OECDによる学習到達度調査が語る日本の15歳の実態
毎日新聞(1/15)から、
経済協力開発機構(OECD)が3年ごとに世界各国の15歳を対象に実施する学習到達度調査(PISA*)。昨年12月に公表された09年度の調査では、日本の学力低下傾向に歯止めがかかったことが話題になったが、他にも教育に関する諸外国との違いが分かる興味深いデータが示された。
*PISA ‥‥ 15男女(日本では高校1年相当)を対象に、単に知識の有無を問うのでなく、人間が生活するのに必要な能力を測る国際学力テスト。読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野と質問紙調査からなる。
調査は00年にスタートし、09年は65カ国・地域で約47万人が参加。結果は昨年12月に公表された。日本は読解力8位、数学的リテラシー9位、科学的リテラシー5位といずれも前回より順位を上げた。一方で初参加の上海が3分野すべてで1位となるなど、アジア勢の台頭が目立った。
日本の生徒は、外国に比べて学校の先生をあまり信頼していない‥‥。調査からは、こんな実態も浮き彫りになった。
《以前からメディアが教師のマイナス面を論(あげつら)い、保護者らがそれに踊らされてきた弊害に遠因があろう。当然、家庭生活における学校や教師への評価が子どもに反映されることは至極当たり前のこととなるだろう。》
PISAには、生徒の家庭環境や学習条件、学校の置かれた状況を調べる「質問紙調査」がある。このうち生徒質問紙をみると、「助けが必要なときは、先生が助けてくれる」という問いに肯定的な回答をした日本の生徒は63・5%。OECD平均(78・2%)を15ポイント近く下回った。また、「たいていの先生は、私を公平に扱ってくれる」でも74・4%となり、OECD平均(79・2%)を5ポイントほど下回っている。
《1番、2番と優劣をつけることを避けた教育方針が、平等と公平の理解不足を生んだ結果として、日本の生徒に親譲りの序列を嫌う「皆と同じ」意識を植えつけたことが要因にあり、被害者意識の妄想の表れとみることができる。》
国や家庭が子どもの教育にかけた費用とPISAの成績の相関を見ると、日本は比較的“効率良い”結果だった。
OECD加盟34カ国について、読解力の得点と、6〜15歳までの10年間の児童・生徒1人当たりの教育支出(教職員の人件費や学校設備費、授業料など)をまとめると、日本の得点は520点で上位5番目に位置する一方、教育支出は7万7681米ドル(932万円、教育支出の調査があった07年当時のレート1米ドル=約120円で換算)で14番目だった。
加盟国の中で最高得点を記録した韓国は539点で、教育支出は6万1104米ドル(733万円、同)。また、日本と点数の近かったニュージーランドは521点で、4万8633米ドル(584万円、同)。いずれも「コストパフォーマンス」は日本よりも良かったといえる。
一方、教育支出が最も多かったルクセンブルクは15万5624米ドル(1867万円、同)と日本の2倍以上をかけたものの、得点は472点と振るわなかった。日本と同程度の教育支出だったイタリアは483点だった。
文部科学省の担当者は「総じて教育支出が多いほど得点は高くなる傾向がある」と前置きした上で「日本は諸外国と比較しても、効果的、効率的な教育システムを構築できているのでは」と指摘する。
《とはいながら、平均値として言えることで、日本では裕福な家庭の子がいわゆる良い学校,良い大学へ進学する傾向は否定できない事実だ。》
読書を趣味と答える生徒が増えるなど、日本の子どもの読書離れには一定の歯止めがかかったものの、依然先進国水準には達していなかった。
「読書は大好きな趣味の一つ」と答えた生徒は42%で、OECD平均(33・4%)を上回り、00年調査から5・5ポイント増加した。さらに、「本を最後まで読み終えるのは困難だ_と答えた割合は00年比12・2ポイント減の28・4%、「読書は時間の無駄だ」が同4・5ポイント減の15・2%と、読書に対し消極的な意識を持つ生徒は減った。文科省は「朝朗読」など最近の学校現場の取り組みの成果が出てきたと分析している。
また、趣味としての読書時間を聞いたところ、「趣味で読書はしない」という回答は00年の55%から44・2%に減り、11ポイントほど改善した。とはいえ、OECD平均(37・4%)に比べれば,依然として読書しない生徒の割合は多い、読書時間が長いほど読解力の得点が高い傾向は各国に共通しており、読書習慣の向上は引き続き大きな課題だ。因みに、学力トップの上海は「読書しない」が8%にすぎず、逆に毎日31分以上を読書に費やす割合が56・1%(日本は30・4%)と突出していた。
《趣味の解釈を娯楽と取るか教養や涵養などと取るか、或いは趣味は勉強と答える子もいるだろう。55%という数字が44%になったことが改善と取るのは一面的に過ぎるのでは。》
日本の子どもたちが、諸外国に比べインターネットを活用し切れていない様子も明らかになった。パソコンや携帯電話を使い、「週に数回」または「日に数回」は「生活情報をネットで建策する」と回答した日本の生徒は21・5%(OECD平均35・5%)、「ネット上で辞書を使用する」は32・6%(同39%)。「ネット上で討論会やフォーラムに参加する」は、OECD平均で19・6%、最多の香港では5割を超えたのに対し、日本はわずか2・8%。調査した7項目のうち、日本の生徒がOECD平均を上回ったのは「メールを読む」の88・3%(同63・7%)だけだった。
《保護者の育児怠慢と放任で、日本の子どもたちがケータイに振り回され、携帯に支配されている様子がまざまざと反映されている。》
また、自宅のパソコンの有無も調査し、「使っている」「あるけれど使っていない」「ない」の三つから選ばせた。日本の家庭のパソコン保有率は81・6%だったが、それでもOECD平均(89・1%)よりは少ない。しかも、「あるけれど使っていない」生徒が、加盟国以外も含めた45カ国・地域の中で最多の10・8%に達したため、実際に「使っている」生徒は70・8%(同86・5%)だった。
《自宅にパソコンが複数台あって調査対象の年齢にある子どもたちがいつでも使用できる状態にあるものか、あるけれど親のもので空き時間以外は使わせてもらえないものなのか、調査が子ども専用のものの有無を対象としたのかも不明だ。日本の15歳の実態、とした記事だが、物差しがはっきりしない茫洋とした内容だ。》
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