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2011年6月25日 (土)

小笠原諸島 世界遺産登録が決定

 毎日新聞(6/25)から、要約と 《 》内は私見。
 《ここ数日、小笠原と平泉の観光協会やガイドが頻繁にテレビに顔を出す。決まったも同然のコメントをまじえながら、笑顔がほころぶ。嬉しいニュースに水をさすわけではないが、どちらもこれから先、わんさと押しかける観光客の傍若無人の振る舞いで、ゴミの山、貴重な自然遺産の破壊が間違いなく訪れることが心配だ。日本がいち早く候補に上げた富士山は「ゴミの山」と指摘されて以来、10年以上も浄化運動が続けられているが、未だに認められていない。パリからは小笠原諸島の決定が先に報じられたが、メディアも環境の悪化を懸念する意見が付いて回るようだ。》

 国連教育科学分化機構(ユネスコ)の第35回世界遺産委員会は24日夜、小笠原諸島(東京都小笠原村)の世界自然遺産登録を決めた。他地域では見られない固有種の多さなどが評価された。日本の自然遺産は白神山地(青森、秋田県)、屋久島(鹿児島)知床(北海道)に続き4カ所になる。

 小笠原諸島は、南北約400キロに及ぶ大小30の島々で構成される。大陸と地続きになったことのない「海洋島」で、動植物が独自の進化を遂げ、「東洋のガラパゴス」と呼ばれている。カタツムリなどの陸産貝類106種中100種(94%)、植物441種中161種(36%)、昆虫1380種中379種(27%)が固有種だ。国際的に貴重で絶滅が心配される野生生物は、オガワラオオコウモリやクロアシアホウドリなど57種に上る。登録地は、自衛隊基地がある硫黄島などを除く陸海合わせ約7940ヘクタール。

《今回の世界遺産登録でもなければ、学者や専門家、趣味の人でなければ詳しくは知らずにいたかも知れないことだ。ここ数年観光客が減少していた小笠原が、「登録」をきっかけに再びどっと集まることになれば、地域の活性化は期待されるだろうが、固有種の生息を脅かす外来種持ち込みの危険性も高まる。》

《屋久島の縄文杉も、世界遺産に指定される以前は、だれでも杉に近づき、手を広げて樹を抱えることも可能だった。それが現在は遠くから眺めることしかできないものになった。何故かは語らずとも分かろうというものだ。現実問題は次ぎのようになっている。》

 屋久島町は今月、島の象徴である縄文杉などへの観光客立ち入りを制限する条例案を提出したが、全会一致で否決された。縄文杉は樹皮をはぎ取られたりと損傷が絶えないが、町は制限すると宿泊料などで年2億3000万円の損失が出ると試算しており、経済効果を優先させた格好だ。

 《世界の遺産というよりも、島国日本の中での単なる金蔓に成り下がるのだ。小笠原もどれだけ手を尽くしても、不特定多数の観光客が押し寄せれば、絶滅種のより早い絶滅の時期を迎えることを覚悟しておかねばならないだろう。》

 現在、小笠原諸島では登録後も生態系に大きな影響を与えないとの意見が目立つ。本土との交通手段が約6日に1回の船便(片道25時間半、定員約1050人)に限られているのがその理由だという。

《だが、逆に観光客からその交通手段の不便さの改善を求められた場合、現行以上の利便をはかることを拒否し通せるのか。屋久島のように経済効果を優先させるような機運が起らない自信でもあるのだろうか。また平泉でも、今頃になって「泥棒見て縄」のガイド養成を急遽始めたようだが、金色に輝く建物や、庭園巡りに終わらず、世界遺産登録への切り札とした『浄土思想』の解説にどれだけ踏み込めるのか、課題の方が大きい。》

 ※追記(6/27)
 ユネスコの世界遺産委員会は日本時間26日未明、「平泉」(岩手県平泉町)を世界文化遺産に登録することを決めた。
  登録されるのは、中尊寺をはじめ、
          毛越寺
          金鶏山
          無量光院後
          観自在王院後 の計5資産

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