification「解毒」の短縮形)
一部のリゾートホテルでは、チェックイン時にパソコンなどをフロントに預けると、宿泊代が割引に。日常会話でも「今からデジタルデトッックスに入るので、連絡がつきにくくなります」のように使われている。
ブランディングプロデュース会社「レバレッジ」(東京都港区)の只石社長(36)も昨年から、デジタルデトックスを習慣にしている。午前中は携帯電話を持たず、浮かんだアイデアを書く大学ノートとスケジュール帳、ペンだけを持って社外で過ごす。
6年前に起業した頃は「携帯電話が通じないのが怖く、地下鉄にも乗らなかった」という。夫婦でフランス領を食べに行っても「テーブルでノートパソコンを開いていた」と振り返る。
現在もネットを使ったコミュニケーションを拒否しているわけではなく、交流サイトのフェイスブックとツイッターには毎日書き、メルマガも週2回発行する。ただし、費やす時間は各5〜20分程度。
「ネットに頼り切っていた頃は、無意識のうちに他人のアイデアを探していた。遮断することで、自分自身にアクセスできるようになった。勝負が感性だと信じ、磨いていきます」
スマホと睨めっこしている人が、街中にも溢れている。時間を浪費した上に、身近な家族や仲間を放置しかねない。ネット上のやりとりに振り回され、精神的に不安定になることもある。
国立病院機構「久里浜医療センター」(神奈川県横須賀市)は昨年7月、全国で初めて「ネット依存治療研究部門」を設け、専門外来をスタートした。三原聡子・臨床心理士は「国際的にはまだ精神疾患と認められていないが、アルコールやギャンブルの依存症とかなり近い」と指摘。「職場でスマホをいじっても、一見して業務なのか判断できない。深刻なレベルになるまで表面化しにくい」と警告する。
企業内のメンタルヘルスを支援する「ピースマインド・イープ」(東京都中央区)は、スマホを中心にした「ネット依存」の指標を独自に設けている=左の表。依存症が疑われる場合は、▽1日の使用を1〜2時間以内などと決める、▽子どもの使用時間を制限する保護者向けタイマー機能を活用する、▽不必要な「お気に入り」は削除する──などを勧める。ネットと関係ない趣味を持つことも重要という。
副社長の市川は「スマホやネットをばっさり絶つのは難しい。成功のカギは、小さなステップを踏みながら減らしていくことです」とアドバイスする。
《時代が変ったとはいえ、1家に1台の電話さえ普及していなかった時代、或いは外回りの営業マンは会社のデスクか公衆電話が頼りの企業まわりをこなしていたが、それでも十分実績を上げられた。まして小中学生に携帯など無用のものであることに、時代のちがいは無関係だ。身近に便利な玩具を与えられれば、寝床にまで持ち込んで、下らない会話の長電話になるのが落ちだ。大人も子どもも機械を使うのではなく、機械に使われて日常を過ごしていることに気がつかない。》
| 固定リンク
最近のコメント