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2011年5月 7日 (土)

臓器移植 初の親族優先提供

 毎日新聞(5/7)から、
 日本臓器移植ネットワークは7日、刈谷豊田総合病院(愛知県刈谷市)で脳血管障害のために死亡した40代女性の片方の腎臓が、20代の長女に提供されたと発表した。改正臓器移植法で認められている親族優先の提供を適用した。親族優先をめぐっては角膜移植のみ2件あるが、腎臓は初めてになる。移植は社会保険中京病院(名古屋市)で実施されている。

  おだまき
P5070548_3  移植ネットによると、女性は腎臓のみの臓器提供と親族優先提供の意思を臓器提供意思表示カードに記載した。移植を受ける予定の長女は先天性腎臓病で、生体腎移植を受けた。その後、再度人工透析が必要になり待機患者として登録された。

 提供者の女性は4月下旬に脳死と思われる状態になった。家族が長女への腎移植を希望したため、主治医が親族優先には提供者の意志表示が必要と説明。家族が探し、自宅でカードを見つけた。

 女性は脳死での臓器提供の意志も示していたが、家族の「一緒に過ごす時間をとりたい」との意向を尊重。7日午前1時30分に心停止し、2時18分に提出を始めた。女性の夫は「妻の死を認めることになり葛藤があった」とコメントした。

 女性のもう片方の腎臓は、別の待機患者に移植される予定。厚生労働省は「生前の意思が尊重される仕組みができた」と述べた。

 《生前の意思表示は本人の遺言と同じで、そこには遺産分配のように公正性が伴わなくても仕方なく、早い者勝ちの論理は通用しない。死に直面することであっても、遅かれ早かれ死は誰にでも訪れる。そこに肉親の情が介入してくることの方が当然だ。》

 新聞の解説は、今後も議論と検証を、と書く。
【解説】
 愛知県内の病院で親族優先で提供された初の腎臓移植が実施された。親族への優先提供は、改正臓器移植法の柱の一つで、全面施行前の10年1月に一部施行という形で認められた。海外と比較して少ない臓器提供者の数を増やし、家族の心情をくむことが目的だ。

《数の多少を単純に比較するのはおかしなことで、それぞれの国にはその国の文化的、宗教的背景や、歴史、生命倫理の違いが存在する。長い間培われてきた日本人の家を中心とした家族愛は、最近でこそその柱を失ったようだが、まだまだ他人では入り込めない肉親愛として深く根付いているのだ。》

 改正法施行後、親族優先提供は角膜で2例あった。しかし、角膜とその他の臓器の提供は事情が異なる。角膜は、提供者が病気などで自分の死期を見込んで意思表示できるが、その他の臓器は何時訪れるか分からない死が前提となる。親族優先の規定は自殺による提供を認めていない。今回、母親の意思を反映し、長女に腎臓が提供されたが、今後も希有な事例となるだろう。

 一方で、親族優先の規定は、移植医療の根幹である公平性が損なわれるといった指摘がある。韓国で提供者の親族を優先順位の1位にするという規定があるのみだ。

《韓国は、日本以上に祖先、家、家族の繋がりを大事に守ってきた民族だ。親族優先が1位に規定されるのは当然のことだと思う。古い人間の私の世代は、この韓国の親族優先の位置づけには全面的に文句なしの支持をする。》

 国内での臓器提供数は、年間7000〜8000件行なわれるような米国などと比べて少ない。過去最高となった昨年でも113件(脳死後32件、心停止後81件)。これに対し、腎移植を希望して日本臓器移植ネットワークに登録している患者は3月31日現在で1万2201人いる。

 親族優先提供は数多くいる待機患者を飛び越しての移植となる。家族の意思を叶え、制度を定着させるためには、今後も議論と検証が必要だ。

《国外の数と比較して、だからどうを云々する問題ではない。ただ、それが現実である、というだけのことだ。》

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