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2011年12月16日 (金)

連続監禁殺人の緒方純子被告 無期確定へ

 毎日新聞(12/15)から、
 《二人の幼い子(甥と姪)を殺しても、やはり女には優しい司法ということか。殺した女が事件の首謀者の男から逃れようのない虐待下で指示されて人を殺した場合、殺人の罪以上に、虐待下にあったことが情状酌量としての比重が重く見られたことになる。DV同様に虐待は女の強い味方となる。》

 7人が死亡した北九州市の連続監禁殺人事件で殺人罪などに問われた緒方純子被告(49)に対し、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は12日付で、検察の上告を棄却する決定を出した。首謀者の虐待による支配があったとして1審の死刑を破棄し、無期懲役とした2審・福岡高裁判決(07年9月)が確定する。共謀の松永太被告(50)は同じ小法廷が同日、1、2審の死刑を維持する判決を言い渡した。

 無期懲役維持の判断は裁判官5人中4人の多数意見。

 小法廷は松永被告を事件の首謀者として上で、緒方被告について「松永被告の指示とはいえ殺害実行など重要な役割を果たした」と認定。その一方で、「異常な暴行、虐待を長期間繰り返し加えられ、指示に従わないことが難しい心理状態の下、松永被告に追従して犯行に加担した」とも指摘。捜査段階での自白が真相解明につながった点も踏まえ、「極刑に処するほかないとは断定し難い」と結論づけた。

 横田尤孝裁判官は反対意見で「抵抗する力も言葉も持たない5歳の甥と10歳の姪の殺害を実行した。百歩譲って諸事情を全て被告に有利に考えても、他に例を見ない凶悪重大性にかんがみれば極刑で望む他ない」と述べた。

《4対1の少数意見だが、横田が検察官出身だからではない。事件発生から10年近い年月が流れ、当時の生々しい残虐さの印象は徐々に薄れた。その間、世の中ではDVだ、虐待だと問題が多発することになり、世論の関心もそちらに吸い寄せられていった。しかし、横田は事件の本質を見失わず裁いただけのことだ。》

 1審・福岡地裁小倉支部判決(05年9月)は6件の殺人と1件の傷害致死を認定し、「犯罪史上、まれに見る冷酷、残忍で凶悪な事件」として両被告を死刑とした。

 2審・福岡高裁判決は、精神医学者と家庭内暴力被害の支援者の証人尋問も行ない、緒方被告を「松永被告の虐待で正常な判断力が低下し、追従的に関与した」と減刑。松永被告の死刑は維持した。

〖解説〗
 最高裁の判断は、松永、緒方両被告の「支配・被支配関係」に着目し、松永被告を死刑、緒方被告を無期懲役に減刑するという考えを維持した。最高裁が83年に示した死刑適用基準(永山基準)に照らしても、7人もの犠牲者を生んだ被告の死刑回避は極めて異例だが、共犯者による壮絶な虐待という特殊な背景事情を最大限酌んだ結果と言える。

 しかし、決定からは、第1小法廷で激論が展開された経緯がうかがえる。弁護士出身の宮川裁判長は補足意見で「本件は不可解・不条理な緒方被告の心と行動の闇を見つめて解明し、量刑を検討しなければならない」として、「精神医学の見地からの判断を踏まえた2審を尊重したい」と述べた。これに対し横田裁判官は「多数人殺害事件の刑を無期懲役にとどめることは、罪刑の均衡を失する」と強く反論した。

(中略)

 「被害者数と量刑」を巡る論議には一定の相場はあっても明確な着地点はない。「指示に従わないことが難しい心理状態」で加担した場合は極刑回避もあり得るとした今回の判断は、市民が参加する裁判員制度下の死刑選択論議にも影響を与えるだろう。

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