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2012年3月 2日 (金)

スポーツ振興

 毎日新聞(3/2)“視点”「メダルも大事だけれど」 論説委員(落合 博) から、

 参照 「スポーツ権」とは 2011/06
    日本オリンピック強化費縮減に憤り 2009/12/

 オリンピックの金メダルも大事だけれど、生涯スポーツへの目配りが疎かになってはいませんか。スポーツ基本計画の答申案を読んでの感想だ。

 今後10年間を見据えたスポーツ推進の基本方針を示したスポーツ基本計画は具体的な数値目標として、オリンピックでの金メダル獲得数の順位を「夏季大会は5位以上、冬季大会は10位以上」と明記した。

 一方、生涯スポーツ社会の実現については、スポーツ実施率の向上を掲げながら具体的な施策や財源に乏しく、年齢や性別、障害などにかかわらず、多くの人がスポーツを楽しめる環境を実現する道はかすんでいる。

 文部科学省の今年度のスポーツ関連予算は約228億円。そのうち7割近くが競技スポーツに投入されている。メダル獲得が有望な競技を重点的に支援するマルチサポート事業は初年度(09年度)の3億円から右肩上がりで伸び、12年度予算案には27億円が盛り込まれた。有望選手を強化育成する新規事業を含めると、32億円がトップアスリートの強化に注ぎ込まれる。

 厳しい財政事情のおり、多額の税金を投入している以上、答申案が金メダル獲得数の目標を設定したのも無理からぬところがある。だが、メダル目標は本来、各競技団体に委ねるべきものではないだろうか。

 確かにサッカー・ワールドカップも含めた国際大会での日本選手の活躍に心躍らせる国民は多い。東日本大震災の後、サッカー女子日本代表が優勝したことは社会現象にもなった。

 では、彼女たちに刺激され自分もスポーツをしたいと思った人が身近な場所でスポーツを楽しめる環境は整っているのだろうか。公共のスポーツ施設は1990年をピークに減少傾向にある。また、地方公共団体のスポーツ施設の整備費も95年から半減している。お寒い状況だ。

 ある世論調査によると、6割が身近なスポーツ環境の整備を国に期待していて、トップアスリートの育成強化は2割に満たないという結果が出た。予算投入額と人々の意識が一致していない。答申案に民意が十分に反映されたとは言いがたい。

 スポーツへの潜在的な需要はマグマのようにたまっている。近年全国的な広がりを見せるランニングを例にとれば、先日の東京マラソンには定員の10倍近い28万人もの応募があった。経済波及効果もある国際大会の招致や開催に積極的になるのもいいが、一人でも多くの国民がスポーツを気軽に楽しめる機会を国が中心になって整えることもニーズに応えることだろう。

《私の見解は上の二つの「参照」で十分だ。》

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