日本語は今、乱れているか
毎日新聞(1/14)から、
《子ども向けの『学ぶ,育てる』欄に取り上げられた内容だが、多くの人が“関心がある”と答える言葉の問題だ。同様の内容は、これまでしばしばブログでも取り上げたテーマでもある。特に最近の若者たちが使う“やばい”は本来は危ない、不都合など、具合の悪いさまなどを意味する形容動詞「やば」を形容詞化した語で、元々は盗人や香具師などの世界で使われていた隠語だった。それを甘いものや美味いものを口にした途端にお互いが顔を見つめ合って、「これ、やばい、やばくない?」と嬉しそうな表情で言葉を掛け合う男女の集まりを良く見る。私たち世代には何が言いたいのかさっぱり理解できないことなのだ。》
おうちの人や学校の先生から「そんな日本語はないよ」「正しい日本語を使いなさい」と言われた経験のある人がいると思います。では、今、日本語は乱れているのでしょうか。と漢字にはふりがながつけられた前書きで始められている。
2011年の新語・流行語大賞のトップテンに「どや顔」が選ばれました。どうだ、すごいだろう、という自慢げな顔のことをいい、お笑い芸人たちが使ってはやりました。「どうだ」を関西弁の「どや」にしたことが、流行した理由の一つとも言われます。
新しい言葉や、流行語が注目される一方で、日本語の本来の意味や使い方からズレた「言葉の乱れ」にも最近は関心が高いようです。テレビでは難しい漢字の読み方や意味をクイズ形式で答えさせる番組が多い。また文化庁では毎年「国語に関する世論調査」をして、日本人の国語に関する考え方や理解の仕方を調べている。10年度調査では8割以上の人が「言葉に関心がある」と答えていましたが、関心が高ければ、それだけ正しく使う人が多いかというと、そうとも言えない。
例えば「号泣する」とく言葉を、本来の意味とされる「大声を上げてなくこと」と答えた人は34%で、48%の人が「激しく泣くこと」と答えました。また最近、話し言葉でよく耳にする「寒っ」「すごっ」という言い方は、それぞれ85%、77%の人が「気にならない」と答えている。「おお、さむ」というような使い方は江戸時代からあるけれど、「寒っ」というように「っ」が入るのは、やはり最近のテレビや漫画の影響が大きいと思われる。
《清少納言の「枕草子」にも当時の若者の言葉の乱れに関する記述(第一八六、及び第二四四段)があるそうだから、現代各世代に広がっている「ら」抜き言葉などは驚くには当たらないことかもしれない。》
同じ調査で「雨模様」の意味をたずねたところ、本来の意味とされる「雨が降りそうな様子」を選んだのは43%で、「小雨が降ったたり止んだりしている様子」が48%だった。これを年齢別にみると、16〜19歳のグループは6割以上の人が本来の使い方を選んだが、30〜50代ではそうした人の割合が少なく、特に40代のグループでは、なんと3割を下回ってしまった。大人が10代の若者に「言葉が乱れている」とは、ちょっと言いにくいことだ。
中には、本来の使い方ではないものが正式なものに取って代わった例もある。例えば、野球でA選手が1人で打って守って大活躍した時「A選手の独壇場(どくだんじょう)」というが、本来は「独擅場(どくせんじょう)」が正式な言い方だった。手へんの「擅」の字を、土へんの「壇」に読み間違ったためにできた言葉といわれている。意味を考えたら「独(ひとり)擅(自分の思うままにやる)場(ばしょ」」が正式だが、今では新聞も含めて、普通に「独壇場」を使う人が多い。
「言葉は生き物」などといわれるが、まるで生き物のように成長したり、衰えたりしながら、長い歴史の中で変化することがある。最初は「乱れ」であったとしても、長い間、多くの人が使ううちに、それが定着してしまう、そんな言葉もある。「変化」なのか、それとも「乱れ」なのかを決めるのは、「時間」のようにも思える。でも若者たちには、あくまでも元となる本来の意味や、正しい使い方に興味を持ち続けてほしいと思う。日本語が「乱れ」ることなく、いつまでも、伝えたいことがきちんと正しく伝わるためにも。
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