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2012年6月15日 (金)

犯罪見逃し防止に死因究明制度が可決、成立

 毎日新聞(6/15)から、

 死因究明制度の在り方を初めて明文化した新法が15日、参議院本会議で可決、成立した。死因や事件性の有無が不明な死体について、遺族の承諾がなくても解剖できる新制度が柱。解剖率の向上や犯罪死見逃し防止など期待される。

 ◆死因究明関連法の骨子◆
  ・ 死体の死因究明と身元確認は警察の責務
  ・ 警察は死因究明のため、専門家の意見を聞いた上で
    遺族の承諾なしに死体を解剖できる
  ・ 警察は身元確認のため、医師に依頼して
    死体から骨などを採取できる

 新法は、死因究明に関する方針を示した「死因究明等の推進に関する法(推進法)」と、実務などを定めた「警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法(死因・身元調査法)」。

 当初「病死」と誤って判断された07年の大相撲時津風部屋・力士暴行死事件を機に法制化の議論が高まり、木嶋佳苗被告に1審で死刑判決が言い渡された首都圏連続不審死事件(控訴)でも遺体が解剖されず当初は事件性なしと判断された事例があった。こうしたことから民主、自民、公明3党が議員立法で法案を提出した。

 死因・身元調査法は、死体の死因究明と身元確認を警察の責務と明記。死因や事件性の有無が不明な場合、警察が医師に依頼して死体の体液や尿を採取する薬毒物検査、コンピューター断層撮影(CT)などを実施できるとした。簡易な検査は警察官も行える。

 それでも死因などが不明であれば、警察は法医学者ら専門家の意見を踏まえて判断し、死体を解剖できる。この際、事前に遺族への説明が必要だが、承諾は不要とした。現行制度は事件性が明らかな場合を除き、原則として遺族の事前承諾を得て死体の検査・解剖を行っている。死因究明に限界があり、近親者による殺人が見逃されるケースもあった。

 このほか同法には、身元確認に関する規定も盛り込まれた。警察は医師や歯科医に依頼して、骨や歯を削ってDNA鑑定に使う試料を採取できるようになる。血液の採取や爪の切除は警察官も行えるとしている。

 死因究明制度が新たに法制化された背景には、現行の解剖制度で地域間格差が生じている実情がある。解剖率低迷や犯罪死見逃しの温床ととの見方もあり、新たな解剖制度の必要性が指摘されてきた。警察庁によると、警察が昨年1年間に取り扱った死体の数は約17万体(交通事故・東日本大震災を除く)にのぼり、このうち約1万9000体が解剖された。解剖率は約11%で、英国の46%や豪州の54%と比べて低い。また、犯罪死の見逃しは98年以降、45件発覚したが、うち40件では解剖が行われていなかった。

 解剖制度は、刑事手続きとして行う「司法解剖」と、犯罪死を疑わせる状況はないものの、外見から死因を特定できない場合に行う「行政解剖」の二つ。行政解剖には遺族の同意を求める承諾解剖と、同意のいらない監察医解剖がある。しかし監察医は東京23区、横浜、名古屋、大阪、神戸の5都市にしかいない。

 全国では昨年、約1万1200件の行政解剖が実施された。このうち9割を超える1万616件が、監察医のいる5都府県に集中。さらに犯罪死見逃しの8割以上が、監察医のいない地域で起きた。

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