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2011年6月30日 (木)

「秩序ある狩猟」

 毎日新聞(6/30)から、
 《随分勝手な言葉を使うもんだ。動物の命を絶つために秩序を重んじよう、ということだ。人間が生きるために、また、裸で生活することを止めてから今日まで、喰らうため、身を飾るためにと、どれだけの鳥獣の命を絶ってきたか。勝手に万物の霊長の座に坐って、人間さまが生きるそのためには森林を伐採し、曠野を開拓し、海を荒らし、鳥獣たちのすみかを奪い、大量殺戮を続ける。その人間の手から逃れて生きる鳥獣が、今度は増え過ぎたからと「秩序をもって殺して行こう」と考え始めた。わたしは元々増え過ぎた鳥獣が、田畑や山林を荒らす場合の「間引き」の必要を説いてきた。》

 参照 猿の群れ,射殺します 06/03
    「命」の授業 2006/03
    増え過ぎた鹿 2007/06

 シカやイノシシなど鳥獣による農作物被害や生態系悪化が深刻化しているとして、官民でつくる「狩猟と環境を考える円卓会議」(座長・梶東京農工大教授)は29日、「一切の殺生を認めない考え方は問題で、秩序ある狩猟が必要」との提言を公表した。円卓会議は、敵対しがちな狩猟団体と環境団体が参画。捕獲の必要性で認識を共有したことは、今後の野生生物保護に一石を投じそうだ。

《何でもかでも殺すことを認めないのは、バカなことで、大量に殺して喰らうウシと山野のシカを殺すのと、どこが違うのか。皮は剥いで靴になり、カバンになり、被服になり、肉は胃袋に入る。ウシはなぜ殺しても良いのか、殺すために産ますからか、そしてなぜシカは殺してはいけないのか、その命にどのような違いがあるのだろうか。》

 農作物の鳥獣被害は全国で年間約200億円に上る。また、知床(北海道)をはじめ全国で貴重な植物が食い荒らされる一方、特定の動物が増え、生態系のバランスも崩れてきた。しかし、ハンターの減少や捕獲に対する社会的な理解不足で、害獣対策は遅れてきた。

 ハンターの全国組織「大日本猟友会」は昨年11月、日本自然保護協会など国内を代表する環境団体、学識経験者、長野県などでつくる円卓会議を発足、5回に亙り議論した。

 その結果、日本では動物愛護の思想から殺生を忌避する考えがあるが、過度な保護や捕獲態勢の遅れが農林業被害の増加、生物多様性の劣化を招いたと指摘し、日本人と野生動物との関係は転換期にあると分析。増え過ぎた動物の命を奪う意味を理解するための教育の充実、捕獲の担い手確保、捕獲した鳥獣の食料や毛皮への活用ーーーなどを求めた。

《遅かれ早かれ分かっていたことだ。ここまで問題が大きくならないと手が打てない現実は、抜き差しならない実態を、わけの分からない鳥獣保護団体に解らせるためだったのだろうか。》

 さらに、食肉などを市場に流通させることは、捕獲に必要な経費の確保や山村の活性化、食料自給率の向上につながると指摘。提言には参考図書や食材の入手先も盛り込んだ。

 梶座長は「このままでは自然も人の暮らしも守られない。早急に行動しなければならない」と話す。環境庁鳥獣保護業務室は「提言を尊重し、政策を充実させたい」としている。

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