2児餓死 母に懲役30年
毎日新聞(3/17)から、
大阪市西区のマンションに3歳の長女と1歳の長男を閉じ込め餓死させたとして、殺人罪に問われた母親の下村早苗被告(24)に対する裁判員裁判の判決が16日、大阪地裁であった。西田裁判長は下村被告に殺意があったと認定し「絶望の中、徐々に衰弱して命を絶たれた子どもたちの苦しみは想像を絶する。むごいの一言に尽きる」と述べ、有期懲役では最高刑の懲役30年(求刑・無期懲役)を言い渡した。
下村被告は殺意を否認したが、西田裁判長は「(自宅で2人の姿を最後に見た)10年6月9日の時点で、2人の子どもが相当衰弱して生命の危険性が生じていることを被告も認識していた」と指摘。その後、被告が2人に多少の飲食物を与えただけで約50日間も外出を続けたことから「何ら命を救うための手だてを講じることなく放置した」と述べ、被告の主張を退けた。
また、ゴミと汚物があふれた部屋で迎えた2人の最期に触れ「これに匹敵する苦しみはない。その最中、複数の男性と遊興に耽るなど、被告の行動は非難に値する」と指弾した。
西田裁判長は、周囲の援助を受けていなかった下村被告の境遇に「仕事と育児に限界を覚え、孤立感を強めており、同情の余地がある」と一定の理解を示した。そして最後に「社会全般が児童虐待防止に一層努め、子育てに苦しむ親に協力することを願う」と言及した。
児童虐待問題に詳しい津崎哲郎・花園大特任教授(児童福祉論)の話 「懲役30年という判断は重い。母親一人に責任を課している印象がある。虐待防止には、放置した周囲や、踏み込めなかった児童相談所など、事件に至った複合的要因への問いかけが必要だった。
NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ・関西」の大森順子事務局長の話 「一歩間違えば、自分も下村被告のようになっていた」という声は多くのシングルマザーから聞いた。そうした親が子を傷つけないためには、助けを求められる複数の「回路」を持つことが大事。鳴き声が聞こえたという通報の際、近所の人が見に行くなど、地域の人材活用が必要と痛感した。
《判決によると、被告は10年6月9日、2児を自宅の居間に粘着テープを貼り、玄関に鍵をかけて閉じ込めたまま外出し、7月30日、被告の勤務先の風俗店の従業員が部屋を訪ね、異臭に気づき通報するまでの間放置したままにして2人を餓死させたものだ。被告は自らが招いた浮気が原因の離婚(2009年5月)をしており、シングルマザーとして2人を育てていた。この頃からホストクラブに通いつめ、子どもの面倒を見なくなっていった。子どもたちはゴミの散らかる中、入浴できない身体を糞尿まみれで発見された。》
《実は、被告は餓死した子どもたちが発見される前の29日、自宅に戻っているのだ。その時、子どもの変わり果てた姿を目撃しながら放置して逃げ出しているのだ。自らは遊興三昧で過ごした50日間の放置していた結果を確認に戻っているとも思える行動だ。そして、育児ストレスや子育ての悩みなどから逃げ出したかったなどと供述している。》
《また、「殺意はなかった」ということだが、自らが食事の準備もできない子を50日もの間飲まず食わずの環境に置いて、死なないとでも思っていたのだろうか。餓死させるために帰宅しなかったとしか思えない。》
《得てしてシングルマザーは同情を買いやすいが、下村被告の場合、シングルマザーになった元々が、自ら発した問題からであり、己が招いて作った環境だ。露ほどの同情を寄せる必要もない。幼少時代からの辛かった家庭環境を織りまぜ、説き起こして弁明しようとする弁護士の弁舌も、殺人罪に値する下村被告を弁護するに値するものではない。》
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