暴力団 規制逃れに躍起
毎日新聞(12/2)から、
10月に東京都と沖縄県で暴力団排除条例が施行され、全国で暴排条例が出揃ったのを受け、主要な指定暴力団が規制逃れに躍起になっている。会議での弁当の出前を中止したり、破門状を送る際に印刷や配達業者を使わずにファックスに切り替えた組があるほか、取り締りを免れるためのマニュアルも作られているといい、警察当局が警戒を強めている。
《これからは警察の取締りが一層困難になることが予想される。相手は取締りの網の目を逃れるために、姿を変え形を変えて目立たないように深く潜行し、これまでよりも一層危険なものに変貌することになるだろう。あるいは逆に大して効き目はないものかも知れない。東京都と沖縄が全国でも最も遅れていたというが、平成22年4月1日に施行されて先行しているはずの福岡県などでは未だに全国でも指折りの物騒な県だ。》
捜査関係者によると、破門状などの種類をファックスなどで送るように改めたのは、国内最大の指定暴力団山口組(本部・神戸市)。依頼先の印刷業者などが暴力団に利益を供与する「密接交際費」と判断される可能性を考慮したとみられる。中元・歳暮を取りやめる話も出ているという。
住吉会(東京都港区)は、埼玉県内の組施設で定期的に開いている幹部の会合で、昼食の注文を中止した。稲川会(同)は葬儀などの行事の場所を民間の会場ではなく、神奈川県内の組施設に切り替えた。仕出しや宴会場の提供業者が密接交際者とされることを避けようとしたとみられる。稲川会は印刷業者への組名入りの名刺の発注も取りやめるという。
松葉会(東京都台東区)の定例会などでも、組員が自分たちで食事や酒を用意。飲食中は若手組員の妻や交際相手、行きつけの店のホステスを動員して相手をさせているという。
密接交際者は、暴力団の活動を助長したり暴力団の威力を利用する目的で組員らに利益供与する事業者など。都条例などでは、そうした違法行為が発覚すれば公安委員会からやめるように勧告され、是正されなければ事業者名を公表される。利益供与を受けた暴力団員側も、勧告や公表の対象となる。
一方、条例への対抗策を練る動きも。山口組は毎週、神戸市の総本部に「直参」と呼ばれる2次団体の組長らが集まり、条例の解釈や警察の取締りの動きについて勉強会を開催。住吉会も条例対策のマニュアルを作り、組員らに配っているという。
捜査関係者は「付き合いのある業者が条例に抵触しないように工夫するなど、暴力団側の警戒感が表れている。今後も悪質な業者の指導や摘発を進め、暴力団の資金源を遮断したい」と話している。
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