第5回「男女の生活と意識に関する調査」から
毎日新聞(1/28)
2年ごとに行なっている「男女の生活と意識に関する調査」の5回目。昨年9月、全国の16〜49歳の男女計3000人を対象に調査票を手渡す方法で実施、1540人(女性869人、男性671人)から有効回答を得た。
日本人女性の15・5%が人工妊娠中絶を1回は経験し、2回以上繰り返す「反復中絶」の経験者が、このうちの35・6%にも上っていることが厚生労働省研究班の調査で分かった。反復中絶率は2年前の調査に比べて10ポイント余りの上昇となった。
分担l研究者の北村邦夫・日本家族計画協会家族計画研究センター所長は「100%か着実な避妊法はないので、性交渉があれば思わぬ妊娠で中絶を余儀なくされることもあるが、、繰り返すことは問題だ。高率となった原因は、はっきりつかめていない。いろいろな角度から分析する必要がある」と話している。
中絶したことがある女性は135人(15・5%)。このうち48人(35・6%)は2回以上の中絶経験があり、5回以上も3人いた。2008年の前回調査に比べ、中絶経験率(前回14・9%)、反復中絶率(同25・4%)ともに高くなった。
人工妊娠中絶を繰り返す女性は、「婚姻関係にある」「子どもがいる」はいうまでもなく、生活習慣とも深く拘わっている。
人工妊娠中絶を繰り返す女性の特徴を、各設問とのクロス集計から、統計的に有為な差が認められるものを列記すると、以下のようになる。(単位は%。数値は順に「中絶経験なし」「中絶経験1回」「反復中絶経験あり」)
1. 「中学生のころの家庭」- 楽しくなかった
23・4%、 34・9%、 10・4%
2. 「両親の離婚経験」- ある
12・7%、 14・0%、 25・5%
3. 「自傷行為(リストカットなどの)経験」- ある
4・8%, 14・9%, 29・8%
4. 「中学生がセックスすることについての考え」
- 学校の授業
42・0%、 34・5%、 25・0%
5. 「低用量経口避妊薬(ピル)の認知度 - よく知っている
10・7%、 23・0%、 31・32%
6. 「初めての異性とのセックス」
- 重大だと感じていた
75・8%、 69・8%、 54・2%
7. 「初めてセックスした相手との知り合い方」
- 街で声をかけられたりして知り合った
2・4%、 6・9%、 16・7%
8. 「初めてのセックスの時に避妊したか」- しなかった
18・7%、 23・0%、 37・5%
9. 「人工避妊中絶についての考え方」- 認める
70・2%、 80・4%、 85・4%
10. 「結婚したい気持ちが有るか」- いいえ
22・4%、 30・4%、 77・8%
11. 「子どもの有無」- いる
52・5%、 87・2%、 89・6%
12. 「学歴」- 大学卒業・大学院卒業
19・6%、 10・6%、 6・3%
13. 「喫煙習慣」- 習慣的に吸っている
13・0%、 26・7%, 54・2%
14. 「一週間の飲酒量」- 一合以上
18・8%、 25・9%、 41・7%
15. 「婚姻関係」- ある
52・9%、 72・4%、 81・3%
中絶の理由で最も多かったのは
「相手と結婚していないので産めない」・・27・4%
「経済的な余裕がない」・・・・・・・・・13・3%
「相手との将来を描けない」・・・・・・・11・9%
「仕事・学業を中断したくない」・・・・・ 7・4%
一方、避妊方法を「教師や学校の授業から知った」という人の割合は低く、正しい性教育を受けられなかった可能性が示唆された。
《街に溢れる性に関する絵や記事満載の漫画、女性誌や書籍、面白可笑しく書くだけで、正しい知識の敷衍(ふえん)には一切お構いなしか。また、年間に平均して30万件はある中絶(届け出のないものを含めると、推定100万件ともいわれる)だ。快楽に溺れるだけでなく、人工中絶は根本的に女性の体を傷つけることになるのだから、性にも強くなった女たち、性交渉の主導権は無責任な男任せにしないで、しっかりと避妊の責務を自ら果たすことだ。》
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