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2011年11月30日 (水)

続 女性宮家

 毎日新聞(11/26)「社説」から、要約と《》内は私見
 《30日の朝刊に、秋篠宮の「天皇の公務に定年必要」の記事が載っている。兄皇太子を差し置いての発言には差出がましい気もする。しかしまあ、戦後の「開かれた皇室」については、一般国民も口が挟めるようになったことでもあるから、まあいいか。》

 皇族減少の懸念から「女性宮家」などが検討されようとしている。女性皇族が結婚後も皇族にとどまり、数を維持しようというものだ。積年の課題である皇位継承安定に密接に関わっている。広く、建設的な論議を期待したい。

 藤村官房長官によると、宮内庁羽毛田長官が先月、野田首相に対し「女性皇族が結婚に近い年齢になり、皇室の活動に緊急性の高い課題」と現況を伝えたという。

 具体的動きはまだだが、こうした制度見直しについて藤村官房長官は記者会見で「国民各層の議論を十分踏まえて検討したい」と語った。

 現在皇室は天皇陛下と22人の皇族から成り、8人の未婚女性のうち、6人が成人している。皇室の基本を定める皇室典範では、女性は皇族以外と結婚した場合は皇籍離脱となり、皇族ではなくなる。

 一方、皇位継承資格者は「男系男子」と定められ、現在その順位は皇太子、弟の秋篠宮、その長男の悠仁へと続く。天皇陛下の孫の世代では悠仁だけだ。

 現行制度のままでは、将来永きに亙る継承は不安定に成らざるを得ない。そうした中で、女性を皇族にとどめる意見は出ていた。

 自民党政権時の小泉首相は安定的な継承へ道筋をつけるため私的諮問機関の有識者会議を設けた。05年11月、会議は「男系男子の皇位継承維持は極めて困難」としたうえで、女系・女性天皇を容認し「長子優先」「女性皇族は結婚後も皇族にとどまる」などとする報告を出した。

《今年10月の英連邦首脳会議では、英国に300年続いた男子優先の王位継承の規定を改正し、男女平等の精神から、長子優先とする法改正に合意している。日本では、先の小泉たちの有識者会議の合意は、英国の先をいくもので、結論としてもいいと考える。勿論、女性天皇容認だ。》

 そして皇室典範改正案が国会に提出されるはずだったが、異論《例えばアル中三笠宮殿下の》も強く、06年9月、紀子さんが男子を出産したことで議論は事実上棚上げになっていた。

 「女性宮家」は皇族の数を維持するとともに皇位継承の資格者を広げる可能性がある。もちろん短兵急に決めることはできない。国民に広く開かれた論議と理解が大切だ。

 戦後、象徴天皇制は「開かれた皇室」「国民とともにある皇室」という理念で理解され、親しまれてきた。長い歴史に培われた伝統を守ることと、時代とともに新しいかたちも取り入れていくことは、決して矛盾しない。

 天皇陛下は即位以来、皇后とともに積極的に国民との交流を求め、大災害被災地を回り直接に励まされた。国内外の戦績・戦災地への慰霊訪問も平成の新しい皇室のあり方を感じさせるものだ。こうした中で、将来に向かい、安定的な皇位継承を率直に論じ合うことはむしろ理念に叶う。

 それは「全か無か」のような論議ではない。さまざまな考え方や案がある。6年前の有識者会議の報告も踏まえ、論議を成熟させよう。

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2011年11月29日 (火)

依存症?

 毎日新聞(11/29)から、
 専門編集委員“牧太郎の大きな声では言えないが・・・”より
 《担当の紙面スペースを埋めなければ、と書いたような内容だ。日頃、頭の片隅にある言葉「依存症」を取り上げている。シンドロームと同じように、病名が明確ではないがひとまず病気らしいものとして一纏めにして「症候群」としたように、「依存症」もまたひとかどの病気らしい仲間入りをしているようだ。

 身体が痛いわけでもない。血圧が高いわけでもない。でも、仲間うちから「あいつ、ビョウキだ!」と言われるのは‥‥‥多分、○○依存症だからだろう。何かに夢中になって、気がつくと“深み”にハマっている。

 お医者さんが「WHO(世界保健機関)の専門部会が提唱した概念でして、ある種の快感や高揚感を伴う特定の行為を繰り返しするうちに、その刺激が抑えられなくなって‥‥‥」と説明するまでもない。「深みにハマる」のは、古今東西、立派な病気だ。

 症状は簡単だ。例えばパチンコ依存症。パチンコが日常生活に組み込まれる。食事代をパチンコのために削る。借金でパチンコをする。

 ネタがなくなると?テレビや雑誌が「パチンコ依存症の根絶」を特集する。専門家?が「パチ依存が増えるのは、いつでもできる、どこでもできる、気軽にできる、考えなくてもできる‥‥‥からです」なんて、どうでもよい講釈をする。「出玉率があります。延々と稼働させた際の払い出す比率をマイナス5%に設定すると、短期的な浮き沈みはありますが、最終的には“機械の確率”どおり、客は5%負けます。

 何のことか、当方には皆目、分からないが、要するにパチンコ屋が儲かり、客は損をする仕組み?なのだろう。でも、パチンコ依存症の皆さんは、そんなことは百も承知、二百もガッテン。分かっちゃいるけど止められない‥‥‥のがギャンブル依存症だ。「神様はサイコロを振らない」とアインシュタインは言ったけど、人間はサイコロを振る。

《パチンコに限らない依存症はそこらじゅうに散らばっている。競馬に競輪、宝くじ、サッカーくじ、携帯電話にメール、ラーメン、日本人の好きな「みんながみんなが」するから、食べるから‥‥‥などなどの付和雷同。》

 依存症をバカにするあなたも多分、○○依存症だと思う。例えば、喫煙依存症は日本では1800万人(厚生労働省の1999年調査)。これだけで、日本人の7人に1人が依存症だ。

 まだまだ、ある。薬物・アルコール依存症、セックス、通販、占い、宗教、ネット‥‥‥依存する対象は無数にある。ステージのフットライトに依存する年老いたヌードダンサーもいれば、決まった時間に出社して、決まった時間に退社する会社依存症?だってある。

 依存症は「否認の病」とも言われる。「自分は何にも依存していない」と否認するあなたこそ、ひょっとして‥‥‥。カジノで数十億円も損した製紙会社の御曹司を嗤っていられない。なにせ、人間は「依存の動物」なんだから。

《私も長い間依存していた乗用車から、明日、廃車手続きが完了し、12月からは我が妻ともども弱くなったが脚力に依存していくことになる。》

 

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2011年11月28日 (月)

「定年制廃止」を廃止(マクドナルド)

 毎日新聞(11/28)から、
 日本マクドナルド(東京都新宿区)は、5年前に撤廃した定年制度を12年1月から復活させることを決めた。大手企業としては異例の雇用制度改革は、なぜ方針転換を迫られたのだろうか。

 参照 「65歳定年」要請 2011/05

《参照で取り上げたように、定年はあっても65歳まで延長することで発生するデメリットは、即座に考え浮かぶ。その定年を完全撤廃することは企業の若返りを阻害し、活性を失うことになるのは誰でも考えつくことなのだが、それを敢えて実行したマクドナルドはそれらのマイナス要因を検討しても尚かつ、発展する企業の永続性が読めたからではないのか。そうでなければ余程お粗末な計画だったと言わざるを得ないだろう。》

 「定年という区切りがなくなったために、後進を育成しようとの意識が薄れ、業務のノウハウや情報の継承が後回しになってしまう場面があった」。日本マクドナルド(以下、マ社)の広報担当者は定年制廃止のデメリットをそう語る。

 具体的には、経理や法務の案件処理、店舗運用のノウハウなどの引き継ぎがうまくいかないケースがあったという。蓄積したものを抱え込み、業績を上げ続けることで、自らのポジションを長く守りたいとの意識が生じたとみられる。

 マ社が定年制をやめたのは06年5月。その2年前には、年功序列型の人事・賃金制度を、職務に応じて報酬が決まる成果主義的な仕組みに転換し、中途採用も増やした。定年廃止は、経験豊かなベテラン社員の力を生かし「能力と成果に基づく処遇を徹底するため」と位置づけた。

 06年4月には改正高齢者雇用安定法が施行され、企業は
  ▽定年年齢の引き上げ
  ▽再雇用(継続雇用)制度
  ▽定年廃止
のいずれかが義務づけられた。ほとんどの企業が再雇用制度を選ぶ中、マ社の選択は注目された。

 「誤算」は他にもあった。「新しい分野へのチャレンジに社員が消極的になる傾向がみられた」と広報担当者はいう。定年廃止での今の上司が残り続けると思えば、部下は「波風を立てず平穏に、と考えるようになる」という。

  元々、平均年齢が若く、実際に定年廃止の恩恵を受けた60歳超の社員は5年間で数人程度。人件費への影響は小さかったが、組織自体が“動脈硬化”を起こしてしまったことが痛かったようだ。

 日本の雇用制度を研究する慶応義塾大ビジネススクールの高木教授(組織行動学)は、マ社が成果主義や中途採用の強化と並行して、定年廃止を導入したことに着目する。要するに「仕事ができる人にどんどん入れ替える」発想だ。

 「誰もが辞めたり、代わりの人が次々に入る可能性がある組織では、『この人でなければ』という属人的な仕事は却ってマイナス。『ノウハウや情報の継承』を前提にした業務設計がそもそも成り立たない」と高木教授。そうした企業には、汎用の知識や標準化されたノウハウですぐに対応できる態勢こそが求められる━━というのだ。マクドナルドの店舗といえば「徹底したマニュアル化」のイメージが強いが、オフィスワークではそんな面ばかりではないようだ。

 チャレンジ精神の低下については「日本の労働市場は流動性が低い。会社を出ても次の仕事が見つかる保証がなく、かつ定年もなければ、賢い人ほど失敗を避け安全策をとるのは当然」と指摘する。

 「日本の雇用システム」などの著書がある小池・法政大名誉教授は「業種や職種にもよるが、企業にとって最も重要なのは長期的な人材育成。その意味では、短期的な数字を求める成果主義はプラスばかりではない。定年制は長期的な雇用を前提としており、人材育成の点からも評価し直す必要がある」と話す。

 マ社は当面、60歳定年プラス再雇用制度を採用する予定だ。この5年間の経験を踏まえ「まずは人が人を育てる企業文化を醸成したい」。一方で、「『適材適所』の観点から、定年制廃止が理想との考えに変わりはない」とも言い、再度の撤廃に含みを持たせる。さて、あなたの会社は?

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2011年11月27日 (日)

女性宮家

  参照 アル中三笠宮殿下 入院 2007/06
     それほど慶ばしいこと? 2006/09

《参照の中でも触れているが、むかし存在した大奥がなくなり、万世一系としての男子が生まれてくるまで子どもを生産する背景を失った。現在は天皇も一夫一婦制を守り、生まれてくる子が必ずしも男の子とは限らなくなった。皇太子に男子が生まれず、急遽紀子さんが頑張って無事男子を生むことに成功した。女性天皇が取り沙汰されたのがこの頃だったが、ひとまず安堵して、この問題は沈静化したようにみえたが、今度は現状の皇族減少の懸念から、「女性宮家」などが検討されようとしているらしい。》

 毎日新聞(11/27)“なるほドリ”から、要約と《 》内は私見。
 宮家というのは、天皇一家や皇太子一家を除いた皇室の方々の一家のことで、中世に起源がある言葉で、現在の皇室には、皇太子の弟の秋篠宮家、天皇陛下の弟の常陸宮家、それから昭和天皇の末弟の三笠宮家、その長男の寛仁親王家、次男の桂宮家、三男の高円宮家の6宮家がある。ただ、「女性宮家」というのは法律制度上も現実にも今は存在しない。

 Q それで

 A 皇室制度は憲法と皇室典範などで規定されているが、典範第1条で「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」と定めており、宮家の創設は「男系の男子」の結婚や独立を機に行なわれ継承もこれまでは男子だけが対象だった

 Q でも高円宮の当主は、久子さんだよね

 A 高円宮が急逝して、久子さんが「独立して生計を営む親王妃」という位置づけで宮家を守っているが、「女性宮家」とは、言わない。「女性宮家」とは「皇統に属する女性が成人もしくは結婚して独立した生計を営む」ことを指す

 Q なぜ今、話題になっているの?

 A 典範では、女性皇族は結婚後、皇族の身分を離れることになっている。しかし、天皇陛下の次の代は、皇太子、秋篠宮らがいるが、孫世代になると秋篠宮家の5歳の長男悠仁しか男子がいない。このままでは、皇族の数が少なくなる一方なので、女性皇族も結婚しても宮家を創設し、皇族にとどまってもらい、皇族の数をある程度確保すべきだという声が出ているのだ

 Q 歴史上、女性宮家というのは存在したの?

 A 明治前半まであった旧桂宮家の最後の当主は、仁孝天皇の皇女の淑子内親王だった。「女性宮家」の例ともいえるが、それまではこの宮家も男系男子が代々継いでおり、他には例が見当たらないようだ

《一つの例でもあれば、全くなかったとは言い切れまい。女性天皇(私は賛成だが)の問題も含めて皇室典範の見直しをする良い機会ではないか。》

 Q 制度導入の検討は進んでいるのか

 A 現在の典範に改正の必要性があることは、宮内庁や多くの研究者らが認めているが、父方が皇族である「男系」が皇族の歴史上ずっと続いてきたことにこだわりを持つ意見も根強いのだ。女性宮家を認めた場合、「女系」で皇室につながることになる。制度創設までには、女性皇族のどの範囲までを対象とするか、皇位継承資格や皇位継承順位をどうするかなど論点を洗い出す必要がある。独身女性皇族の結婚時期も視野に入れながら、国民全体で考えることが必要だ

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2011年11月26日 (土)

続・2010年 出生動向基本調査(独身者調査)

 毎日新聞(11/26)から、
 参照 2010年 出生動向基本調査 11/10

 参照は妻が50歳までに生む子どもの数を調査したものだが、今回は異性の交際相手がいない男女を調べたもの、「交際相手なし」が過去最高となった。

 調査客体数  14248
 回収票数   11487(回収率 80,6%)
 有効票数   10581(有効回収率 74・3%)

 Photo_3 異性の交際相手がいない18〜34歳の未婚者が男性で61%、女性で49%に上り、いずれも過去最高となったことが25日、国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査(独身者調査)」で分かった。05年の前回調査から急増、男性で約9ポイント、女性で約5ポイント増えた。うち半数近くは男女とも「特に異性との交際を望んでいない」と答えた。一方、結婚する意思がある人の割合は男性86%、女性89%と高水準を維持。同研究所人口動向研究部の金子部長は「結婚や交際を望んでも、仕事が忙しかったり経済的な余裕がなかったりしてかなわず、諦めている人が多いのではないか」と分析している。

 Photo 独身でいる理由(複数回答)で最も多かったのは18〜24歳では「まだ若すぎる」(男性47%、女性41%)、25〜34歳では「適当な相手に巡り会わない」(男性46%、女性51%)だった。25歳〜34歳では「結婚資金が足りない」(男性30%、女性16%)、「異性とうまくつき合えない」(男性13%、女性11%)が前回より増え、過去最高となった。 

 回答時から1年以内の結婚については、男性43%、女性50%が「したい」もしくは「理想的な相手が見つかればしてもよい」と答え、これまででもっとも高い割合だった。

 1990年代の調査と比べ、男女とも正規雇用者が大きく減り、逆にパートや派遣などで働く人が増加。特に男性の場合、こうした人は正規雇用者と比べ結婚の意欲が低い傾向がみられた。「仕事で私生活が犠牲になっている」と回答した人の割合も90年代より増加した。

 調査は原則5年ごとに行なわれ、7回目の今回は昨年6月実施。男女約1万人の回答のうち、18〜34歳の約7000人分を中心に分析した。

Photo_4 若者の恋愛に詳しいマーケティングライターの牛久保恵は、調査の結果では、特に非正規雇用や無職の男性は、結婚に意欲的な人は少ない。女性から職業や経済力を値踏みされる前に「収入が少ないから」と萎縮する面があるのではないか。リストラや将来への不安から仕事を優先せざるを得ないなど、恋愛しにくい状況もある。婚外子が少ない日本では、結婚率が下がると少子化が加速する。雇用対策や収入のセーフティーネットなど、国が対策をとらないと解決できない問題だ、と述べる。

《「カー付き、家付き、ばばあー抜き」から始まった戦後の家庭は、「手鍋下げても」苦労を共にして家庭を築き上げていこうという女性はいない時代だ。結果は家庭よりも、子育てよりも優先するのが仕事だ。反対に男性は強くなった女性の顔色を伺いながらオロオロと周りをうろつくばかりだ。「俺について来い」と言える男はいなくなって草食系といわれるなよなよの優男が増えた。男たちは、女性に選ばれなければ結婚もできない時代になったようだ。だが、ここにいう「理想的な相手」とは男女お互いにその物差しは何だろう。そしてそれは、己の分限をどのように評価してのものなのだろうか。》

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2011年11月25日 (金)

大学センター 学力低下を懸念し、「総合型試験」導入を検討

 毎日新聞(11/24)から、
 早くから懸念されている日本の大学の学力低下に歯止めをかけ、学力アップを目指して入試センターが大学入試のありようについて検討の段階に入った。

 参照 大学入試 11/01
    大学進学資格 07/11

 推薦入試やAO入試の増加で大学生の学力低下が指摘される中、大学入試センター(東京都目黒区)は新しい大学入学試験の導入に向けた研究を始めた。読解力や推論力・分析力を問う「総合型試験」の導入の可否を、4年後までをめどに検討する。この総合型試験の成績とともに、作文や面接といった推薦・AO入試の結果を合わせて大学側が合否を判定できるようにし、大学生の学力アップを目指す。

 大学進学率は少子化の進行に伴い上昇を続け、09年度には50%を突破した。文部科学省がまとめた09年度の国公私立大の入試状況によると、大学学部の入学者数は59万7000人。このうち推薦入試やAO入試で入学した学生は約26万1000人で4割以上、私立大に限れば5割に達する。大半は筆記試験を実施せず、面接や作文で合否を決めている。こうしたことから学力の不足がしばしば指摘され、大学よっては入学前に学力を補うための事前教育を実施しているところもある。

〖AO入試〗
 米国の大学で入試を担当する「アドミッション・オフィス」(入学事務局)が名前の由来で、志望理由書を提出させ、面接や小論文で選考するのが一般的。個性や適性など人物を重視する。

 同センターは03年から10年まで、法科大学院の入試にあたる適性試験(マークシート方式)を作ってきた。グラフのデータを読み取って分析させたり、確率や組み合わせなどを問う「推論・分析力テスト」と、長文を読ませて読解力や表現力を見る「読解・表現力テスト」の2種類を8年に亙って作成・実施してきた。

 新しい総合型試験は、このノウハウを利用して作成を検討するという。

 現状では、秋に推薦入試やAO入試が実施されていることから、高校3年の夏前に大学が総合型試験を実施し、その後の面接や作文に加味することも視野に入れる。

 センターは今年度から始まった第3期中期計画に研究の実施を盛り込んでおり、15年度までかけて試行も含めて可否を検討するとしている。

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2011年11月24日 (木)

近赤外光で 癌破壊

 毎日新聞(11/7)から、
 
 Th__2 〖近赤外光〗
 可視光線より波長が長く、目には見えない。テレビなどのリモコンや携帯電話の通信に使われ、人体に無害なことが特徴。こたつなどに使われる遠赤外線(光)より波長が短い。

 6日紙上には大腸癌の予防に効果があるとしてアスピリン服用が取り上げられたが、続いては癌細胞を破壊させるのに近赤外光を照射する方法で、成功した実験が報告された。
 身体の外から光を当ててマウス体内の癌細胞を破壊する実験に、米国立衛生研究所の研究チームが成功し、6日発行の科学誌「ネイチャーメディシン」(電子板)に発表した。正常な細胞は傷つけず、効率的に癌細胞だけを破壊できる治療法として、数年以内の臨床応用を目指すとしている。

 チームは、主に癌細胞に存在する蛋白質と結びつく性質を持った「抗体」に注目。この抗体に、近赤外光の特定の波長(0・7 マイクロメートル)で発熱する化学物質を取り付け、悪性度の高い癌を移植したマウスに注射した。

 その後、癌がある部位に体外から近赤外光を15〜30分間当てた。計8回の照射で、癌細胞の細胞膜が破壊され、10匹中8匹で癌が消失、再発もなかった。一方、抗体注射と照射のどちらかだけを施したマウスや何もしなかったマウスは、すべてが3週間以内に癌で死んだ。複数の種類の癌で同様の効果を確認。注射された抗体が癌細胞と結びつき、照射によって化学物質が発する熱で衝撃波が発生、癌細胞だけを壊したと結論づけた。

 癌に対する光治療には、今回と波長の異なる光を当てる方法があるが、やけどをしたり、光を受け止める物質が癌細胞以外にも結びついたりするなど、健康な細胞への影響が避けられなかった。

 近赤外光を使う新しい方法では、抗体がわずかに正常細胞に結びついても、光の強さを調節することで癌細胞だけ破壊できる。また、光自体が無害なため繰り返し照射ができ、体表から5〜10 センチ程度の深さまで届くという。

 チームの小林隆主任研究員は「抗体は、肺、乳、前立腺、大腸、卵巣、白血病、悪性リンパ腫などさまざまな癌に使えるものが承認されており、数年以内に臨床応用を実現させた。癌細胞が血中を移動する転移癌でも、それに結びつく抗体が見つかれば応用できる」と話す。

 田尻・東京慈恵会医大教授(消化器・肝臓内科)の話。
抗癌剤や放射線治療は副作用があるが、この方法は正常な組織を傷つけない。内視鏡を使えば、深部の治療も確実にできるだろう。癌の新たな治療法として実用化が期待される。

《癌は近い将来治せる病気といわれて久しい。私の周りでは40年ほど前、同僚の奥さんの卵巣癌で亡くなったのが最初だった。以来、学友、同僚、縁戚筋の何人か、妻の岳父など、十指に余る人たちを癌で失ってきた。誕生は死が約束されたことだが、天寿を全うしての死は天命だが、病を患っての死はやはり悲しい。早く、誰もが癌で死ぬことのない時代がくればいいと願うばかりだ。》 

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2011年11月22日 (火)

主婦年金10年追納可能

 毎日新聞(11/22)から、

 参照 国民年金第3号、救済策は不公平2011/02

《改正案による救済策を不公平とする私の考えは上の参照2篇で記したので省略する。》

 政府は22日午前の閣議で、専業主婦らの年金切り替え漏れ問題への対応策を盛り込んだ国民年金法改正案を決定した。記録訂正で年金額の減る人には特例で保険料の後払いを認め、それでも保険料が少なければ年金額を減らす。本来より多く受給している人には返還を求めず、正しく納めた人と不公平感が残るため、自民党など野党側は反対姿勢。今国会での成立は困難な状況で、審議は来年の通常国会に先送りされる可能性が高い。

〖主婦年金法案(骨子)〗
・記録漏れ期間は年金受給資格期間(25年)に算入する
・過去10年に遡って保険料の追納を認める(3年間の時限措置)
・納付保険料の少ない受給者は受給額の10%を上限に減額する
・既に受給した年金の返還は求めない
・障害年金や遺族年金の受給者には減額も返還も求めない
・事業主に退職者の妻らの3号資格喪失の届け出を義務づける

 年金切り替え漏れ問題は、保険料負担のない専業主婦ら第3号被保険者が夫の退職などで3号資格を喪失し、保険料納付が必要になっても届け出なかったために起きた。記録を正しく直すと切り替え漏れ期間は「保険料未納」となる。

 このため、同法案は
 ①無年金となるのを防ぐため、記録漏れ期間を公的年金の受給に必要な加入期間(25年)に算入する。
 ②年金額を減らしたくない人には納付期限(2年)を越えて、過去10年間まで保険料の後払い(特例追納)を認める。特例追納は3年間の時限措置。

 受給者は特例の3年間に追納しなかったり、追納額が少なければ10%を上限に年金額が減る。特例追納のためのシステム構築に約2年かかるため、実際に減額されるのは法案成立から5年後。厚生労働相の推計では、年金額の減る人は受給者が約5万3000人、現役世代は約42万2000人。既に受給した分の返還は求めない。

 一方、既に記録を訂正し、減額されている受給者約50万3000人にも年金額を増やすために特例追納を認める。障害年金や遺族年金を受給している人には減額も返還も求めない。

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2011年11月21日 (月)

老化は視力から

 毎日新聞(11/20)「『真健康論』札幌医科大教授・當瀬規嗣 」から、
 人の身体で一番先に老化が始まるものは何かご存知でしょうか。それは視力と言われています。俗に老眼と呼ばれるもので、医学的には老視と呼びます。

《あくまでも一般論なんだろう。私が視力に不自由を自覚したのは70歳を疾っくに過ぎてからだ。それまではその年になっても、裸眼で字引のルビまでしっかりと読めていた。活字好きの身には有難い老化の表れ方であった。近眼だったせいで車の運転時だけは眼鏡を必要としたが、日常生活では眼鏡は却って邪魔になることの方が多かった。その視力に衰えを感じたのは70歳も中頃を過ぎてからだった。まずルビを読むのにルーペが必要になり、徐々に不便を感じるようになって78歳で読書用に至近距離でルビまで読めるレンズの眼鏡をこしらえた。加えて20年前の網膜剥離術後の左眼に急激に白内障の徴候が現れ、左視界がぼんやりとしてきた。操作には自信のあった車の運転も、事故を発生させてからでは取り返しのつかないことになると、今月30日で廃車を決め手続きを始めた。》

 老視は40代後半には明らかになって、特に近くのものや細かい文字が見づらくなって自覚されます。遠くのものや近くのものを見るとき、目のピントを合わせる作用を調節と呼びます。調節を行うには、目の中にある水晶体と呼ばれるレンズの厚さを変化させます。ですから、水晶体は弾力に富んでいて、自在に厚くなったり、薄くなったりするのです。

 しかし、この水晶体の弾力性は年齢とともに失われ、硬くなり調節が行いにくくなります。こうして、遠くのものにも、近くのものにもピントが合わなくなり、ある一定の範囲でしか、ハッキリとものを見られなくなるのです。これが老視のしくみです。

 実は、水晶体の弾力性の低下は、すでに20代で始まっていると考えられています。ただし、若いころにピントが合わなくなるのは、極端に目に近い範囲なので、普段の生活で自覚されることはありません。その後、徐々に進行して、日常使われる範囲でピントが合わなくなるのが40代なので、この頃に老視を自覚し始めるのです。40代や50代の読者の方々で、最近、新聞が読みづらくなったと、ひそかにお悩みの方、多いのではないでしょうか。

 目の老化現象は誰にでも訪れます。無理をせず眼鏡を作られることをお勧めします。もちろん、病院や眼鏡店できちんと視力検査を受けて作ることが原則です。出来合いの老眼鏡はいけません。

《私は参考にならないが妻の例では、老化の速度は以外に早く、作った眼鏡の使用期間は結構短いものだ。出来合いを幾度もつなぎに使用して、ある程度進行が落ち着いたところで、専門店で測定をして作るようにする方が無駄遣いにならないで済むだろう。老眼への進行スピードに個人差があり、どんどん変化することもあり、若い時の視力検査の値がが大きく変化しないのに比べれば、進行スピードの速い老眼のそれは、その都度専門店で作っていては店は儲かるだろうが、眼鏡を使用する側には費用がかかりすぎる。》

 作ってみると、眼がとても楽になることに驚かれると思います。「かっこ悪い」とか「年寄りくさい」とか言って、老眼鏡を敬遠していると、眼に負担がかかって、それが肩こりや血圧の上昇につながることがあります。また、文字を読むのが億劫になって、仕事の効率が落ちることも考えられます。読書をしなくなって見聞を広めるチャンスを失うかもしれません。文字や書物で文明を作った人間は、目が頼りの動物です。年を取った自分の目を労ることが、働き盛り世代の健康維持の第一歩であると考えています。

《いくらアンチエージングと称して若作りしても、1年経てば1歳加齢する。目はどんどん老境に近づいている、体毛も白くなる。思い切って老眼鏡を使ってみよう。》

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2011年11月20日 (日)

放射線測定器に誤差

 毎日新聞(11/18)から、
 東京電力福島第1原発事故を受け、福島県内の小学校や公園など600カ所で放射線量を常時監視するために設置された測定機器の性能が、文部科学省の定めた基準に達していないことが18日分かった。同省は機器を納入した業者との契約を同日解除。今後機器を回収し、入札をやり直す。この影響で、10月に予定していた運用開始は来年2月以降にずれ込むことになった。

 文科省によると、入札は7月にあり、5社の中から最低価格の約3億7000万円を提示した東京都中野区の通信機器会社「アルファ通信」が受注した。文科省は測定誤差を「上下20%以内」としていたが、機器設置後の10月下旬になって誤差が最大40%あることが分かった。文科省は同社に違約金を請求する方針。同社の広報担当者は「契約解除は納得いかない部分が多い」としている。

《これほど日本中が注目している放射能を測定する目的の機器だ。ちょっとした数字の上下で人心が揺れることになる。報道される数値と自然放射線との関係も説明もないし、測定器の数値が即正確であるとすることにも疑問がある。その辺りの詳しい説明もされていない現状で、誤差範囲上下20%とは余りにも大きい数値だ。A機で上限20%、B機で下限20%の誤差があればAB二つの間には40%の誤差が生じることになる。それでは人心の不安は増幅されるばかりだ。精密機器の加工現場では、1ミリのボルトが0,8ミリでは締めつけることはできないし、1・2ミリでは1ミリの穴には入らない。完全に不良品だ。形のあるものとないものの違いはあるが、投資金額が安いから、で誤差上下20%で発注した方にこそ問題はある。放射能に怯えている住民たちの恐怖が理解できていないのではないか。そうでなくても粗悪品を使った測定結果で戦々恐々の生活をしている人々を安心させるためにも、少々高額でも信頼度の高い測定器の設置を急ぐべきだろう。》

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2011年11月19日 (土)

先生の卵に体育の授業

 毎日新聞(11/19)から、
 「体育が苦手」。そんな先生の卵たちに東京都教育委員会が助け舟を出す。公立小学校の教員採用試験合格者のうち希望者を対象に、教壇に立つ前に「体育の授業」を体験させることにした。小学校の教員は、体育も含めた全教科を1人で教えなければならない場合も多いが、教員希望者の半数が「体育の指導に不安がある」と答えた調査結果もある。都教委の担当者は「早い段階から技術を身につけてほしい」と話す。

《特に男とは限らないだろうが、優しくておとなしい若者が増えた。勉強に明け暮れて育ち、遊び相手は室内でするゲームやメールというひ弱な生活を過ごしてきたものが多いだろう。空の下で走り回ることができる空間もなく、幼い頃から手厚い庇護のもとで育ってきたものだ。スポーツ系でもなければ身体を鍛える必要もなく、運動が苦手なのは自然の成り行きだろう。》

 都が教員を志望する大学生を対象に教員の心構えなどを教えている「教師養成塾」の在籍者150人を対象に、今年7月実施したアンケートによると、半数を上回る79人が「体育の指導に不安がある」と回答。うち7割が「技能の指導に自信がない」、2割が「自分自身運動することが苦手」などと理由を明かした。

 また、文部科学省が実施している「体力・運動能力調査」結果によると、来年度の採用予定者の年代が10歳児の結果をみると、男子50メートル走の平均は9・34秒と10年前よりも0・2秒遅く、同ソフトボール投げも26・46メートルで10年前よりも2・27メートル短い。同調査によると、子どもの体力は08年から上向きに転じており、この世代はいわば「体力のボトム(底)世代」といえる。都の担当者は「ちょうど子どもの頃、テレビゲームがはやるなど室内の遊びが多かった世代。外で身体を動かす機会が少なかったのではないか」と分析する。

 都教委は教員になる前に体育指導の不安を解消する機会が必要と判断。来年度採用予定者約1600人のうち希望者を対象に、実際の小学校の体育の授業に参加させるほか、休み時間や放課後に子どもたちと一緒に校庭で身体を動かす時間を設けることを決めた。

 12月から来年2月までの間に、都内の公立小40校で実施する予定。また、マットや跳び箱など普段あまり接する機会のない種類の運動の指導が不安との意見が多かったことから、体育の専門家を招き、指導者講習会も開くことにしている。

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2011年11月17日 (木)

フィルムアーカイブって?

 毎日新聞(11/17)『なるほドリ』から、
 女優の香川京子が、日本人で初めて国際フィルム・アーカイブ連盟賞を受賞したが、フィルム・アーカイブ連盟って何をしてるの?

《香川京子といえば、最近コマーシャル(サントリー・グルコサミン)でこれまた懐かしい左右田一平と共演している姿を見ることができた。2人とも昭和一桁の私と同世代の人たちだ。私にとっては二人とも映画スターとしての若い頃の若々しい顔が印象に強い。その顔が一足飛びに時代を超えて慈味溢れる老夫婦の顔で現れたのだ。特に銀幕上の左右田一平の研ぎすましたような男性像は、画面を引き締めて観客を釘付けにしていた。それが今、人間味溢れる老爺になって田園の中で、長年連れ添った妻の横に来てゆっくりと腰を下ろす。記録に残したい一幅の絵だ。》

 フィルム・アーカイブ連盟とは、映画の保存やフィルムなどの修復をする機関のこと。日本の公的機関としては「東京国立近代美術館フルムセンター」(中央区京橋)が代表的。

 フィルムセンター外観
Th_th_280pxmomat_filmcenter Q 映画って保存されていなかったの?

 A そう。保存が難しかった。1950年代前半までは、ナイトレート製フィルムが使用されていた。これは常温でも燃えてしまう性質(可燃性)がある。映画「ニュー・シネマ・パラダイス」(89年)でフィルムが燃えて、映画館が火事になるシーンが記憶にある人もいるだろう。また、当初は映画を後世に残すためにフィルムを保存するという考えがなかった。30年代までの映画は1割、10年代になると0・2%しか残っていないようだ。

 Q そうだったんだ

 A 現在は保存の動きが世界的に定着している。2009年には、日本人が撮影した国内最古の映像「紅葉狩」(1899年)が、映画フィルムで初めて、国の重要文化財に指定された。香川京子は資料約300点を寄贈し、文化財としての映画保存に協力したことが評価され。

 Q フィルムはどんなふうに保存されているのだろう

 A 日本では、フルムセンター相模原分館(相模原市)が最先端の施設だ。収蔵数は16万200缶。過半数が、可燃性フルムの後に開発されたトリアセテート製のフィルム。これは不燃性だが高温多湿に弱く、酢酸(酢)が発生して色が抜けたりする。温度20度、湿度50%では40年で劣化するところ、10度、30%なら10倍に延びるとされ、温度と湿度の管理を徹底している。その後に開発されたフィルムはほとんど劣化の心配がない。

 Q 現在は、映画もデジタルの時代では?

 A そう。最近は撮影も上映もフィルムを使わない映画が増え、先月行なわれた第24回東京国際映画祭でも上映作品130本のうちフィルム映画は3割だった

 Q じゃあフィルム保存は必要なくなるのかな

 A 映画の内容と同時にフィルムそのものが文化財だという考え方もあり、また長期保存という観点では、デジタル映像を保存する光学ディスクや磁気テープは、フィルムに劣るとされている。今後デジタル映画をどう保存するかが課題になってくるだろう。

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2011年11月15日 (火)

糖尿病 世界で3億人突破

 毎日新聞(11/15)から、
 現在の世界の糖尿病患者が3億人を突破したことが14日、国際糖尿病連合(IDF、本部・ブリュッセル)の調査で分かった。

  世界糖尿病デー
  のシンボルマーク
 「ブルーサークル」
Photo 国別では初めて中国が1位となるなど、アジアでの患者増が目立つ。30年には5億5200万人に達するという。

 推計によると、11年の患者数は3億6600万人。前回(10年時点)の2億8460万人に比べ、約30%増え、患者に歯止めがかかっていないことが浮き彫りになった。

 国別では、2位だった中国が9000万人に達し、インドを抜いて1位になった。日本は6位の1070万人で8位より悪化した。30年時点では、中国(1億2970万人)、インド(1億120万人)、米国(2960万人)が上位を占める。日本は人口減が影響し、10位以内に入っていない。

 地域別では、中国や日本を含む西太平洋地区での増加が顕著で、糖尿病の合併症による死者が11年の同地区の総死者数の15%を占めた。同地区議長の清野(セイノ)裕・関西電力病院長は「カロリーの高い食べ物が広がり、途上国で急増している。バランスの良い食事や運動の大切さを伝えることが必要だ」と話す。

《何だかそう遠くない将来の少子化による日本の滅亡、地球規模的には繁殖力旺盛な人類による人口増と、それに反比例するような食糧危機と病魔の広がり。映画の世界ではないが、宇宙人が襲来する前に、地球上から人類は消えていく宿命のようだ。》

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2011年11月13日 (日)

自然被曝とは

 毎日新聞(11/13)から、
 
 参照 放射線測定器具が売れているって 11/10

《先に参照で取り上げて、メディア報道の測定値と自然被曝との関連で疑問を提起したが、仲川啓一・東京大付属病院准教授(緩和ケア診療部長)が分かりやすく解説してくれている。》

 「東京電力島第1原発の事故を許すことができないことに、誰も異論はありません。ただし、この事故がなかったとしても、私たち誰もが毎日、放射線による被曝をしていることも現実です。

 大地からガンマ線が出ていますし、宇宙線は常に地球へ降り注いでいます。さらに、天然の放射性物質は大気にも食べ物にも含まれますから、私たちの体内にはかなりの量の放射性物質が存在しています。これら自然環境からの被曝を「自然被曝」と呼びます。

 日本の自然放射線は、国際的に見ると少ない方で、世界平均の年間約2・4ミリシーベルトに滝して、日本は1・5ミリシーベルト程度です。これはウラン鉱石などの資源が少ないためですが、同じ日本国内でも地域差があります。西日本は東日本より自然被曝が多い傾向があります。放射性物質を多く含む花崗岩などが多く、大地からの被曝が増えるのです。しかし、西日本で、がん患者が多いというデータはありません。

 ウラン鉱石などの資源が多い米国では、自然被曝は年間3ミリシーベルトと、日本の倍です。上空では、宇宙線を「遮蔽( シャヘイ)」する空気が薄くなり、成田からニューヨークを航空機で往復すると、0・2ミリシーベルトの被曝になります。7往復すれば日本国内の年間被曝に達しますが、米国駐在の商社マンに、がんが多いわけではありません。

 世界には、もっと自然放射線が高い場所があります。イランのラムサールというラジウム温泉で有名な保養地では、年間の線量が最大で200ミリシーベルト以上にもなりますが、やはりがんの増加は認められていません。

 そもそも、日本人が(僕もですが。と中川教授)愛して止まない温泉は、自然放射線が高いのです。例えば、名湯として有名な有馬温泉(兵庫県)もラドンを含む「放射能泉」の一つです。

 わずかな放射線を徐々に浴びる場合、身体への影響はほとんどないと多くの専門家が考えています。「1ミリシーベルトを超えると被曝はすべて危険だ」という人もいますが、科学的な根拠はありません。実際、平均的な日本人は年間5ミリシーベルトを超える被曝をしています。自然被曝に加え、「医療被曝」もあるからです。次回はこの点をお話しします。

《次回予定の医療被曝の稿は割愛しますが、興味のある人は是非目を通して下さい。》

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2011年11月12日 (土)

微生物 セシウム9割除去

          ブーゲンビリア
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 毎日新聞(11/11)から、
 広島国際学院大の佐々木教授(バイオ環境化学)らの研究グループは、微生物を使って泥の中の放射性物セシウムを回収する方法を開発した。9月に広島市内で採取したヘドロでの実験では、セシウムを約90%除染することに成功した。実験に用いた光合成細菌が、カリウムとよく似た性質のセシウムを取り込んだ可能性があるという。佐々木教授は「汚染された土壌にも使える技術ではないか」と話している。

 バイオ技術を活用した放射性物質の除去を研究している佐々木教授と、広島市の水道関連資材販売会社「大田鋼管」が9月、福島市内の公立学校のプールからヘドロを採取し現地で実験した。細菌90グラムをアルギン酸などに混ぜた粒状物質をビー玉大にし、濃縮したヘドロ50リットルに投入。3日間の放射線量を計測した。

 その結果、実験開始前に毎時12・04〜14・54マイクロシーベルトだった放射線量は同2・6〜4・1マイクロシーベルトまで減少した。実験中、プール周辺では福島第1原発事故の影響で同1・2マイクロシーベルトの放射線量が測定されていたが、差し引くと最大89・4%除去できていた。

 実験に使った細菌は、表面にあるマイナス電気で物質を引き寄せる性質があり、プラス電気のセシウムを吸着した。また、細菌はカリウムを取り込んで生きるが、取り込まれる際に似たような動きをするセシウムも吸着したとみられる。

 細菌を混ぜた粒状物質は、乾燥して焼却すると容量は75分の1、重さは100分の1に減る。セシウムは温度640度でガス化して拡散するが、500度以下なら拡散しない。

 佐々木教授らは土壌での実証実験も予定しており、「常温常圧で、現地で除去作業ができるのが利点。コストも安く、福島の再生のために是非普及させたい」と話している。

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2011年11月11日 (金)

11年版犯罪白書

 毎日新聞(11/1)から、
 法務省は11日、11年版の犯罪白書を公表した。昨年の「再犯者率」(42・7%)と「再非行少年率」(31・5%)はいずれも過去最悪を記録した。再犯防止策を積極的に推進する必要性が改めて浮き彫りになった。

《犯罪を取り締まらなければならない筈の警察官の暴力団との癒着、盗撮、痴漢行為、道交法を無視した歩道の自転車走行など、メディアの報道は連日のように続く。芯から腐ってしまった日本人の道徳心を元に戻すには一筋縄では行かないだろう。》

 白書によると、10年の刑法犯の検挙人数32万2620人のうち、再犯者は、同省が算出を始めた89年以降でもっとも悪い数値だった。少年に限っても10年の検挙人数8万5846人のうち、再非行少年は2万7050人に上り、再非行少年率は同じく同省が算出を開始した75年以降で最悪となった。

《子どもは大人を見て育つ。大人の世代の荒れ果てた姿はそのまま次の世代が受け継いでいく。ゆとり教育で子どもたちの箍が緩んだように、犯罪や非行を見ても、「おい」「こら」も言えないで敬語まがいの言葉を使い、厳しく取り締まることができなくなった「民主警察」は、何の威力もなくしてしまった。暴走族の取締りを見ても大山鳴動してネズミ1匹捕まえるのが精一杯のところだ。法務省の言う「再犯防止策」の具体的内容が全く見えないが、言葉の羅列、心構えで終わることのないように願いたいものだ。》

 Photo 〖再犯者率〗
 14歳以上の刑法犯(自動車過失致死傷罪を除く)の1年間の検挙人数に占める再犯者の割合。「殺人を犯して出所した人」など特定のグループ(母集団)を設定し、一定期間内にどの程度の人が再犯を起こしたかを算出する「再犯率」とは異なる。「再非行少年率」な、犯行時14〜19歳の刑法犯の1年間の検挙人数のうち、前にも犯罪を起こしたり補導を受けたことがある少年の割合を示す。

 また、刑務所に入るのが2回目以上となる「再入者」は昨年1年間で、1万8505人。初めて刑務所に入る「初入者」を4年連続で上回り、入所者全体の56・2%を占めた。再入者のうち約2割が5度目以上の入所者で、深刻な累犯受刑者の実態を示した。

《懲りない人たちは、シャバにいるより刑務所が住みやすいところなのか、中の刑務官たちが優しくて会いに来たくなるのか。どうにも締まりのない話だ。》

 法務省は昨年2月以降、「再犯防止対策推進会議」を設け、再犯防止策を議論。同8月、刑務所の
 ▽出所者に対する就労支援や定住先の確保
 ▽受刑者に対する職業訓練や技術指導の充実
 ▽特に再犯を起こしやすい薬物・性犯罪の受刑者に対する効果的な改善プログラムや指導の実施──
 など対応策をまとめている。

《ずいぶんのんびりした対策だ。その間には数え切れないほどの数の犯罪や再犯が発生しているというのに。》

 法務省は今回の犯罪白書で、少年院を出た人の犯罪状況を初めて追跡調査した。調査の結果、約4割が20代前半で罰金刑以上の犯罪を起こしていた実態が浮かび上がった。

 04年1〜3月に全国53カ所の少年院を18〜19歳で出た644人(男性606人、女性38人・18歳352人、19歳302人)の「その後」を調査し、25歳の誕生日の前日までに刑が確定したケースを分析した。

 調査結果によると、出院者全体の38・5%に当たる248人が犯罪を起こし、
  有罪判決が確定。うち15・1%が実刑
            15・2%が執行猶予
             8・2%が罰金だった。
 25歳になるまでに複数回、罰金刑以上が確定していた人も14・5%いた。

 また、犯罪を起こした時期については、少年院を出てから(または仮退院後の保護観察終了から)1年以内に犯行に及んでいたケースが過半数を占めていた。また、出院後2年半以内では8割に達し、白書は「成人後の数年間における犯罪防止対策が特に重要」と指摘している。

《このような実態を知れば知るほど社員や従業員を募集する側は、出院者や仮退院者の採用を思いとどまることになる。更生して出てきても、受け入れるところがなく、彼らをますます反社会的な人間に閉じ込めているようなものだ。》

《この根本には家族の柱たる家長の存在がなくなった時代的背景があるのだ。子どもを自由に育てるという育て方で、自由には責任の裏付けがあるから自由であり得ることを理解できず、それを教えることなく来たからだ。この「親」とはすでに団塊の世代がそうであり、半世紀以上も「自由の本質が責任である」ことの問題が理解されないまま、自由気ままに時代が推移したことの結果が現在の日本の社会現象を形づくっているのだ。現在の「自分さえ良ければそれでよい」日本人の精神構造は、恐らく取り返しのつかないところに来ているのではないだろうか。

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2011年11月10日 (木)

生活保護ってどんな制度?

 毎日新聞(11/10)から、
 生活保護を受ける人が過去最多になった。実は生活保護のことよく知らないのだけれど、どんな制度なんだろうか。憲法25条には「健康で文化的な最低限度の生活」が保障されている。高齢や病気、障害などで働けなくなった。失業して仕事が全く見つからない。貯金が尽きてしまって家賃を払えないなど、そんな時でも最低限度の生活ができるよう支え、自立を後押しするため、1950年に今の生活保護法が制定された。「最後のセーフティーネット」とも言われる。

 Q どのような支援があるの

 A  ①食費や光熱費などの生活扶助
   ②アパートの家賃など住宅扶助
   ③義務教育の教材費などの教育扶助
   ④医療扶助
   ⑤介護扶助
   ⑥出産扶助
   ⑦高校の授業料や技能習得などの生業扶助
   ⑧葬祭扶助
  など、8種類がある。受給者は医療や介護の自己負担がない。住宅扶助や生活扶助には地域や世帯構成によって異なる「基準額」が設けられている

 Q  基準額って?

 A 例えば東京都区内で33歳の夫、29歳の妻、4歳の子どもの3人が暮らす世帯の場合、児童養育加算を合わせた生活扶助17万5170円と住宅扶助の上限額6万9800円の合計24万4970円になる。障害者や母子世帯などには加算もある

 Q 仕事が見つかったら支給は打ち切られるのか

 A 収入が基準額以下であればその差額分が支給され、超えれば支給は打ち切られる。働く能力があるのに理由もなく働こうとしない人は、そもそも支給の対象にはならない

 Q 生活の最後の砦なのに、偏見もあるようだが

 A 収入を申告しない不正受給や、受給者を住まわせ保護費の一部をピンハネするような貧困を食い物にするビジネスがあるからだ。不正受給は09年度で約102億円。3兆円を超える保護費の総額からみれば0・3%と割合は低いが、暴力団が関与する例もあり、防止策が徹底されているとはいえない

《数年前に学校給食費未納問題が取り上げられたとき、全体の学童数に占める未納者の割合の低いことを言い、「騒ぐことでもない」発言もあったが、モラルの問題は数字で片付けられることではない、僅か数名の未納者であっても問題にすることが必要だ。不正受給は、年金問題でもしばしば報道されるように、亡くなった親の年金を何年にも亙ってネコババする悪質な者もいる世の中だ。しかし、今回の貧困を餌にした不正受給がでることを、リスクとして考えるには、日本人の「モラルの喪失」と捕らえては余りに悲しい現実だ。》

 Q 生活保護を受けずに働いているのに、受給者より低収入の人もいるようだ

 A 社会保障審議会の部会が5年に1度、全国消費者実態調査の結果を基に、一般国民の水準と比べて妥当かどうか検証する。来年末をめどに結論が出るが、基準の見直しだけでは根本的な貧困対策にはならないだろう。低所得者層は若者から高齢者まで広がっており、生活保護だけに頼らず「最低限度の生活」を保障するセーフティネットの仕組みが求められている。

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2011年11月 7日 (月)

TPP参加問題「わからない」最多4割

 毎日新聞(11/7)から、
 5、6両日、全国世論調査を実施した。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉について「参加すべきだ」が34%で、「参加すべきでない」(25%)を上回った。ただ、「わからない」も39%の上った。外国への原発輸出については「反対」が65%に達し、「賛成」は31%にとどまった。政府は10月末、ベトナムへの原発輸出で合意したが、福嶌第1原発事故後の輸出再開には慎重論も根強い。

《参加の是非を問う前に、TPPと聞くだけで何のことかチンプンカンプンの拒否反応を抱く老人世代は世論調査の何%を占めているのだろうか。調査に抜けているのは世代構成だが、老人は知らなくてもいいと、切り捨てられているのだろうか。第1、TPPは何をしようとの会議なのか、そのことの説明を国は老人だけではなく、国民のすべてに説明して来たのだろうか。今、与党民主党内ですら合意を得られず、賛否問題では党は2分されかねない雲行きなのに。》

Tpp_2 TPP交渉を巡り、野田首相は12日からハワイD開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)での参加表明について「関心がある」との回答が70%を占め、「関心がない」(28%)を大きく上回った。関心が高い一方で、参加の是非は「わからない」との回答が多く、政府が十分な情報を提供できていない現状がうかがえる。

 支持政党別でみると、民主党支持層は「TPPに参加すべきだ」が47%に上り、「参加すべきでない」の17%を大きく上回った。一方、自民支持層は「参加すべきだ」(32%)と「参加すべきでない」(37%)が拮抗した。

 東日本大震災の復旧・復興財源として所得税や法人税を増税することには「賛成」が52%に上り、「反対」の45%を上回った。復興増税の期間については「なるべく長くして単年度の負担を減らす」が54%を占め、「なるべく短くして現在の世代で負担する」(40%)を上回った。

 内閣支持率は42%と、10月の前回調査を8ポイント下回った。支持率が50%を割ったのは、9月の野田政権発足後初めて。逆に不支持率は前回から9ポイント増え、31%になった。支持政党別にみると、民主支持層の内閣支持率も前回85%から、今回77%の下落している。

 政党支持率は民主21%、自民19%だった。民主党は前回調査から5ポイント増加。「支持政党はない」と答えた無党派層は46%だった。

《それにしても、政権を追われた自民の凋落ぶりは凄まじい。国会討論をみていても、旧来の野党以上の無力さに同情を禁じ得ない体たらくだ。》

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2011年11月 6日 (日)

アスピリン 癌の予防効果に注目

 どういうわけか子どもの頃の我が家には、アスピリンが常備されていたようだ。当時のそれは、瓶入りの粉末で、雲母を砕いたようなキラキラと光る状態になっていた。それを耳かき状の小さな匙で掬ってオブラートでくるみ、熱が出たり、頭が痛むと温かいお湯で飲まされたのを覚えている。

 以来、80歳になった今も、私(妻は薬にはうるさくて、その時々の症状に応じて相応しいものを服用する)には欠かせない解熱、沈痛(いや、腹痛時にも、目眩や極度の疲労時にも)の万能薬として欠かしたことがない。現在は粉末から錠剤(30錠入り)に姿を変えたが救急箱には必ず入れてある。しかし、必ずといっていいほど1、2錠飲んでは買い置いたまま期限切れになっていることが多く、何カ月、いや1年も2年も過ぎて次に必要な時には薬局に走り込むことになる。新しくなっても又、せいぜい多く飲んだ時でも3、4錠で終わる。念のため、今、救急箱を調べたところ26錠を残したまま今年の6月で期限が切れていた。

 私の薬嫌い、医者嫌いには妻も呆れる。子どもの頃は両親が心配して風邪をひけば父の会社の医務局に行かされていた。余程のことでないと医者には頼らない。30歳を過ぎた頃、けだるい身体で珍しく病院を訪ねた。「○○さん、ここまでどうして来ました?」「普通に歩いてですが」「え、40度2分もあるよ、何ともないの?」「ふつうだけど」。この年になるまでに医者にかかった最後だ。38度あっても9度超しても熱にはめっぽう強く会社を休んだこともない。人間の身体は酷使してどれだけ長持ちするか、現役時代からそう大言壮語してきた。考えれば、敗戦後の日本復興向きの身体だったのだろう。会社の健康診断はほとんどキャンセルしてきた。勿論、今も健康飲料やサプリメントなど見向きもしない不要のものだ。水は子どもの頃の井戸水から、現在は水道水の一本やりだ。虚弱児で生まれた身体の筈だが結構長持ちしている。

【閑話休題】
 毎日新聞(11/6)から、
 解熱鎮痛薬として100年以上前に登場し、現在は血液を固まりにくくする薬としても使われるアスピリン。さらに、がん予防効果があると、注目が集まっている。英医学誌は先月、効果を示す研究論文を掲載、国内でも日本人を対象に効果と副作用を比較する研究が行われている。

 アスピリン
 アセチルサリチル酸の薬品名。独バイエル社の登録商標だったが、現在は一般名。日本でも数社が販売している。解熱沈痛用に比べ、血栓抑制用は用量が少ない。解熱沈痛の仕組みが不明だったが、1971年、発熱や痛みに関与する生理活性物質プロスラグランジンの生成を抑制していることが解明された。

 「1日75〜300mgの低用量アスピリンを数年間服用した患者を20年以上観察した結果、大腸癌の罹患・死亡率が減少した」「4年以上長期的にアスピリンを服用した患者を追跡したところ、固形癌や腺癌による死亡リスクが低下した」

 昨年末から今年始め、英医学誌ランセットに英オックスフォード大の研究成果が掲載された。いずれもアスピリンによる心血管疾患の予防効果を調べたデータを、癌発生の観点から解析した研究だった。前者は少ない容量でも効果があったとし、後者は大腸癌以外の複数の固形癌に予防効果があったと報告している。

 アスピリンによる人の癌の予防効果が指摘されたのは88年。服用者の大腸癌罹患率が、服用していない人よりも約40%低いことをオーストラリアの研究者が報告した。その後も欧米で同様の効果が報告された。アスピリンの抗炎症作用が、癌も有効と考えられている。

 しかし、消化管出血などの副作用があった。このため米保健福祉省の米国予防医療サービス作業部会は07年、害が利益を上回る可能性があるとして、「一般の人へは勧めない」と結論づけた。国立癌研究センターの津金・予防研究部長も「『効果があった』という報告が増えたという現状でも、何も症状がない健康な人が、不利益を受ける可能性は減っていない」と慎重な姿勢を示す。

 一方で期待されるのが、大腸癌のリスクが高い人への効果だ。石川・京都府立医大特任教授らは、遺伝的に高率で大腸癌を発生する家族性大腸腺腫症の患者を調べた。患者34人を毎日アスピリン100mgを服用する群と同量の偽薬の群に分け、6〜10カ月投与した。結果解析中の石川特任教授は「アスピリンによって、前癌状態のポリープが小さくなった人もいたが、潰瘍など重い副作用も併発した。今後は量を減らすことなどを考えたい」と話す。

 これまでの報告はいずれも欧米人対象で、日本人対象の大規模研究は行われていない。米国は心筋梗塞など血栓症疾患のリスクが高いが、日本では出血性疾患のリスクが高いなど、疾患の特徴が異なる。津金部長は「日本人にとっての利益と不利益を評価するためには、日本人を対象にした大規模研究が必要だ」と指摘している。

 英ニューカッスル大 ジョン・バーン教授の話。
 アスピリンの癌予防効果に付いては、20年以上の研究の蓄積がある。さらに10月に発表した私たちの成果を含め最近1年間の研究成果は目覚ましい。私は遺伝的に癌が発生しやすい患者について研究しているが、大腸癌のほか、子宮内膜癌、卵巣癌、胃癌については予防効果があると思う。一方、乳癌や前立腺癌については曖昧だ。研究を進めていけば、遺伝的に癌になりやすいなど、リスクの高い人に対して使うことができるだろう。
 アスピリンは安く、入手しやすい。副作用が出る人と出ない人、代謝が早い人と遅い人など、それぞれの最適な用量を明らかにして、安全に服用できるようにするのが研究目標だ。

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2011年11月 5日 (土)

震災がれき処理

 毎日新聞(11/5)から、
 環境省が、東日本大震災で発生した岩手、宮城両県のがれきの広域処理について、全国調査の結果を公表した。受け入れに協力的な回答は54市町村・一部事務組合で、4月の調査と比べ10分の1以下に激減した。がれきは両県で2000万トンを超え、悪臭を放ち火災も引き起こしている。広域処理がすすまなければ、復興の足枷になるのは間違いない。受か入れを決めたのは、山形県内の一部市町村と東京都だけだ。都内では3日、岩手県宮古市から運ばれた廃棄物の処理作業が始まった。都は13年度までに宮城県分も含め、50万トンの受け入れが可能だとしている。

 東京都は、被災地だけでなく、都内に運び込まれてからも、繰り返し放射線量を測定し、データをホームページで公開している。埋め立て可能な焼却灰などの放射線量の基準は、国のガイドラインに沿っている。一方で、焼却灰の放射性物質濃度などを測る焼却試験の結果に基づき、コンテナ搬入時の廃棄物の許容線量について、都独自の基準も設けた。

 受け入れ表明後、都には2000件を超える抗議電話やメールが殺到した。安全対策と情報公開に万全を期した上で受け入れた都側の対応からは、被災地の復興を国全体で支えたいとの姿勢が感じられる。(5日社説より)

《震災直後「天罰」発言をした石原知事の反省でもあろうか。ここにきて、逞しいリーダーシップを見せ始めている。》

《東京都の人口1千300万人の2000件だ、鼻糞、目くそのようなものだ、何も気にすることはない。大震災の情報が流れるや否や、都市圏のスーパーやコンビニからはミネラルや食料品、消耗品の狂気の買い占めが起った。自分さえ良ければよい考えの愚かな人間たちだ。ミネラルに至っては3.4カ月の期間、居住する地のスーパー、コンビニにも並ぶこともなかった。》

《日を追って、マスコミが微に入り細にわたる放射線量の雑多な輻輳する情報を繰り返し、重箱の隅をつつくような大量の数値は、国民への風評被害を隅々まで浸透させた効果と影響は大きいものがある。それを元に戻すのは並大抵のことではないが、東京都が具体的な測定と基準値の確認を基に処理をはじめたことは、全国の自治体への安心感を与えることになるだろうことを期待したい。》

 被災地に人たちは、8カ月近く経っても片づかないがれきの山を見て「気分が滅入る」と嘆いている状況だ。十分なリスクコミュニケーションに基づき、その声を受け止める一歩を全国各地で踏み出したい。

 ▽「日本人 だめになった証拠」
 東日本大震災で発生した岩手県宮古市のがれき(災害廃棄物)を東京都が受け入れたことに抗議や苦情が相次いでいることについて、石原都知事は4日の定例記者会見で「何もせずにどうするのか。力のあるところが手伝わなかったらしょうがない。みんな自分のことしか考えない。日本人がだめになった証拠の一つだ」と痛烈に批判した。

 都によると、2日現在、「がれきを持ち込まないでほしい」などと苦情や抗議の電話とメールが2868件寄せられる一方で、賛成は199件にとどまった。石原知事は「がれきから放射能が、がんがん出ているものを持ってくるのではない。(放射線量を)測って何でもないから持ってきている」と話した。

 (5日夕刊)4日の定例会見で、さいたま市長が、災害廃棄物受け入れは、安全性理由に国へ「困難である」と回答したことを明らかにした。県資源循環推進課によると、県内の他の全62市町村でも受け入れが難しい旨を回答したという。

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2011年11月 4日 (金)

援交斡旋の「社長」は中3の15歳の少女だった

 3日、ここまで来たのかと思わせる少女たちの、性を売り物にした乱脈ぶりをテレビが取り上げていた。

 千葉県警が、援助交際を斡旋したとして児童買春・ポルノ禁止法違反(周旋)などの疑いで、千葉県内の公立中学3年の女子生徒(15)と千葉市のタクシー運転手川井容疑者(30)を逮捕した。
 
 援助交際と表現しているが、やっていることは売春そのものだ。14歳〜17歳6人のグループを結成し、テレクラなどで男性客に声をかけ売春代に2万円を取っていたという。斡旋をしていたグループのリーダーは「社長」と呼ばれ、15歳の中学3年の女子生徒だった。

 タクシー運転手の川井容疑者が非番を利用し、男性客の指定するホテルなどに少女を乗せて送っていき、売春行為が終わると少女を乗せて連れ帰っていたという。2人の逮捕容疑は6月26日、船橋市内のラブホテルで男性客(36)と私立中3年の少女(14)を引き合わせて売春の斡旋をした疑い。
 
 客は少女に19歳と言われ、2万円を払ってホテルで1時間を過ごし、性行為を行なった。テレビでは2万円のうち1万2000円が「社長」と川井側にいったように報じていたが、2000円は売春を行なった少女自身がテレクラで客の男性を見つけた手数料として折半の上にプラス2000円だったようだ。

《客引きまで自分で行なって売春をするのは強制されてのことか小遣い稼ぎに積極的だったのだろうか。いずれにしても恐ろしい14歳だ。これでは一方的な「買う者がいるから」の論理は通用しない。》

 7月に少女が川井容疑者と深夜、ワゴン車に一緒にいるところを職務質問された。後に売春をしていたことに罪悪感を持ち、警察に相談したことから事が明るみに出、売春グループの存在がわかった。

 グループは女子生徒も含んで14〜15歳が5人、17歳が1人で、今年5月からテレクラや伝言ダイヤルで知り合った男性客を相手に売春をしていたという。女子生徒と川井容疑者は数年前、花見で別々のグループだったが意気投合し、仲間を集めての売春グループをつくり、女子生徒は「社長」を名乗って首謀者になっていた。

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2011年11月 3日 (木)

福岡「海の中道」飲酒運転3児死亡に懲役20年確定へ

 毎日新聞(11/3)から、要約と、《》内は私見。
 福岡市の「海の中道大橋」で06年8月に起きた飲酒運転による3時死亡事故で、危険運転致死と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた元市職員、今林大被告(27)に対し、最高裁第3小法廷(寺田逸郎裁判長)は10月31日付で、被告の上告を棄却する決定を出した。危険運転致死傷罪の成立を認めて、被告を懲役20年とした2審・福岡高裁判決(09年5月)が確定する。

〖2審判決の認定内容〗
 今林大被告は06年8月25日夜、酒を飲んで前方注視が困難な状態で乗用車を運転。海の中道大橋を時速約100キロで走行し、大上哲央(あきお)さん(38)一家5人の乗った車に追突、博多湾に転落させ、長男(当時4歳)、次男(同3歳)、長女(同一歳)を水死させた。さらに現場から約300メートル逃走後、知人が持参した多量の水を飲んで警察の飲酒検知を受けた。

 同罪を構成する「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」の成否に関する初の判断だ。小法廷は、被告が焼酎のロック8、9杯などを飲みバランスを崩した点などから、単なる「酒酔い」ではなく「深酔い」と認定。見通しのよい直線の橋で約8秒間、前の車に気づかなかったことを「終始前を見ていなかったか、見ても認識できない状態かで、いずれにせよ通常考え難い異常な状態」と位置づけた。その上で「前方を注視して危険を的確に把握し対処できない状態で、危険運転に当たる」と判断した。

 1審・福岡地裁判決(08年1月)は「直接の原因は脇見による前方不注意」として、業過致死傷罪とひき逃げを併合した上限の懲役7年6月を言い渡した。双方が控訴した2審判決は「飲酒の影響で前方注視が困難となり、事故直前まで被害車輛を認識できなかった」と危険運転致死傷罪が成立するとした。

《常々、日本ほど酒飲みの事故や振る舞いなどに対して「酒の上」だからとして、甘い取り扱いが慣例となっている国はないのではないか、と思っていた。よく「適量の酒は薬」との弁解を耳にするが、決まった適量などあるものではない。盃一杯で顔面真っ赤、目は充血して苦しそうな状態になる人を何人も見てきた。民族的に元々アルコールに弱い日本人だが、体質、体格などの個人差による身体や神経、精神状態への影響は、考えられる以上にあるものと思う。》

 【解説】
 <危険運転致死傷罪は道交法違反の酒酔い運転より厳格に解釈され、平衡感覚が保てなかったり居眠りをするなど、運転困難な心神状態だったとの立証が必要となる。「過失犯」ではなく、傷害致死などと同種の「故意犯」とされるためだ。事故を積極的に意図しないが、危険性を知りつつ敢えて実行する「未必の故意」があったとの立証が求められる。

 小法廷の決定は同罪適用に当たり「事故態様のほか、事故前の飲酒量や酩酊状況、事故前の運転状況、事故後の言動、飲酒検知結果などを総合的に判断すべきだ」と、立法時の枠組みを追認。事故直前の8秒程度、前方の被害車輛に気づかなかった点から「アルコールの影響で正常な運転が困難な状態」(同罪構成要件)を認定した。

 だが、今回の事故では、被告が大量に水を飲んだとはいえ、飲酒検知結果は酒気帯びレベルにとどまった。事故前の数分前までは比較的正常な運転が行なわれてもいた。反対意見を述べた田原睦夫裁判官は「8秒間の前方不注視の一時をもってアルコールの影響と認定すること自体が経験則違反」と主張した。

 1、2審の判断が分かれ、上告審でも反対意見が付いたことは、同罪の構成要件には解釈の幅が残ったとも言える。同罪は裁判員裁判の対象でもあり、適用基準をより明確にするための議論が必要だろう。>

 東海大教授(刑法)の池田良彦は、危険運転致死傷罪の構成要件の「アルコールまたは薬物の影響で正常な運転が困難な状態」という極めて抽象的なもので、最高裁の判断はこうした法律の曖昧さを補うことにもつながるだろう。今回の判断の背景には「飲酒して事故を起こせば厳罰を科せられる」という流れを作るための政策的な意図を感じる、と語っている。

《政策的な意図でもいい。酒を飲んでの運転がいけないのは、飲んだ量の多寡ではない。少しならいいってものではないからだ。たばこが「健康」に害があるとして禁煙が叫ばれるように、アルコールには発癌物質が含まれているのだ。原発事故で日本中が放射能に神経質になっているように、アルコールの発癌物質にもっと注意深くなってもいいのだが。》

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2011年11月 2日 (水)

「学生の質」巡り認識に隔たり

 毎日新聞(10/31)から、
       オキザリス(せいようかたばみ)
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 4割を超える企業が「学生の質の低下」を実感──。就職情報会社の調査で、こんなデータが公表された。より優秀な学生がほしい企業と、進学率の上昇で「大衆化した」大学、義務教育も含めた社会状況が混在して生み出された減少とも言えそうだ。

《一律に教育を受けても、玉石混淆の受け手による仕上がりに差が出ることは当然の結果で、大量生産される大学生の中には、これでよく卒業できたものだと思わせるレベルも混じることになる。まして大学にも難関とよばれるものから中高生レベルで楽々卒業できるところもあるが、企業はより優秀な人材を求め、そして、卒業生たちは生きていくためにそれぞれに働き場所を求めることになるが、結局は己の能力にみあった就職先に落ち着いていくことになる。》

 就職情報会社「マイナビ」(10月に毎日コミュニケーションズから社名変更)が、国内企業に実施した調査(1757社回答)によると、12年春に卒業を予定する大学生の採用活動について「前年より厳しかった」「前年並みに厳しかった」と答えた企業は81%に上った。その理由(複数解答)で「学生の質の低下」を掲げたのは52%で、全体の42%。「母集団の確保」(37%)▽「辞退の増加」(37%)など他の項目を上回り、もっとも多かった。
 
 マイナビの栗田・HRリサーチセンター長は「学生への不満はここ数年、よく耳にする。企業がグローバル競争にさらされ、社員に求められる仕事のレベルが上がったことも背景にある」と話す。「マナーや挨拶など一般常識のなさ」「主体性の欠除」が挙がることも多いという。

《流行を追うのもその一つだが、化粧にしても、服装にしても、趣味、ゲーム、音楽、ピスト自転車など、各人の主体性のなさは目に見えて衰えている。何事においても先ず口をついて出てくる「みんなが、みんなが」が良い例だ。付和雷同は古くから日本人の特徴として言われていたが、近年のそれは特にひどい状態で、揃ったように判でついたように異口同音に誰もが口にする。》

 東京都内の中堅メーカーの採用担当者はこの時期、各大学で合同企業説明会を開くと、消極的な学生がめにつく。「就職先が決まっていないにもかかわらず、会場の壁ぎわに屯し、ブースを回ろうともしない。特に男子学生はガッツが感じられず、『草食系』と言われるのも頷ける」

《敗戦後「強くなったのは靴下と女」と言われて久しいが、日本でいまほど女が強い時代はない。そしてますます男は弱くなっていくように見受けられる。》

 関東地方を中心に展開する小売会社の採用担当者は「会社説明会で『よろしくお願いします』の挨拶さえしない学生が少なくない。入社後にちゃんと仕事をしてくれるのか不安だ」とぼやく。

 これらの声を、大学側はどう受け止めているか。一橋大学キャリアの高橋シニアアドバイザーは「今の学生は、社会全体が貧しかった親世代と違い、がむしゃらに勉強しなければ未来が開けないわけではない。意欲やモチベーションに欠けているかもしれない」と、トップクラスの学生の「質低下」論は否定する。

 同大はキャリア教育の一環で、社会で活躍する卒業生が自らの経験を伝える授業がある。18日に教壇に立った投資助言会社「フジマキ・ジャパン」社長で同大非常勤講師の藤巻健史も「企業が学生に対して厳しい見方をするのは、儲かっていないからだろう。優秀と言われる大学の学生の質は落ちていない」と学生を擁護する。

 日本大学の宇田川理・就職課長も「一般論として今の学生は、挨拶なども含めたコミュニケーション能力が落ちたとの指摘は理解できる。でも、ITスキルは昔よりも向上している。総じて学生の能力は落ちていない」と述べる。

《どうかばってみたところで「挨拶は人間社会の根本だ。挨拶もできない人間に碌な仕事ができるわけがない」というのは古くからの価値観だし、今も変わることのない真実だ。ITは手段であって、仕事は人間がするものだ。》

 更に「大学が学生を磨けるのは4年間だが、実質的な就職活動スタートまでは2年余り。企業側が一括りにする学生の『質』は、小中高までの学校生活や家庭環境に左右される部分も大きい」と反論。「大学悪玉論」を否定する。

《大学だけが悪玉であることをいっているだろうか。大学で突然変異することでもあれば悪玉論も言えるだろうが、小中高や家庭環境が影響していることは言う必要もないほど当然のことで、これで反論しているつもりとは情けないことだ。》

 一方で大学進学率が5割に達したことに原因を求める見方もある。関西の新設大学の教員は「中学生程度の学力で、コミュニケーション能力が決定的に欠けた学生も珍しくない。学生の質は明らかに低下している」と打ち明ける。マイナビの栗田も「90年代以降、大学進学率が大きく伸びたことで、大学生の裾野は大きく広がった。一方で、企業が社員に求めるハードルは年々上がっており、『質低下』を問題視する動向は続くのではないか」とみる。

《強くなった女たちは、バブル期に入ると、結婚相手の男性に求める理想像として、高学歴、高収入、高身長の3つの条件を掲げるようになった(いわゆる流行語にもなった3高)。男たちは大学へ行かないと結婚相手に恵まれず、高収入も望めない、などで猫も杓子も男たちは「みんなが、みんなが」と大学へ大学へと走り出した。景気が泡と消えた現在でも、この傾向は消えることなく進学率だけは高くなっていく。併せて女性の進学熱も向上し、社会参加も加わることになる。質の低下は必然的なものだ。》

 企業と大学のギャップを埋める方策はないのだろうか。企業の人事担当と大学の就職支援担当を経験した、コンサルティング会社「採用と育成研究社」の小宮社長は「企業が『学生の質が落ちた』と繰り返すのは、大学と企業が、人材育成の観点から連携できていないからだ」という。その上で「企業側は求める人物像を『変革に耐えうるチャレンジ精神』などと曖昧な言い方でなく、具体的に示すべきだし、大学側も育成しようとする人物像を『建学の精神』など抽象的な文言に頼らずに明示する必要がある。そうしない限り、学生が『質低下』を言われ続ける状況は収まらないのではないか」と話している。

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2011年11月 1日 (火)

競技用自転車の走行に「反則金制度」導入を

 毎日新聞(11/01)から、
 参照 自転車衝突死 08/01/ 《高校自転車部の生徒2人が、真っ昼間に公道でピストを走らせ訓練中、違法駐車の車に衝突死した事故を報じたものだが、すでに3年前に起こった危険な走行、危険な自転車の事故に対する警察の対策は、具体的には何も考えていなかったことになる。》

 ブレーキを装着していない競技用自転車を運転していたとして、警視庁に交通切符(赤切符)を切られたお笑いコンビ「チュートリアル」の福田充徳(36)について、東京区検が起訴猶予処分としたことが分かった。警視庁が道交法違反(制動装置不良)容疑で書類送検した10月28日付で処分を決めた。

 送検容疑は9月28日正午ごろ、東京都世田谷区の都道で後輪のブレーキを装備していない自転車を運転したとしている。

 福田のようにブレーキを装備しない競技用自転車の公道走行を巡っては、警察が交通切符を切るケースが東京都内などで急増している。道路交通法は制動装置不良について5万円以下の罰金と定めており、警察は書類送検するが、検察側が罰金刑を求めて略式起訴をすることは極めて稀だ。捜査関係者からは「何度も切符を切られるなど悪質なケースは略式起訴すべきだ」との指摘も出ている。

《レッドカードはサッカーの世界では違反することが当たり前の行為で済んでいる。ピストで赤切符を切られてもサッカーで免疫ができているから何とも思わない。都度5万円の罰金を徴収すれば少しは影響があるかもしれないが、それよりも、抜本的な対策としてはピストの公道走行を完全に禁止する以外にはない。》

 警視庁によると制動装置不良の摘発は09年はわずか2件だったが、昨年は661件に急増した。今年は9月末までに700件と昨年を超えた。背景にあるのは、自転車ブームを受けた「ピスト」と呼ばれる競技用自転車の広まりでブレーキを取り外す愛好家が多いとみられる。

《自転車レーンが作られたとしても、危険なピストの走行は許されるものではない。流行を追いかける「みんなが、みんなが・・」流の付和雷同たちを愛好家などと呼ぶことはない、走る凶器を乗り回す「無法者」こそ相応しい呼び名だ。厳罰をもって厳しく取り締まることがのぞましい。》

 自転車は免許制ではなく、車のように反則金を納付させる行政処分の「青切符」がない。このため取締り現場では刑事手続きに入ることを示す「赤切符」が切られる。捜査関係者は「罰金刑でも前科となるため検察が消極的になっている」と指摘する。

《前科者でいいじゃないか。それだけのことをしたのだから》

 警視庁は昨年から、複数回摘発されるような悪質なケースは起訴するよう東京地検に要請しているが、まだ実例はないという。10年12月には福岡区検がピストで切符を2度切られた20代の男性を略式起訴し、福岡簡裁が罰金6000円の略式命令を言い渡したが、これは全国にも珍しいケースとされる。

《2度も切符を切られてもたった6000円では罰ともいえない》

 交通問題に詳しい高山弁護士は「自転車の違反に反則金制度がないため、好き勝手な走りが横行してきた部分はある。通行帯を明示したうえで、反則金制度の導入を検討すべきではないか」と話している。

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