絞首刑は憲法違反
毎日新聞(10/13)から、
5人が死亡した大阪市此花区のパチンコ店放火殺人事件で殺人などの罪に問われた高見被告(43)の裁判員裁判で、争点となった「死刑の違憲性」の審理が12日、大阪地裁(和田真裁判長)で開かれた。元最高検検事の土本武司・筑波大名誉教授が弁護側証人として出廷。「死刑制度そのものは違憲ではないが、絞首刑は(残虐な刑罰を禁じた)憲法36条に違反する」と指摘。死刑執行に立ち会った経験を振り返り、絞首刑について「むごたらしく、正視に堪えない残虐な刑だ」と述べた。
《それより先、人間の尊厳を踏みにじり、むごたらしく他人の命を奪ったのは死刑囚の方だ。従来からの日本人の生命倫理、宗教観からは、死刑は因果応報、自業自得とも受け止められ、昨今のように見境なしに他人の命を奪う事件が発生しては、死刑廃止に向かうことは期待できないことだ。日本では死刑執行は基本的に密室で行なわれるが、米国のように脳天と両腕に電極をつなぎ、高圧電気で感電死させるのも、注射によって薬殺するのもそれを見るものには、むごたらしく悲惨であろうが、多くの州では被害者の家族への配慮や刑の透明性を高める目的で、死刑囚の家族に加え、被害者や遺族、ジャーナリストの立ち会いを認めているほどだ。因みに米国では、1972年、連邦最高裁で「死刑は憲法違反」として各州が死刑廃止したが、1976年、最高裁が連邦最高裁の判断を覆し、再び死刑を復活させる州が相次いだ。現在50州のうち37州で施行されているが、21州では凍結させている。》
土本氏は東京高検検事として死刑執行に立ち会った。土本氏は当時の手記を手に「(絞首台の)踏み板が外れる音がした後、死刑囚はロープが首に食い込み、宙づりになっていた。医務官らが死刑囚の脈などを確かめ『絶息しました』と告げていた」と振り返った。
閉廷後、記者会見した土本氏は、弁護側証人となった理由について「元検事としてためらいはあったが、裁判員が絞首刑の何たるかを知らずに死刑を適用するかどうかの作業に参加するのはよくないと思い、情報提供の必要性を感じた」と話し、国にも死刑執行に関して積極的な情報の開示を求めた。
《その昔のように、町なかに立て札を立てて死刑執行の期日を知らせ、広場に竹矢来(たけやらい)を組んで、衆人環視の中で数人の役人が槍を突き刺しての刑死や、同じように斬首をした後、曝し首にして「悪いことをすればこうなるぞ」と町なかに放置したようなことは現在ないが、翻って現在、残された遺族などは、刑場での立ち会いができれば、或いは哀しみから立ち直れる場合だってあるだろう。日本のある首相が言ったが、「人はそれぞれ」だ。もしも私がその立場なら、他人の命をむごたらしく奪ったような奴には、目には目を、歯には歯を、死刑の方法は残酷であればあるほど溜飲を下げることだろう。》
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