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2011年6月27日 (月)

君が代 起立斉唱(大阪)に強まる警戒感

 毎日新聞(6/27)から、
 《新聞の見出しは『君が代「強制」強まる警戒感』となっている。君が代、国旗に対する私の考えは前にも触れたが、どちらもが戦争と密接に結びつき、身内に犠牲者がでた世代の者にとっては歌うことにも掲げることにも組しないことを表明している。それに、現在の我が身は公務員でもなく、校長の指揮命令下に組み込まれた組織人でもない。それを基盤にもの言えば、敗戦後54年を経過し、復興日本の国歌、国旗として1999年8月に制定された以上、特に教職員として公式の場における校長の命令には服すべきだろう。それを「強制」ととるか「当然」ととるかは個人の思想信条を離れた問題だ。このことは何も公立学校だけに限られた問題ではない。》

 大阪府の公立学校教職員に君が代の起立斉唱を義務づける全国初の条例が13日、施行された。条例案浮上からわずか1カ月で、府議会の過半数を占める首長政党「大阪維新の会」府議団が他会派の反対を押し切り、可決・成立させた。府教委や教育現場は警戒感を強めている。

《戦前生まれの私の世代にはどうしても受け入れ難いものだが、戦争を全く知らない戦後生まれも日本の総人口の7割を超している現在、ドイツ国民のように自らの手で戦争犯罪人を裁くこともせず、曖昧なまま54年間国歌、国旗を持たず、つくろうともしなかった戦前の世代の責任は大きいが、改めて君が代が国歌、日の丸が国旗と決められた以上、国民は国家の象徴として尊敬していくのが当然のことになるだろう。》

 「そこまでやる話じゃないよね」。6月上旬、ある府立高校職員室で、成立したばかりの君が代条例が話題に上った。起立しない教職員はおらず直接の影響はないが、「条例による強制は行き過ぎ」という点ではほぼ全員が一致した。男性教諭(49)は「それでも決まった以上は仕方ない。教諭が条例に従わなければ生徒にも影響するので、起立しないという選択はあり得なくなるのでは」と話す。

 「通常の組織なら管理者交代」「起立して歌わない教員は府民への挑戦」「組織のルールに従えないなら、教員を辞めてもらう」。5月7日午前、「大阪維新の会」の代表でもある橋下知事は、府幹部に一斉にメールを送った。4月の府立高校入学式で不起立の教員は38人。このうち職務命令を受けていた2人が戒告処分になったことを報じる同日付朝刊を読んだ直後だった。維新の会幹部には条例案の議員提案を促した。

 橋下知事は元々、府教委のやり方に不満を抱いていた。99年の国旗・国歌法施行で学習指導要領に日の丸掲揚と君が代斉唱が規定され、府教委は02年、府立学校の入学式や卒業式での日の丸掲揚、教員に対する君が代の起立斉唱を文書で指導。「望ましい形」での実施率は03年度入学式で74・3%、卒業式で81・7%だったが、08年度はいずれも100%になった。

 しかし、実態は不起立の教員がいても校長が実施と看做して報告しており、09年度入学式まで校長は職務命令を出さずに厳重注意でとどめてきたため、食命令違反による懲戒処分は今回の2人を含め2件6人だけ。思想・良心の自由にかかわる問題の上、命令を出すことで職場の人間関係がぎくしゃくするのを避けたかったためとみられるが、知事には生温いと映った。

《ここでは教諭の問題としてとらえているが、これを生徒の思想信条に置き換え、生徒の多くが憲法を楯に起立斉唱を拒否することになれば、(これは実際に起こりうることで、いじめなどという平和な時代の出来事ではなく,敗戦後の混沌の時代、葉隠れの生き様を信条とし、死を覚悟していた旧制中学の少年たちの心はこれからどう生きて行くのかを模索し、路頭に迷っていた。そんな中、教室の中では少年たちを戦場に送り出すことを説いた教師が一転して民主主義を説くその背反に怒り、しばしば教員を立ち往生させるような問答を繰り返すこともあったのだ。)起立に不本意な教師はどのように生徒たちを指導するのだろう。》

 条例提案を前に知事と府教委幹部が開いた会議で、府教委は一貫して条例化に消極的だった。あくまで信頼関係を重視する中西教育長は「教委と校長が力を合わせたマネジメントで徹底したい」と強調。府議会本会議での「条例は必要ない」と答弁した。

 6月中旬、条例制定を受けて開かれた知事と府教育委員の意見交換会では、百マス計算で知られる陰山教育委員長が「条例は100%の民意を受けているわけではない」と慎重な対応を求めた。だが、知事は「最後は組織のルールに従うかどうか。府教委が努力しても、起立は徹底していない」と必要性を強調した。

 橋下知事は9月府議会で、職務命令違反を繰り返した公務員の処分条例案も提案する意向も示し、成立すれば学校現場が混乱する可能性もある。

 大阪にはアジアにルーツを持ち、日の丸・君が代の強制に抵抗を感じるとみられる教員も少なくない。橋下知事は「教員は公務員である以上、どんな思いがあったとしても起立斉唱すべきだが、子どもや保護者は別」と説明する。だが、小学校の女性教諭(24)は「教師が起立を強制されながら、子どもには『いろいろな考えがあっていい』とは教えられない」と話しており、児童・生徒への影響が及ぶ可能性も出ている。

 一方、八王子市の元中学教諭、根津(女・60)は今春の定年退職までに6回処分を受け、そのすべてで都との裁判を争う。大阪府条例には「東京と同様、教委が萎縮してものを言えなくなるのではないか」と危惧し、「自由な意思表示を認められない教員が、どうして子どもに自由を教えられるか。心ある教員は沈黙せず、条例の問題点を発信してほしい」と話してる。

《東京にしろ。大阪にしろ、公務における君が代の起立斉唱を義務づけるが、それ以外の場でのそれぞれの教職員の「思想・良心の自由」を規制し束縛しているとは思わない。どこで何をしゃべろうが自由だ。東京・大阪ともに、公務の公式の場での決めごとをいうに過ぎない。逆に教職員の不起立は、生徒たちに命令には従わなくても許されることを教え、生徒たちが守らなければならない学校規則の存在意義を危うくするものとなる。子どもには勝手気侭な自由は教えるべきでない。自由とは責任と同義語だ。こどもには責任を教えてこそ自由の本質を理解させることができるのだ。実(げ)に自由とは不自由なものと心得よだ。》

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