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2011年9月30日 (金)

「カレログ」やり過ぎた

 毎日新聞(9/30)から、
 「カレの居場所が分かる」との触れ込みで女性向けに公開されたスマートフォン(多機能携帯電話)用のアプリケーション(アプリ)の「カレログ」が、「プライバシー侵害だ」「スパイプログラムでは」などと物議を醸している。恋人や配偶者の居場所が逐一わかるアプリが騒動をもたらした。

《恋人や配偶者といいながら、相手を信頼できず、疑心暗鬼で見ているのが今頃の女なのか。逆にいえば、己の心にやましい思いがあるからこそ、相手をそのように見、そのように映るのだ。ちょっとした調査やアンケートでも、男の携帯を盗み見る女は恐ろしいほど多い。見て当然のように言い放つタレントもいるくらいだ。プライバシーを声高に叫びながら他人の人権を踏みにじって平然としているのだ、》

 カレログは「彼氏のログ(履歴)」の意味。居場所を知りたい相手のスマホにインストールすると、スマホのGPS(全地球測位システム)機能などを使って集めた位置情報を、パソコンで確認できる。通話記録やバッテリー残量も分かる。アプリ開発のマニュスクリプト社」(東京都中野区)が8月30日に公開した。

 同社は浮気防止のため、彼のスマホにアプリを入れてこっそり追跡する使用法をアピール。同日夜には抗議メールが約30通届き、短文投稿サイト「ツイッター」でも批判が高まった。

《抗議は、脛に傷持つ男たちからだけではあるまい。他人のスマホに侵入し、行動を追尾するなど、例え浮気をしていたとしても、盗み見するその行為は浮気以上に恋人や夫への背反行為であり、紛れもない人権侵害となる。マニュスクリプト社には、その程度の人権意識をもつアプリ開発担当者もいないのか。「やり過ぎた」と反省する前に軽々しく調子に乗り過ぎた反省こそするべきだ。》

 数日後には、ウイルス対策大手のマカフィー社が「不審なプログラム(PUP)」に認定。スマホの所有者にカレログが入れられたことを明示する機能がなく、いわば〝隠れて〟個人情報を外部に送信するので「スパイプログラムのようで、悪用の危険があった」と認定理由を説明する。

 マニュスクリプト社は、抗議が広がったため翌31日にはサイトに謝罪文を掲載。その後、通話記録を送信する機能は停止し、スマホを作動させるとカレログのアイコンが常に表示されて、カレログが動いていることが分かるように改良。マカフィー社は改良版はPUP認定していない。

 位置情報を共有する仕組みは、起業などですでに使われている。子どもの居場所を保護者に知らせたり、友人同士で現在位置を通知し合ったりするサービスもあり、自ら登録するか、親が自分の子どもを登録して使い場合は問題はない。しかし、相手の同意なく利用すると、「意図に反して位置情報などを送信した」として刑法の不正指令電磁的記録供用罪にあたる可能性もある。

 マニュスクリプト社の光浦社長は書類の企画・編集を手がけてきたが、デジタルコンテンツに手を広げようとアプリ開発を始めた。「無名の会社なので、浮気防止に機能を絞れば関心を呼ぶのではないかと考えたが、やり過ぎだった。こんなに非難を浴びるとは思わなかった」と振り返る。カレログのダウンロード数は約1万5000(9月16日現在)で、実際に利用されているのは約半数。9月末で試用無料期間を終了し、10月1日から本格的なサービスを始める予定。

 総務省は「個人の所在情報保護の必要性は高い」とし、カレログについて「本人の同意の有無が重要。PR方法に問題があった」と指摘する。マニュスクリプト社から「恋愛支援アプリとしてサービス改善を検討している」との説明を受け、今後を注視している。

 インターネットの法律に詳しい森亮二弁護士は「他人のスマホにアプリを入れる発想はこれまでにないもので、プライバシーを尊重する感覚が希薄になっているのではないか。公開時に監視ツールだったことは否定できない」と指摘。カレログは、同意が前提のサービスと認められる余地は出てきたが「恋愛を支援するどころか、破壊するサービスだ」と危惧する。

《覗き見趣味の女心を知っていたのはいいが、肝心の個人情報保護に無知であったことが騒ぎを大きくしたことにつながったようだ。》

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