性感染症 正しく予防を
毎日新聞(7/2)から、
《東日本大震災の直後に流されたテレビコマーシャル、派手な物売りができないことを慮(おもんばか)ってか、五月蝿いほどに繰り返し流されたのが、親子タレントが出演していた子宮頸癌予防のためのワクチン接種の呼びかけだった。そしてその対象が12歳の女子中学生以上と聞いた。確かに幼児期から目にしている少女雑誌や女性週刊誌には性の記事が満載だ。しかし、子宮頸癌は異性との性行為がない限り基本的には感染しない性病のはずだ。いくら早めの措置とはいえ、12歳の少女にワクチンとは異常ではないのか、と疑問を呈してブログにも書いた。それ以前に乱れ切った性モラルをこそ正しく教育するべきではないか、と。》
《ワクチンの接種には異論もあって、接種時の強い痛みの副作用で失神、意識喪失など多発しており(読売新聞2010、12、28)、厚生労働省の調査でもわかったという。そのせいか、ワクチン接種を勧める鐘や太鼓を叩くような勢いのタレント母子のコマーシャルは鳴りを潜めているようだ。》
【閑話休題】
10〜20代の多くはオーラル(口唇)セックスの経験があるが、感染症予防のため必ずコンドームを使う人はわずか5%──。先月発表された「日本人の性意式・性行動に関する調査」から、性感染症に無防備な若者像が浮き彫りになった。口で性器を刺激するオーラルセックスは、クラミジア感染症などの温床とされ、専門家は感染拡大に危機感を募らせている。性感染症の実態と予防法について考えた。
《いっとき名の知られた男性タレントで、潔癖性の人物がいて「他人との握手は絶対にしたくない」というものだった。排泄時に触れる性器を触った手には触れたくないというのが理由だった。この伝(でん)でいくと、ホモや、レズでなくともキスは全体にできないことになる。》
同調査は昨年12月、厚生労働省の補助事業の一環で実施。15〜69歳の男女を対象にインターネットで調査し、8700人から回答を得た。約9割の人にセックス経験があり、10代では女性が26%と、男性の19%を上回った。過去一年間のオーラルセックスでは「毎回」と「時々」を合わせ、全体の半数近くが経験。特に多かったのは10代(男性75%、女性65%)や20代(男性58%、女性66%)の若い世代だった。
一方、オーラルセックスでコンドームを使うかを尋ねたところ、「必ず使う」はわずか5%だった。調査に当たった日本家族計画協会専務理事の北村邦夫は「アダルトビデオや漫画などでオーラルセックスが当たり前のように描かれている。口は構造的にも『第2の性器』といわれており、クラミジア、淋菌などの主要な感染経路となっている」と警告する。
北村が診察した高校2年のカップルは初体験同士。性交後、女子生徒はおりものが増えたため受診したところクラミジアが見つかり,同様に男子生徒からも見つかった。男子は以前つき合っていた彼女とオーラルセックスをしており、その際に感染した疑いがあると分かった。
若者はコンドームを避妊目的と考え、オーラルセックスでは不要と考えがち。家庭や学校でも、オーラルセックスと感染症に関する正しい情報が伝わっていないと、北村は指摘する。
性感染症の患者数は正確には把握されておらず、厚労省は法令に基づく定点医療機関から報告を求めている。クラミジアや淋菌の感染報告は10年前の半数程度に減っているが、潜在的印は多くの感染者がいるとみられ、特にクラミジア感染者は推計100万人近いともされている。
30年前から、川崎市の繁華街で性感染症専門クリニック「宮本町中央診療所」を開く尾上泰彦院長は「フェラチオを行なう性風俗店の増加とともに、咽頭を介して性感染症にかかる人が増えている」と警鐘を鳴らす。
同クリニックでは08年、女性169人(うち162人が性風俗店従事者)と男性81人に性感染症の検査をした。性器検査では「淋菌」は男性48%、女性8%、「クラミジア」は男性16%、女性34%から見つかった。咽頭検査では「淋菌」は男性22%、女性17%、「クラミジア」は男性2%、女性15%が陽性だった。性器に淋菌などを持つ人の3割近くは、喉にも菌を持っていた。また問診から、男性の8〜9割は性風俗のサービスを受けたことが感染源になっていたという。
尾上によると、特に淋菌は口から感染しやすい。殆ど症状もでないため気づかず、パートナーに感染させてしまうことが多い。クラミジアは性器感染が中心だが、口からも感染する。男性の半数に症状が出るが、女性は8割は症状が出ない。放置しておくと子宮頸管炎から卵管炎になることがあり、男性は尿道炎になることが多いという。
「口なら大丈夫だと安易に考えている人が多いが、そんなことはない。信頼関係を築いているパートナーとセックスすることが大前提。その上で、性感染症予防のためにコンドームを使ってほしい」と尾上はアドバイスする。
性感染症で性器に炎症が出ると、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)への感染リスクも高まる。不特定多数の人とセックスした場合は、早期に検査した方がいい。また新しいパートナーができた時、結婚、妊娠時などにきちんと検査し、安全を確かめることが大切だ。
女性がクラミジアに気づいていないと、出産時に子どもが感染してしまうことがある。若葉こどもクリニック(埼玉県鶴ケ島市)の山崎勉院長は「クラミジアによる新生児の結膜炎や肺炎は珍しくない」と話す。
母親がクラミジアに感染していると、新生児の半数以上が産道を通る際に気道に感染し、一部に症状が出るという。結膜炎は生後1〜2週間で、肺炎は3カ月以内に発症。肺炎になる乳児の多くは結膜炎や 鼻炎も起こしている。子どもの受診を機に自分の感染を知る母親も珍しくないという。
新生児の感染を抑えるには、出産までに夫妻ともに治療を完了することが大切だ。山崎院長は「妊婦検診時にクラミジア検査を導入してほしい」と訴えている。
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