朝鮮王室儀軌、“引き渡し”に合意
毎日新聞(11/9)から、
先に取り上げた『朝鮮王朝実録』寄贈か返還か 06/06 の中で、これらの文化遺産が何故日本にあるかについて書いた。今日の記事は、寄贈でも返還でもない「引き渡し」となった経緯について触れている。
日韓両政府は8日夜、日韓併合100年に関する菅直人首相談話に盛り込んだ「朝鮮王室儀軌*」など、植民地時代に日本へ渡った朝鮮半島由来の文化財計1205冊を、韓国に引き渡す協定の締結で原則合意した。前原誠司外相と韓国の金星煥(キムソンファン)外交通商相との電話会談で確認した。
横浜市で13日から始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際に、菅首相と李明博大統領が会談し正式合意する見通しだ。
*‥朝鮮王室儀軌」・・李氏朝鮮時代の祭礼、主要行事の内容を絵画や文章で記録した書物の総称。韓国を植民地支配していた大正時代、日本の朝鮮総督府(当時)が80部163冊を旧宮内省(現宮内庁)に移管。民間から購入の1部4冊を加えた計167冊を宮内庁が所蔵している。日本政府は1965年の日韓基本条約締結時に韓国側の請求権は消失したとの立場で、韓国側の返還要求に応じてこなかった。
引き渡されるのは朝鮮王朝時代の祭礼や主要行事を絵や文で記録した書物「朝鮮王室儀軌」167冊のほか図書1038冊。対象となる文化財の範囲などを定めた協定は条約扱いとなるため、今後、日本の国会で批准が必要となる。
協定締結に当たって、韓国側は首相談話で使用した「引き渡し」でなく、「返還」と表現するよう要求。これに対し日本側は請求権を放棄した日韓基本条約との整合性が採れなくなると主張した。前原は8日夜、記者団に「引き渡し」との表現で韓国側と合意したと明らかにした。
《植民時代の日韓2国間の力関係は、主人とそれに仕える家来の主従関係に等しく、お家の宝物であっても、主人が持ち出す行為に異を唱えることなど「めっそうもない」ことだった。日本は敗戦時点(1945年)で返還するべきだったのだが、1965年の日韓基本条約が結ばれるまで持ち出したまま放置され現在に至ったのが経緯だ。》
前原は引き渡しの時期について、外相会談で「できればこの臨時国会の間に協定を提案したい」と説明した。ただ、参院は野党が多数を占めており、12月3日に会期末を迎える今国会中に可決できるかは流動的だ。
また前原は、引き渡しの対象範囲に関し記者団に「最大限に調査し、誠心誠意を尽くした」と強調。「スピーディーに合意できたことは両国の今後の発展にとって良いことだ。今回の合意を未来志向で日韓関係強化につなげていこうと(外交通商相に)話した」と述べた。
《「引き渡し」にノーといえば、国家の大事な文化財が、今後何時戻ってくるか見通しが暗いことを考えれば、韓国は飲まざるを得なかったことだろう。》
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