進む橋の老朽化
毎日新聞(4/30)から、
《首都直下型超級地震の予測から、帰宅不能者の足の確保がシミュレーションされたが、バス何台あれば何人の人が、と計算することは、コンピューターのある現在、要因や条件の数値さえインプットすれば幾通りにでもはじき出すことは可能だ。しかし、道路の陥没、橋梁の落下、ビルの倒壊、民家からの出火、発電所の破損と交通機関ストップ、電柱の倒壊など、或いは夜間に発生し、送電が不可能で上の条件下で真っ暗闇からの都心脱出は可能なんだろうか、走りたくても走れないバスは何台あっても役には立たない。》
全国の地方自治体のうち、管理する橋(長さ15メートル以上)を一度も点検したことのない市町村が、3月時点で少なくとも107あることが調査で分かった。保有する橋が比較的新しいケースもあるが、点検が遅れている理由として68%が「費用を確保できなかった」を挙げた。
橋の点検は、国土交通省が09年度に点検費用を助成する制度を導入し、全国に広がった。費用の最大55%を交付する仕組みで、着手した自治体は07年度の1割から、10年度には8割に達した。それでも多くの自治体が予算の確保に苦しんでおり、今回の調査でも、36%が「国の交付金は不十分」と答えた。
日本の橋は高度成長期の1959年に建設数が4桁を超え、これから次々と耐用年数の目安50年を迎える。3月までに点検に着手していなかった107自治体に限っても、未点検の橋計2078のうち、築40〜50年未満が382、50年以上も129あった。
米国では07年にミネソタ州の築40年になる橋が落ち、13人が死亡する事故などが起きており、日本でも問題になり始めている。
08年10月、千葉県君津市の会社社長、中村義夫(66)は、犬の散歩中に「君津新橋」(幅18メートル、長さ68メートル)の橋桁を支える鋼棒1本が切れているのを見つけた。「鉄の棒が風で揺れていて、通行人にあたったら大変だ」と市に通報した。鋼棒は管で覆われていたが、中村が発見した1本は管も外れた状態だった。市が管の中を調べると、40本の鋼棒のうち半分以上が腐食していた。市建設部の古明地(こめいじ)悠技師は「このまま腐食が進んでいたら、落橋してもおかしくなかった」と話す。
1日約7100台の車が通る君津新橋は当時、築36年。市は財源不足から、専門知識のない職員が目視するだけだった。中村は「橋ができたのは次男が生まれた年。人間もそれだけ生きれば病院に行くのに、信じられない」と驚く。
全国には長さ15メートル以上の橋が約15万5000ある。国管理分(約2割)は5年に1度点検されるが、自治体に義務はなく、今回の調査にも11市町が「今後も点検の予定はない」と答えた。
点検に着手しても、すべてを終えるには長い時間を要し、補修の必要が出てくれば多額の財政負担が生じる。多くの自治体が「橋の数は変らず、負担は重い」(奈良県生駒市)事態に直面している。
《「金がないから補修ができない」。言い訳をしている間にも橋梁の耐用年数は過ぎていく。その間に、もしもの事態が生じては、どこが責任を取ることになるのか。国なのか、自治体なのか、今にも想定外の災害が発生するような報道が続いているが、多勢の人が死んでからでは遅いだろう。それとも犠牲者が出ないと対応しないのか。》
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