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2011年11月 6日 (日)

アスピリン 癌の予防効果に注目

 どういうわけか子どもの頃の我が家には、アスピリンが常備されていたようだ。当時のそれは、瓶入りの粉末で、雲母を砕いたようなキラキラと光る状態になっていた。それを耳かき状の小さな匙で掬ってオブラートでくるみ、熱が出たり、頭が痛むと温かいお湯で飲まされたのを覚えている。

 以来、80歳になった今も、私(妻は薬にはうるさくて、その時々の症状に応じて相応しいものを服用する)には欠かせない解熱、沈痛(いや、腹痛時にも、目眩や極度の疲労時にも)の万能薬として欠かしたことがない。現在は粉末から錠剤(30錠入り)に姿を変えたが救急箱には必ず入れてある。しかし、必ずといっていいほど1、2錠飲んでは買い置いたまま期限切れになっていることが多く、何カ月、いや1年も2年も過ぎて次に必要な時には薬局に走り込むことになる。新しくなっても又、せいぜい多く飲んだ時でも3、4錠で終わる。念のため、今、救急箱を調べたところ26錠を残したまま今年の6月で期限が切れていた。

 私の薬嫌い、医者嫌いには妻も呆れる。子どもの頃は両親が心配して風邪をひけば父の会社の医務局に行かされていた。余程のことでないと医者には頼らない。30歳を過ぎた頃、けだるい身体で珍しく病院を訪ねた。「○○さん、ここまでどうして来ました?」「普通に歩いてですが」「え、40度2分もあるよ、何ともないの?」「ふつうだけど」。この年になるまでに医者にかかった最後だ。38度あっても9度超しても熱にはめっぽう強く会社を休んだこともない。人間の身体は酷使してどれだけ長持ちするか、現役時代からそう大言壮語してきた。考えれば、敗戦後の日本復興向きの身体だったのだろう。会社の健康診断はほとんどキャンセルしてきた。勿論、今も健康飲料やサプリメントなど見向きもしない不要のものだ。水は子どもの頃の井戸水から、現在は水道水の一本やりだ。虚弱児で生まれた身体の筈だが結構長持ちしている。

【閑話休題】
 毎日新聞(11/6)から、
 解熱鎮痛薬として100年以上前に登場し、現在は血液を固まりにくくする薬としても使われるアスピリン。さらに、がん予防効果があると、注目が集まっている。英医学誌は先月、効果を示す研究論文を掲載、国内でも日本人を対象に効果と副作用を比較する研究が行われている。

 アスピリン
 アセチルサリチル酸の薬品名。独バイエル社の登録商標だったが、現在は一般名。日本でも数社が販売している。解熱沈痛用に比べ、血栓抑制用は用量が少ない。解熱沈痛の仕組みが不明だったが、1971年、発熱や痛みに関与する生理活性物質プロスラグランジンの生成を抑制していることが解明された。

 「1日75〜300mgの低用量アスピリンを数年間服用した患者を20年以上観察した結果、大腸癌の罹患・死亡率が減少した」「4年以上長期的にアスピリンを服用した患者を追跡したところ、固形癌や腺癌による死亡リスクが低下した」

 昨年末から今年始め、英医学誌ランセットに英オックスフォード大の研究成果が掲載された。いずれもアスピリンによる心血管疾患の予防効果を調べたデータを、癌発生の観点から解析した研究だった。前者は少ない容量でも効果があったとし、後者は大腸癌以外の複数の固形癌に予防効果があったと報告している。

 アスピリンによる人の癌の予防効果が指摘されたのは88年。服用者の大腸癌罹患率が、服用していない人よりも約40%低いことをオーストラリアの研究者が報告した。その後も欧米で同様の効果が報告された。アスピリンの抗炎症作用が、癌も有効と考えられている。

 しかし、消化管出血などの副作用があった。このため米保健福祉省の米国予防医療サービス作業部会は07年、害が利益を上回る可能性があるとして、「一般の人へは勧めない」と結論づけた。国立癌研究センターの津金・予防研究部長も「『効果があった』という報告が増えたという現状でも、何も症状がない健康な人が、不利益を受ける可能性は減っていない」と慎重な姿勢を示す。

 一方で期待されるのが、大腸癌のリスクが高い人への効果だ。石川・京都府立医大特任教授らは、遺伝的に高率で大腸癌を発生する家族性大腸腺腫症の患者を調べた。患者34人を毎日アスピリン100mgを服用する群と同量の偽薬の群に分け、6〜10カ月投与した。結果解析中の石川特任教授は「アスピリンによって、前癌状態のポリープが小さくなった人もいたが、潰瘍など重い副作用も併発した。今後は量を減らすことなどを考えたい」と話す。

 これまでの報告はいずれも欧米人対象で、日本人対象の大規模研究は行われていない。米国は心筋梗塞など血栓症疾患のリスクが高いが、日本では出血性疾患のリスクが高いなど、疾患の特徴が異なる。津金部長は「日本人にとっての利益と不利益を評価するためには、日本人を対象にした大規模研究が必要だ」と指摘している。

 英ニューカッスル大 ジョン・バーン教授の話。
 アスピリンの癌予防効果に付いては、20年以上の研究の蓄積がある。さらに10月に発表した私たちの成果を含め最近1年間の研究成果は目覚ましい。私は遺伝的に癌が発生しやすい患者について研究しているが、大腸癌のほか、子宮内膜癌、卵巣癌、胃癌については予防効果があると思う。一方、乳癌や前立腺癌については曖昧だ。研究を進めていけば、遺伝的に癌になりやすいなど、リスクの高い人に対して使うことができるだろう。
 アスピリンは安く、入手しやすい。副作用が出る人と出ない人、代謝が早い人と遅い人など、それぞれの最適な用量を明らかにして、安全に服用できるようにするのが研究目標だ。

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