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2012年3月24日 (土)

孤立死

 毎日新聞(3/22)“社説”から、

 《このところ人知れず、誰にも看取られずにひっそりと死んでゆく「孤独死」に続いて「孤立死」と呼ばれる人生の終末を終える出来ごとが続いている。》

 札幌市や東京都立川市、横浜市などで「孤立死」が相次いでいる。認知症や障害のある人が同居する家族の死によって生活の支えが絶たれ、食べ物や暖を取ることができずに衰弱するという痛ましさだ。死後しばらくたってから見つかるケースばかりである。都市部の高齢化はこれからが本番だ。社会的孤立、生活苦からその家族を守る手だてを早急に用意しなければならない。

 札幌市のマンションでは姉(42)と知的障害のある妹(40)が死亡しているのが約1カ月後に見つかった。姉が病死した後、妹は誰にも救いを求められず凍死したと見られている。立川市のマンションでは母(45)の死後、知的障害の次男(4)が衰弱して死亡、同市の都営住宅では認知症の母(95)と娘(63)と見られる2人の遺体が見つかった。いずれも死後約1〜2カ月が過ぎていた。横浜市でも母(77)と障害のある息子(44)が死亡しているのが発見された。

 これらに共通するのは
 ① 都市部の集合住宅などで起きている
 ② 高齢者・障害者が介護する家族と2人で暮らしている
 ③ 公的福祉サービスや生活保護を受けていない
 ④ 近隣の人たちとの交流があまりない ───
などである。このような家族は、都会ではごくありふれている。たまたま今は平穏無事に暮らしているだけであって、介護する家族が病気や事故に遭ったら、誰にも気づかれずに部屋の中で衰弱死しかねない人はいくらでもいるのだ。

 今、猛烈な勢いで高齢化が進んでいるのは首都圏、大阪、名古屋、福岡、札幌などの都市部である。隣近所のつながりが薄く、家族内の支え合いの機能自体が弱くなっている。東京都内の1世帯当りの平均人数は1・99人なのだ。

 ガスや電気が料金滞納で止まる、郵便物がたまる、自治会費が集金できないなど手掛かりはあった。市職員に不安を相談していたケースもある。だが、プライバシーに踏み込むことへの遠慮から救いの手が届かなかった。行政の怠慢は批判されるべきだが、それぞれの地域で自主的に対策を練ることも必要だ。

《子育てでも地域で育てようなど掛け声だけははあるが、何をどうすることが地域の子育てなのかは決めようもないのが実情だ。また、向こう3軒両隣は戦時中の助け合い精神だが、強制的であったとしても、国民を巻き込んでの戦争という一大事に立ち向かうからこそ生まれた意思疎通の手だてだった。しかし、精神的拠り所のない現在、とくに無関心層の多い都市部では、仕事、仕事、苦しい、苦しいを合い言葉のように他人事には目もくれず、触らぬ神に祟りなしで世事には吾関せずを通し、隣同士の挨拶がない事も珍しいことではない。また、新しく引っ越してきても、出て行くときも挨拶もない。死とは表裏一体の新しい命も、何時の頃からかのベランダで干される赤児の衣類でその誕生を知る。このような人間関係の中では静かに息を引き取る人がいても、気づかないのではなく、気にもしないのが今の都会人の常だろう。このように心の冷たい世の中に、温かい灯をともすのは並大抵のことではない。》

 介護保険や障害者福祉サービスは少しずつ充実してきたが、ホームヘルプや日中活動など「点」の支援に比べ、地域で暮らす高齢者や障害者の生活を「面」で支えるグループホームはまだまだ足りない。地域から反対される、防災や建築の規制が厳しすぎる、運営費の単価が低くスタッフが集まらない、などが原因だ。生活苦や病弱の介護者と暮らす高齢者・障害者を家族ごと支える福祉サービスも必要だ。孤立死はいつ、どこで起きてもおかしくはないのだ。

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