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2011年11月 3日 (木)

福岡「海の中道」飲酒運転3児死亡に懲役20年確定へ

 毎日新聞(11/3)から、要約と、《》内は私見。
 福岡市の「海の中道大橋」で06年8月に起きた飲酒運転による3時死亡事故で、危険運転致死と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた元市職員、今林大被告(27)に対し、最高裁第3小法廷(寺田逸郎裁判長)は10月31日付で、被告の上告を棄却する決定を出した。危険運転致死傷罪の成立を認めて、被告を懲役20年とした2審・福岡高裁判決(09年5月)が確定する。

〖2審判決の認定内容〗
 今林大被告は06年8月25日夜、酒を飲んで前方注視が困難な状態で乗用車を運転。海の中道大橋を時速約100キロで走行し、大上哲央(あきお)さん(38)一家5人の乗った車に追突、博多湾に転落させ、長男(当時4歳)、次男(同3歳)、長女(同一歳)を水死させた。さらに現場から約300メートル逃走後、知人が持参した多量の水を飲んで警察の飲酒検知を受けた。

 同罪を構成する「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」の成否に関する初の判断だ。小法廷は、被告が焼酎のロック8、9杯などを飲みバランスを崩した点などから、単なる「酒酔い」ではなく「深酔い」と認定。見通しのよい直線の橋で約8秒間、前の車に気づかなかったことを「終始前を見ていなかったか、見ても認識できない状態かで、いずれにせよ通常考え難い異常な状態」と位置づけた。その上で「前方を注視して危険を的確に把握し対処できない状態で、危険運転に当たる」と判断した。

 1審・福岡地裁判決(08年1月)は「直接の原因は脇見による前方不注意」として、業過致死傷罪とひき逃げを併合した上限の懲役7年6月を言い渡した。双方が控訴した2審判決は「飲酒の影響で前方注視が困難となり、事故直前まで被害車輛を認識できなかった」と危険運転致死傷罪が成立するとした。

《常々、日本ほど酒飲みの事故や振る舞いなどに対して「酒の上」だからとして、甘い取り扱いが慣例となっている国はないのではないか、と思っていた。よく「適量の酒は薬」との弁解を耳にするが、決まった適量などあるものではない。盃一杯で顔面真っ赤、目は充血して苦しそうな状態になる人を何人も見てきた。民族的に元々アルコールに弱い日本人だが、体質、体格などの個人差による身体や神経、精神状態への影響は、考えられる以上にあるものと思う。》

 【解説】
 <危険運転致死傷罪は道交法違反の酒酔い運転より厳格に解釈され、平衡感覚が保てなかったり居眠りをするなど、運転困難な心神状態だったとの立証が必要となる。「過失犯」ではなく、傷害致死などと同種の「故意犯」とされるためだ。事故を積極的に意図しないが、危険性を知りつつ敢えて実行する「未必の故意」があったとの立証が求められる。

 小法廷の決定は同罪適用に当たり「事故態様のほか、事故前の飲酒量や酩酊状況、事故前の運転状況、事故後の言動、飲酒検知結果などを総合的に判断すべきだ」と、立法時の枠組みを追認。事故直前の8秒程度、前方の被害車輛に気づかなかった点から「アルコールの影響で正常な運転が困難な状態」(同罪構成要件)を認定した。

 だが、今回の事故では、被告が大量に水を飲んだとはいえ、飲酒検知結果は酒気帯びレベルにとどまった。事故前の数分前までは比較的正常な運転が行なわれてもいた。反対意見を述べた田原睦夫裁判官は「8秒間の前方不注視の一時をもってアルコールの影響と認定すること自体が経験則違反」と主張した。

 1、2審の判断が分かれ、上告審でも反対意見が付いたことは、同罪の構成要件には解釈の幅が残ったとも言える。同罪は裁判員裁判の対象でもあり、適用基準をより明確にするための議論が必要だろう。>

 東海大教授(刑法)の池田良彦は、危険運転致死傷罪の構成要件の「アルコールまたは薬物の影響で正常な運転が困難な状態」という極めて抽象的なもので、最高裁の判断はこうした法律の曖昧さを補うことにもつながるだろう。今回の判断の背景には「飲酒して事故を起こせば厳罰を科せられる」という流れを作るための政策的な意図を感じる、と語っている。

《政策的な意図でもいい。酒を飲んでの運転がいけないのは、飲んだ量の多寡ではない。少しならいいってものではないからだ。たばこが「健康」に害があるとして禁煙が叫ばれるように、アルコールには発癌物質が含まれているのだ。原発事故で日本中が放射能に神経質になっているように、アルコールの発癌物質にもっと注意深くなってもいいのだが。》

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