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2011年8月 8日 (月)

壮年パラサイト

 毎日新聞(8/5)“くらしの明日”私の社会保障論(山田昌弘・中央大教授) から、
 <要約>
 60年前、男性の平均寿命は60歳を切っていた。子が成人するころには親がいつ亡くなってもおかしくない時代だった。親をいつまでも頼れないと実感できたから、結婚が早かったともいえる。年金受給前に約半分の男性が亡くなるから年金財政も心配なかった。

 時が移って2011年、男性の平均寿命は80歳まで延びた。昔のように、56歳の親がもうすぐ死ぬから早く結婚しろ、と言っても説得力はない。

 日本では1人暮しの独身者は少ない。男女とも20〜34歳の未婚者の80%は親と同居している。90年代は私(山田)がパラサイト・シングルと呼んだように、親に依存しながらリッチな生活を楽しむ余裕があった。しかし、21世紀に入り、若年失業者や非正規雇用者が増え、独立や結婚するお金がなくて仕方なく親と同居し続ける未婚者が増えている。今、親と同居する未婚者(20〜34歳)は約1100万人で、同年代の半分弱。日本で少子化が進むのも当然だ。

【パラサイト・シングル】
 学校を卒業した後も親元で豊かに暮らす未婚の人をさす言葉で、90年代後半に流行した。自立に必要な生活費や家事にかける時間を趣味や高級品の消費にまわし優雅な独身生活を楽しむもので、親に寄生(パラサイト)しているようにみえることから、山田氏が名付けた。

 そして、今増大しているのが、壮年の親同居未婚者である。35〜44歳の親同居未婚者は09年には280万人まで激増した(統計研修所の西文彦氏の分析。80年は39万人)。同居する子どもの経済状態は悪く、失業者、非正規雇用者とも約一割。もう親はほぼ70歳、つまり年金生活をしている場合がほとんどだ。分析では、80年代は正社員の子が親を養う形が多かったが、00年代に入ると、実質的に親の年金で低収入の子がなんとか生活できるケースが増えている。

 つまり、ここ20年、年金制度の充実で高齢の親世代の経済力は強化される一方、経済状況の変動で、子世代の経済力が低下した。つまり、現役の子が親を養うのではなく、逆に、年金をもらっている親が同居の子を養う時代になってしまったのだ。

 親が亡くなったらどうなるか。未婚の子どもが正社員なりで経済力があれば問題ない。しかし、収入が少ないから結婚せず、親と同居し続ける場合が多いことを考えると、親の年金なしでは生活できないケースが増える。10年くらい前から、親の死を隠し年金を詐取して逮捕されるケースが報道され、昨年のミイラ化事件で話題になった。10年後からは、親が亡くなり生活ができなくなる親同居未婚者が年数万人も出てくることは間違いない。今から対策をしておく必要があるのだ。

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