改正国民年金法成立
毎日新聞(8/4、5)から、
過去に未払いだった国民年金保険料をさかのぼって納付できる期間(追納期間)について、現行の2年から10年に延長することを柱とする「改正国民年金法」が4日の衆院本会議で、民主、自民、公明などの賛成多数で成立した。無年金や低年金となりそうな人を救済する狙いがある。12年10月までに施行するが、3年間の時限措置となっている。
国民年金保険料(11年度、月1万5020円)の納付率は、10年度に59・3%と過去最悪を更新するなど低下が続く。将来無年金や低年金となる人の増加が懸念されている。
国民年金は40年間一度も欠かさず保険料を払い続けると満額(11年度、月額6万5742円)を受給できるものの、未納期間がある人も多く、他の年金への加入歴がない人の平均受給月額は約4万8500円にとどまる。受給に必要な25年の納付期間に足りず、無年金となる人も多い。政府は無年金・低年金対策を当面の最重要課題と位置づけており、昨年の通常国会に10年間の追納を恒久的に認める法案を提出した。
これに対し、自民党は反対に回った。長期の追納を認めると「後から支払えばいい」と考える人が増え、納付意欲を低下させる可能性があるという。現行法も同様の理由で2年分の追納しか認めていない。そこで与野党で修正協議に入り、10年への延長を3年間の時限措置とすることで折り合った。
《真面目に納付している人たちの皆が、楽々と年金保険料を納めているわけではない。将来の暮らしのためと思えば日々の生活を詰めても納めてきたのだ。失業し、再就職が決まるまでの期間、私も妻と同じ国民年金に切り替え、保険料は納めてきた。現状4割もいる未納者が、「後から払えばいい」で、本当に後から払えばいいが、その「後」の3年目が訪れたとき「今、払う金がない」として、再び救済措置の問題が持ちあがる可能性が多分にある。現在発生している年金に限らない未納問題(保育料、給食費、授業料、奨学金、住民税などなど)には、払えるのに払わない『逃げ得』未納者が現状いくらでもいる。》
厚労省によると、追納期間を10年に延長した場合、最大40万人が無年金にならずに済み、1710万人の年金額が増えるという。1年分を追納すれば保険料約18万円の負担を要するが、年金は年に2万円程度増える。
だが、「経済的に余裕がある人しか恩恵を受けられないのでは」との指摘もある。後払いをする際の保険料額は、国際の利率などを勘案して加算される。例えば2010年度から10年間さかのぼって納付する場合、総額は170万円以上だ。厚労省も実際の利用は推計人数の約1割、170万人程度とみる。
政府は税と社会保障の一体改革案で、低所得の人の年金に月約1万6000円を加算することや、年金受給に必要な加入期間を今の25年から10年に短縮することなどを打出した。月内に具体化に向けた議論を始める方針だという。
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