私大閉校 反発広がる
東京女学館大(東京都町田市)が来年度から学生募集を中止し、4年後に閉校する方針を示したことに対し、学生や保護者の間に反発が広がっている。少子化に伴い学生確保が厳しさを増し、私立大は苦しい経営を強いられている。地方に端を発した「閉校」の波が首都圏まで及んだ格好で、他大学への波及も懸念されている。
《67年前に敗戦を味わった日本に、雨後の筍のごとく増え続けた大学も、少子化とともに増え過ぎた各大学は経営難時代に突入、手を替え品を替えて学生の獲得に頭を悩ますことになる。新しい学部をつくってみたり、AO、推薦、得意科目、面接など入学試験の敷居を低くしてきた。しかし、それとともに学生の質は低下の一途をたどり、中高生レベルのまま卒業していく粗製濫造の時代を迎えているのが現状だ。それでもなお、少子化の波はとどまらず、一般企業なら疾うに倒産していてもおかしくないところまできているのだ。》
「存続」に前向きになってほしい。先月12日、東京女学館大で開かれた保護者向け説明会で、学生や保護者の不満が爆発した。出席者によると、約150人が参加し、運営する学校法人「東京女学館」の福原理事長「同大の学長を兼務)らに疑問をぶつけた。
同法人が運営する小中高校(東京都渋谷区)は名門女子校として知られ、今後も継続する。だが大学は短大を母体として02年に開校したものの、毎年定員割れが続き累積赤字は約25億円。学校側は4月21日の理事会で募集停止を決議し、24日に文部科学省に届け出た。在学生(264人)が卒業する16年3月に閉校する予定という。
文科省は「募集停止は経営判断」と方針を尊重する一方で、学校側に「閉校への具体的な計画を示すなど理解を得るように」と促した。学生、保護者と卒業生有志は5月30日、都内で「存続させる会」を結成。署名活動を進めている。こうした動きに同法人は「大学関係者を中心に説明している最中で回答を控えたい」とコメントしている。
《閉校しなければ間違いなく増え続ける累積赤字の約25億円を、どのように解消していけるのか具体的に先が見えなければ、「大学がなくなるのは困る、嫌だ」でもの申しても防ぎようはないだろう。》
文科省によると、この10年間で経営悪化を理由に閉校した4年制の私立大は、立志館大(広島県坂町)と東和大(福岡県)の2校。さらに10〜11年度にかけて、神戸ファッション造形大(兵庫県明石市)、三重中京大(三重県松坂市)、愛知新城大谷大(愛知県新城市)、聖トマス大(兵庫県尼崎市)、福岡医療福祉大(福岡県太宰府市)──の5校が学生募集を停止した。
背景には私立大数の増加がある。日本私立学校振興・共済事業団の調査によると、01年度の493校から11年度は79校増の572校となり、定員も約3万3000人となった。 東京女学館大のように短大が4年制大に改編した新設大学がほとんどで、入学者数は全体の約1%に当たる約4400人増えただけ。定員割れを起こした大学も、01年度の約3割から11年度は約4割に当たる223校に増えている。
《少子化に逆らう何らの方策もなく、よそがやるからうちもやってみよう、と真似事程度の杜撰な計画で開校してみたが、当然と言えば当然の結果が待っていただけだ。日本中にある増やし過ぎた多すぎる大学が、将棋倒し(今風に言えばドミノ倒し)のように淘汰されていくのが遅すぎるくらいだ。》
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