続 女性宮家
毎日新聞(11/26)「社説」から、要約と《》内は私見
《30日の朝刊に、秋篠宮の「天皇の公務に定年必要」の記事が載っている。兄皇太子を差し置いての発言には差出がましい気もする。しかしまあ、戦後の「開かれた皇室」については、一般国民も口が挟めるようになったことでもあるから、まあいいか。》
皇族減少の懸念から「女性宮家」などが検討されようとしている。女性皇族が結婚後も皇族にとどまり、数を維持しようというものだ。積年の課題である皇位継承安定に密接に関わっている。広く、建設的な論議を期待したい。
藤村官房長官によると、宮内庁羽毛田長官が先月、野田首相に対し「女性皇族が結婚に近い年齢になり、皇室の活動に緊急性の高い課題」と現況を伝えたという。
具体的動きはまだだが、こうした制度見直しについて藤村官房長官は記者会見で「国民各層の議論を十分踏まえて検討したい」と語った。
現在皇室は天皇陛下と22人の皇族から成り、8人の未婚女性のうち、6人が成人している。皇室の基本を定める皇室典範では、女性は皇族以外と結婚した場合は皇籍離脱となり、皇族ではなくなる。
一方、皇位継承資格者は「男系男子」と定められ、現在その順位は皇太子、弟の秋篠宮、その長男の悠仁へと続く。天皇陛下の孫の世代では悠仁だけだ。
現行制度のままでは、将来永きに亙る継承は不安定に成らざるを得ない。そうした中で、女性を皇族にとどめる意見は出ていた。
自民党政権時の小泉首相は安定的な継承へ道筋をつけるため私的諮問機関の有識者会議を設けた。05年11月、会議は「男系男子の皇位継承維持は極めて困難」としたうえで、女系・女性天皇を容認し「長子優先」「女性皇族は結婚後も皇族にとどまる」などとする報告を出した。
《今年10月の英連邦首脳会議では、英国に300年続いた男子優先の王位継承の規定を改正し、男女平等の精神から、長子優先とする法改正に合意している。日本では、先の小泉たちの有識者会議の合意は、英国の先をいくもので、結論としてもいいと考える。勿論、女性天皇容認だ。》
そして皇室典範改正案が国会に提出されるはずだったが、異論《例えばアル中三笠宮殿下の》も強く、06年9月、紀子さんが男子を出産したことで議論は事実上棚上げになっていた。
「女性宮家」は皇族の数を維持するとともに皇位継承の資格者を広げる可能性がある。もちろん短兵急に決めることはできない。国民に広く開かれた論議と理解が大切だ。
戦後、象徴天皇制は「開かれた皇室」「国民とともにある皇室」という理念で理解され、親しまれてきた。長い歴史に培われた伝統を守ることと、時代とともに新しいかたちも取り入れていくことは、決して矛盾しない。
天皇陛下は即位以来、皇后とともに積極的に国民との交流を求め、大災害被災地を回り直接に励まされた。国内外の戦績・戦災地への慰霊訪問も平成の新しい皇室のあり方を感じさせるものだ。こうした中で、将来に向かい、安定的な皇位継承を率直に論じ合うことはむしろ理念に叶う。
それは「全か無か」のような論議ではない。さまざまな考え方や案がある。6年前の有識者会議の報告も踏まえ、論議を成熟させよう。
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