スマホは盗撮を助長させるのか
毎日新聞(1/25)から、
スマートフォン(多機能携帯電話、スマホ)のシャッター音を消す機能が使われた盗撮事件が相次いでいる。急速に普及するスマホは、次々に開発されるアプリケーションソフト(アプリ)を利用者がダウンロードして追加できることが魅力の一つだが、多様さが悪用された形だ。スマホ端末や基本ソフト(OS)を提供している米アップルや米グーグルは「盗撮目的のアプリではない」と静観するが、捜査現場からは「犯罪を助長している」という指摘も出ている。
「他人に気づかれないから」。昨年7月12日朝、JR三鷹駅(東京都三鷹市)の構内で女子高生(18)のスカート内をスマホでシャッター音を消して盗撮したとして警視庁に都迷惑防止条例違反容疑で逮捕された会社員(29)は、こう供述したという。男は約2カ月前、シャッター音を消すアプリをダウンドード。警視庁が男のスマホを調べると、盗撮したとみられる約100人分の画像が残っていた。
警視庁によると、迷惑防止条例違反容疑で摘発した全国の盗撮事件は、06年の1068件から10年には1702件に増えた。スマホの利用者増加が背景にあるとみられ、警視庁が昨年摘発した257人のうちスマホ利用は56人。このうち少なくとも8人が消音アプリを持っていたという。
日本ではそもそも盗撮事件が多いとされ、携帯電話各社は自主的にシャッター音が出るようにしている。しかし、スマホでは個人が自由に機能を変えられ、無音化アプリもインターネットを通じて100〜200円程度で簡単に購入できる。「静かに撮影したい」という需要もあり、数年前から次々と販売されている。
シャッター音がないと、被害者は気づくことが難しい。被写体をディスプレーに表示させずに撮影できるアプリまで登場した。捜査幹部は「技術の進歩の裏側で、盗撮の摘発は難しくなる一方だ。犯罪に使われる可能性があるアプリは規制も必要ではないか」と話す。
しかし、アプリ自体を規制する法令はない。カメラアプリを開発した川崎市の40代男性は、「赤ちゃんやペットの寝顔を撮りたい時など音を消したい場面は多い」と理由を説明。提供開始した昨年3月以降、6万5000人以上がダウンロードしたといい、「盗撮は全く想定していない。何に使うかは利用者次第だ」と話す。
「iPhone(アイフォーン)」を手がけるアップルジャパンは「アプリは違法性があれば発売されない。シャッター音を消すアプリも全て犯罪に使われるわけではない」とし、OSの「アンドロイド」を提供するグーグル日本法人も「アプリは全てチェックして利用者に悪影響を与えるようなものは削除質得る」としている。
《「何に使うかは利用者次第」は如何にもアメリカ的発想だ。アメリカは21世紀になっても開拓時代のままに拳銃を所持することを認める憲法に保護され、毎年のように拳銃乱射事件が発生しても、「銃が悪いのではない」という論理で押し通す拳銃社会の民主主義が成り立っているのだ。まさに消音アプリを備えたアイフォーンも同様だ。毎日紙に女性読者からの警鐘の投稿もあったように、女子高生の猥褻まがいの服装など、盗撮さえしなければ「どうぞご覧下さい」と誇りでもするように、無防備なスタイルで、街なかを歩き、好色な男の目の前の階段を上り下りする。盗撮する出歯亀が悪いのは重々分かってはいても、劣情を刺激される男の興奮には同情する面もある。こうなれば昔の女学生のように冬はコートを羽織り、夏もスカートは長めにするしか防ぎようはないだろう、と思う。》
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