10年度国語に関する世論調査
毎日新聞(9/16)から、要約と《 》内は私見。
文化庁 10年度国語に関する世論調査
調査目的・方法等
調査目的:日本人の国語に関する意識や理解の現状について調査し,国語施策の 立案に資する。
調査対象:全国16歳以上の男女
調査時期:平成23年2月
調査方法:個別面接調査
回収結果:調査対象総数 3,485 人
有効回収数(率) 2,104 人(60.4%)
調査結果の概要
先ずは、言葉や言葉の使い方について、どの程度関心があるかを尋ねたが、「関心がある」は8割強。経年調査の結果の中でもっとも高い。
年齢別に見ると、「関心がある(計)」の割合は、全ての年代を通して7割台半ばよりも高くなっている。特に40代では9割弱となっており、他の年代に比べて高い。そのうち、「非常に関心がある」は、16〜19歳で1割に満たないのを除いて、全ての年代で2割前後となっている。「関心がない(計)」は16〜19歳と60歳以上で2割台前半となっている。「全く関心がない」はどの年代でも割合が低く、1割に満たない。
《「関心がある」の40代にとっては切実な問題提起でもある。以前より新入社員のコミュニケーション能力の不足は仕事の遂行に齟齬を生じ、その結果は外国人の優秀な人材を採用しなければならない程、企業内では中間管理層の苦労の種になっているものだ。言葉の重要性に対しての若年層の認識の甘さは、救いようのないところにきているようだ。》
冷たい外気に触れた際の感覚を表現する言葉「寒っ」について8割以上の人が気にならないと考えていることが15日、分かった。「姑息」は本来と違う意味にとらえる人が多数派を占め、「声を荒(あら)らげる」などの慣用句も誤認が多い。いわゆる「ら抜き言葉」については使う人が増えていた。
形容詞の語幹を使った言い方「すごっ」「寒っ」などについて、
「寒っ」については、「冬に暖房の効いた建物から気温の低い外に出た」との状況で当てはまる選択肢の回答を求めた。冗談がちまらなかったような状況んついて尋ねたわけではない。同様に形容詞を短縮させる言い方の「すごっ」「短っ」「長っ」「うるさっ」についても6割以上が気にならないとした。
形容詞「寒い」の語幹である「さむ」の用例は19世紀初頭の江戸時代からあるが、調査結果について、同庁の氏原・主任国語調査官は「使われる形容詞が広がっている。テレビでもよく使われ、抵抗感がなくなっている」と話している。
言葉の意味では、どちらの意味だと思うか、と「雨模様」「姑息」「号泣する」などを聞いたが、本来とは違う意味で使われることが多いことが分かった。特に「情けは人のためならず」は本来の意味で使う人は半数に満たない現実だ。
また、「姑息」を70・9%が「ひきょうな」と選び、本来の意味である「一時しのぎ」は15%だった。「雨模様」にいたっては本来の意味ではない、「小雨が降ったり止んだりしている様子」と答えた人が半数以上だった。慣用句を見ると、「大きな声を出すこと」について、79・9%が「声を荒(あら)げる」と答え、「声を荒(あら)らげる」と正答したのは11・4%に過ぎなかった。
<慣用句等の認識と使用>
二つの言い方のどちらを使うか、五つの例を挙げて尋ねた。辞書等で本来の言い方とされるものに下線を付けた。
95年度から5年ごとに調べている「ら抜き言葉」は、「来れますか」を使う人が05年度比7・8ポイント増の43・2%と、「来られますか」の47・9%と拮抗。「どちらも使う」の8・1%合わせると、「来れますか」を使う人が初めて過半数を占めた。「れる」/「られる」と同様に「せる」/「させる」はどちらを使うか聞いた。
「れる/られる」は後に続く言い方について尋ねたものだ。なお「食べれない」「来れますか」「考えれない」「見れた」「出れる?」は、これまで、共通語において誤りとされてきており、新聞などでもほとんど用いられていない。
「休まさせていただきます」「帰らさせてください」「伺わさせます」「読まさせていただきます」の四つの言い方は、共通語においては誤りとされており、新聞などでもほとんど用いられていない。ただし、「見せてください/見させてください」は、どちらも文法的には問題のない表現である。「見せてください」は、下二段活用の動詞「見せる」の連用形に接続助詞の「て」と「ください」が付いた形、「見させてください」は、上一段活用の動詞「見る」の未然形に、使役の助動詞「させる」と「て」「ください」が付いた形である。
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