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2012年3月20日 (火)

就職できず・早期離職

 毎日新聞(3/20)から、要約と《 》内は私見。

《2年前の就職状況のまとめで、死んだ子の年を数えるようなデータだが、どうしてこうもタイミングがずれるのだろう。これでは対策を立てるのに後手後手になるのも頷ける。》

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 10年春に学校を卒業した人のうち、就職できなかったり、就職から3年以内に離職する人の割合が、大学・専門学校生で52%、高卒で68%(いずれも中退者を含む)に上ることが、内閣府が19日に公表した推計で分かった。政府は、若者の雇用が予想以上に悪化しているとして、「ミスマッチ(求職者と雇用者の意識の違い)」対策などを急ぐため、有識者による組織を設置し、6月をめどに就職支援の拡充策をまとめる。

 推計は、全国すべての学校の就職状況をまとめた文部科学省の統計や雇用保険の加入状況を基に初めて算出した。厚生労働省と文科省が10年5月に発表した同年春卒業者の就職内定率は、大卒91・8%、専門学校卒87・4%、高卒93・9%、両省が、全国の学校の一部を抽出して調査。今回の推計は調査範囲が広く、早期離職(就職から3年以内に退職)の影響なども加味しており、若年雇用の実態をより正確に反映していると言えそうだ。

 推計によると、大学・専門学校卒では、大学院などへの進学を除いた77万6000人のうち、約7割の56万9000人が10年春に就職した。しかし、このうち19万9000人が3年以内に離職。卒業後、無職・アルバイトなどの人(14万人)と、同年春卒業予定で中退(6万7000人)を加えると、無職か安定した職に就いていないとみられる人は40万6000人に上り、全体の52%を占める。

 また、高卒(115万人)で進学しなかった35万人のうち、18万6000人は就職したものの、7万5000人が離職。継続して雇用されている人は11万1000人と、全体の32%にとどまる。卒業後ずっと無職かアルバイトなどで生計を立てている人が10万7000人おり、中退も含めて全体の68%が正規の雇用ではないようだ。中卒で進学しなかった1万9000人のうち、就職できたのは5000人。しかし、うち3000人が離職したため、安定した職を得られていない人は89%に上ると推計した。

 推計は19日、野田首相が主宰する「雇用戦略対話」で報告された。首相は「(現行の)制度を名前を変えただけではダメだ」と述べ、若年雇用対策の練り直しを指示した。

 内閣府は、学生が自らの適性や就きたい職業を十分に検討しないまま就職しているなどの課題を指摘した。学生の大企業志向が強いため、採用意欲が旺盛な中小企業との「ミスマッチ」が生じていることが、一因としている。

《就職しても3年そこそこで逃げ出す現象は以前から問題になっていた。遅刻して叱られると、翌日にはもう出社しない。メールで知らせてきてお終いだ。会社によっては朝寝坊の社員にはわざわざモーニングコールの電話を入れてやる。己自身を分かっていないから、適性の何かが把握できないで適当に職種を選んだ結果「おれに、わたしには合っていない」とさっさと辞めていく。》

 就職難の背景には、企業が新人教育の余裕を失い、「即戦力」重視になっていることや、学生の就職希望が大企業に集中し、人手不足の中堅・中小企業に人材が集まらない雇用の「ミスマッチ(食い違い)」がある。若者が満足に仕事に就けず、経験を重ねられない現場は、日本経済の新たな不安定要因となりつつあるようだ。

 「予定の定員に達しなくても、希望するレベルの学生がいなくぇれば採用を打ち切る」『厳選採用』がここ数年、強まっている」。明治大就職キャリア支援部の担当者はそう語る。

 明治大は11年春卒の就職内定率97%と「就職に強い大学」として知られる。3年時の就職希望先調査では有名企業ばかりに関心が集まるため、成長が期待できる中堅・中小企業や、企業間取引が主力のメーカーなどにも目を向けるよう指導する。企業の協力も得て、卒業間際まで面接などの機会を提供する努力をしているが、内定まで漕ぎつけるのは年々厳しくなっている。

 新卒者の雇用環境が悪化したのは、企業に人材育成の余裕がなくなっているのに加え、海外進出が進んだ大企業が外国人採用を加速させているためだ。大手機器メーカーの担当者は「コスト競争が激しくなり、簡単な作業の外注が増えた結果、新人に相応しい作業が減った」と指摘する。他社で経験を積んだ人材を採用する方が「安上がり」のため、「企業は新卒採用を抑制し、中途採用を増やす傾向がある」(アナリスト)。就職しても、事前の希望にそぐわず不満があったり、管理職が多忙で若干社員の面倒を見切れなくなっていることが、早期離職に拍車をかけている。

 経済同友会は2月、新卒採用に関する意見書をまとめ、「大規模なミスマッチは構造的な問題で、放置する訳にはいかない」と強い危機感を示した。伊藤忠経済研究所の三輪所長は「退職への抵抗がなくなり、より良い条件を求めて、求職者は人気企業に集中する。企業の二極化が深刻化している」と指摘する。

  古川・国家戦略・経済財政担当相は「若者が安定した職に就けないと結婚して家庭を持つことが難しくなり、少子化も進む。蓄えを持てずに高齢期を迎えることになる」と指摘、今年6月にまとめる日本再生戦略に雇用対策を盛り込む方針だ。

 しかし、従来通りの政策で効果を上げるのは難しそうだ。さらに、年金の支給開始年齢引き上げに合わせて65歳までの再雇用義務づけを進めるなど、若年層と高齢層両にらみの雇用政策を迫られていることも、対策を難しくしている。

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