« 3人殺傷の少年に死刑判決 | トップページ | 飲酒運転の再犯防止に「断酒」指導 »

2010年11月28日 (日)

消費税は何に使われてるの?

 毎日新聞(11/28)から、
 消費税の問題が第1面で取り上げられた(5回連載の企画だ)。その魂胆は無策の政府に代わって増税の是非の問いかけになるのか。約20年前に来日し、消費税25%で将来が保障されている母国(スウェーデン)との違いに、「いくら貯金すればいいんか」と、日本での老後に不安を抱くハンナさん(42)を取り上げる。

 (前略)母国におれば介護が必要になっても子どもの世話になる気はない。「高い税金を払っているから行政が老後の面倒を看るのは当然。この国はその態勢も整っている」。例えば認知症患者の在宅介護ではスタッフが1日5〜10回訪問し、食事、入浴、排便を手伝う。家族は簡単な身の回りの世話だけ。介護費用の自己負担は日本よりかなり少なく、家庭へのしわ寄せもない。

 25%の付加価値税(日本の消費税)など高い税金を国民が受け入れているからこぞの手厚いシステムだが、老後の安心社会が約束されているため、将来不安に自分で備える必要もない。

《貯金ゼロでも墓場まで心配ない、とはこれまで日本のその道の偉い学者たちは、北欧の国々をただ歩き回り、高福祉の国であることを笛や太鼓を打ち鳴らすように喧伝してきた。しかし、その一方の高負担には口を塞ぎ、その国の人たちが働いた給料の半分近い税金を国に納めていることには触れず、西方の桃源郷ででもあるかのように説いてきた。甘ったれの日本人が口車に乗って、高福祉の面だけを口に、あれもこれも「・・手当」と称して行政におねだりを始めた。そのくせ5%で済んでいる消費増税の話題が取り沙汰される度に、口を揃えて反対を叫ぶ。幻影を見てきて、無知な国民に高福祉だけを敷衍した学者たちの罪は大きくて深い。》

 Syouhizei3_2 「子どもの教育費だけで1000万、2000万円の貯金は必要よ」。日本で有料老人ホームを運営するスウェーデン出身のグスタフ・ストランデル(36)さんは8年前、長男の誕生直後、ハンナの言葉に腰を抜かした。子どもの教育費はゼロ、老後の不安も無いスウェーデンでは考えられない金額だ。日本生活10年目。「日本で安心して老後を迎えるには、いくら貯金すればいいのか。いまだに分からない」。

 都内で年金暮らしの元大学教授、山内隆(74)はスウェーデン、日本で教壇に立った。どちらでも月12万〜13万円の年金を受け取れるが、「一日も速くスウェーデンに移りたい」という。

 バリアフリーの公団住宅は家賃8万円。食費、光熱費を入れると貯蓄を取り崩さなければ生活できない。さらに、昨年末、背骨を折り手足が思うように動かなくなり、要介護2と認定された。掃除や洗濯、買い物の訪問介護を受けるが、「夜中でも電話1本で介護士が駆けつけてくれるスウェーデンとは安心感が違う。日本にいる息子に負担も心配もかけずに済む」と話す。

 しかし、スウェーデンも桃源郷ではなくなりつつある。金融危機に見舞われた90年代初め以降、財政悪化を避けるため介護を運営する自治体も在宅介護へのシフト、民間委託などでコスト削減を進めている。人員削減の結果、15年には介護職員が20万人不足する可能性もあり、海外から安価な人手の受け入れを増やしている。

 日本に永住するつもりのグスタフは、「消費税25%のスウェーデンでさえ給付を抑えなければ財政がもたない。日本は5%で社会保障をどうしようとしているのか」と不安を隠さない。

 少子高齢化に伴う社会保障費の膨張に直面する日本。医療、介護水準を維持するだけでも消費税増税などの負担増は避けられないとの見方は強いが、負担増への反発も大きい。高福祉国家の北欧諸国の人々は、日本よりはるかに重い税負担をどう受け止めているのか。国民生活や中小・零細企業の経営は増税に絶えられるのか。福祉と暮らしの現場から、問う。

 ところで、われわれが買い物をする度に払っている消費税は、一体何に使われているのだろうか。(『なるほドリ』)から、

 89年の導入時には、特に使い道を限定してはいなかった。「高齢者医療」「基礎年金」「介護」3分野のみに使う「福祉目的化」を国の予算の基本ルール「予算総則」に明記したのは99年度からだ。

 Q なぜ、福祉に使うことにしたのか

 A 所得税や法人税に比べ、景気の影響を受けにくく税収が安定しているのに加え、税率が25%のデンマーク、17・5%の英国などより低く、社会保障費の伸びに応じた引き上げが可能ではないかとみられているためだ。当時の政府・与党には「福祉充実を理由にすれば、増税への国民の理解を得やすい」との思惑があったようだ

 Q 社会保障費の財源が安定するなら、安心だ

 A そう簡単ではない。消費税5%のうち、国に配分されるのは2・82%分、つまり税収全体の56・4%で、残りは地方自治体に回る。10年度の消費税収は12・1兆円の見通しなので、国が使えるのは地方に回る分を差し引いた約6・8兆円となる。3分野に必要なお金は10年度当初予算で16・6兆円なので、9・8兆円も足りないことになる

Syouhizei Q 社会保障費はこれからどんどん増えていくのに、今でも足りないとは!

 A 3分野以外にも一般医療費などもあり、社会保障給付に充てられる国の歳出は10年度当初予算で27・3兆円に上る。高齢化により、年金受給者や医療、介護サービスの利用者はさらに増えるので、現行制度を維持するだけで毎年1兆円も増える見通しだ

 Q 足りない分はどうしているんだ

 A 10年度当初予算では、社会保障費をはじめとした国の一般会計歳出は92兆3000億円だが、税収は37兆4000億円。特別会計の積立金である「埋蔵金」を取り崩しても全く足りず、税収より多い44兆3000億円もの国債発行、つまり借金をして凌いだ

 Q 菅首相が一時、言っていた通り、消費税率を10%に引き上げれば借金頼みから抜けられるのか

 A 消費税1%当りの税収は2・4兆円なので、5%の引き上げると約12兆円の増収になる。国と地方の配分割合がこれまで通りなら、国分は約6・8兆円増えるだけで、3分野の不足分すら補えない。社会保障の財源確保のための議論は待ったなしだ。

《学者や識者がこれまで北欧の高福祉国家を訪れ、物見遊山ではなく、その国の財政の仕組みや、税制、福祉政策を学んで帰国しておれば、この程度の想定は容易に学ぶことはできたはずだ。連載は、どうやら増税論への伏線となりそうな雲行きだ。》

 参照 子育て(スウェーデンの):改題 08/02

|

« 3人殺傷の少年に死刑判決 | トップページ | 飲酒運転の再犯防止に「断酒」指導 »

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 消費税は何に使われてるの?:

« 3人殺傷の少年に死刑判決 | トップページ | 飲酒運転の再犯防止に「断酒」指導 »