看護学生への患者からの暴力
毎日新聞(8/22)から、
《行き場のない鬱憤からか、実習中の不慣れな看護学生に向けて当り散らす患者が続いているようだ。》
看護学生が実習中に患者から受けた暴力の実態を、筑波大の江守教授(看護科学)らの研究チームが調査した。学生の6割が暴力を受け、うち性的暴力が精神的暴力と並んで4割を超えていた。日本看護協会の調査では看護職員への暴力は約3割とされ、学生は2倍もあった。看護学生への暴力の実例に基づいた本格的な調査と分析は初めてという。
《協会の調べでは看護職員への『暴力は約3割とされ』とは、あって当然とも取れる問題意識のない暢気なものだ。参照に示した3年前の時点で(調査は07年)、全日本病院協会の会員の計2248病院のうち1106病院の調査でも、職員への暴力・暴言、セクハラなどが数多く発生しているが、その当時、対応マニュアルのある病院は2割弱、4割は職員からの報告体制すら確立していない実情だった。》
関東地方の看護専門学校、短大、大学計15校の看護学生712人を対象に07年度に調査した。593人(約83・3%)が有効回答した。
《「参照」の調査と殆ど同時期の調査だが(発表は翌年)、今回の筑波大の小規模な調査が発表までにこんなにも時間を要したのは何故か。発表までの4年間に、どのように病院側に変化が生じたのかを考えると、発表の中身の信頼性は色褪せてうすい。》
暴力を受けたと答えた学生は352人(59・4%)で、総件数は1498件。
種類別では 精神的暴力 44・7%
性的暴力 43・1%
身体的暴力 12・2%
性的暴力では「胸を触られた」
「手を握られ、お尻を触らせてと言われた」
「後から抱きつかれ、頬にキスされた」
「声を掛けられ、ずっと追いかけられたり、猥褻な発言があった」などの被害があった。
最も困った事例について具体的に記述した95人のうち20・0%は、暴力を受けた際、誰にも相談しなかった。「怒り」「嫌悪感」を覚え、「辱めを受けた」「人格を否定された」と感じたという。
研究チームは、担当看護職員に向けられた不満やストレスのはけ口として経験が浅い学生が攻撃対象となったと分析。
《この程度のことは「分析」などと言わなくても、素人でも想像することは簡単なことだ。それだけに色褪せた報告には「ああ、そうだったの」の感情しかない。》
三木准教授は「暴力は弱い立場の者に向く。患者との距離感の取り方など暴力防止の実技講習を行い、まず予防が大切。防犯ブザーを持たせるなど暴力を受けない環境作りも必要だ」と話している。
《患者だから、と甘やかす必要はない。「暴力防止の実技指導」で何を学ばせるのか分からないが、患者に対しては毅然とした態度こそ信頼の始まりだ。》
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