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2011年8月21日 (日)

HPパソコン分離検討

 毎日新聞(8/20)から、
 《IT産業界に、風雲急を告げる時代が到来したようだ。》

 米コンピューター大手ヒューレット・パッカード(HP)が世界首位のパソコン事業の分離検討を発表したことは、IT事業の主役が、パソコンからスマートフォン(多機能携帯電話)などに交代しつつあることをあらためて印象づけた。一方、日本の主要メーカーは企業の合併・買収(M&A)による事業拡大や高機能化などによってパソコン事業の生き残りを図る。だが、世界的にパソコンの落日が明確になる中、その戦略は岐路に立たされている。

 It_2「タブレット(多機能端末)の影響は本物だ」。HPのレオ・アポテカー最高経営責任者(CEO)は18日、パソコンの売り上げが減った要因として多機能端末の普及を上げた。

 筆頭は米アップルが昨年春に発売したiPad(アイパッド)だ。持ち運びがしやすいうえ、タッチパネルで簡単に使えることから「パソコンの買い控えを招いた」(米アナリスト)。iPad人気がHPにパソコンの分離検討への引導を渡したことになる。

 米IT企業では、老舗のIBMが05年にパソコン事業を中国の聯想(レノポ)グループに売却し、企業向けITサービスにいち早く特化した。パソコン通販で一時代を築いたデルも企業向けサーバー事業などを強化し、事業転換を急ぐ。HPも企業向けビジネスに集中する方針だ。

 HPがパソコン事業を切り捨てる判断に傾いたのは、世界的な競争激化でパソコンの値下がりが進み。利益が出にくくなっているためだ。

 「パソコンは世界トップの規模を持つHPでも苦戦している」、日本メーカーの担当者は危機感をあらわにした。日本のメーカーでは、国内市場トップのNECが、中国のレノポとの合弁会社を今年7月に発足させるなど、規模拡大によるコスト削減を目指している。

 ただ、これだけでは価格競争から抜け出せず、いずれじり貧に陥る公算がある。HPのパソコン事業がアジアなどのメーカーに買収され、巨大パソコンメーカーが誕生するという観測も出ており、実現した場合、日本メーカーには脅威となりそうだ。NECや東芝は動画や音楽などを高画質、高音質で楽しめるなど機能を強化したパソコンを開発し、海外勢との違いを出そうとしている。

 調査会社IDCジャパンの片山アナリストは「技術革新で使い勝手をよくしたり、独自性のある新しいパソコンを提案できるかが(生き残りの)ポイントだ」と話す。

 さらなる規模拡大か、パソコンの新しい価値の創造か、若しくは撤退か。日本勢は選択を迫られている。

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