学生の「コピペ」、大学も対策に本腰 - 2 -
東京大の佐藤健二教授(社会学)は「技術の発展や最近の若者の振る舞いがけしからん、と騒いでも、始まらない」と前置きし、指摘する。「論文を書く行為は『他人の文章の切り張り』とよく言われます。切り張りは所定の手続きを踏めば引用の積み重ねですし、いいものを作ろうと思えば、編集力が必要になります。一方、他人の文章の丸写しは、写経のように自分の手を動かせば修練になるし、文章を味わうことにもなります。近年のコピペがこれらの行為と比べて明らかに問題なのは、他人の文章を勝手に自分の文章としたことに、あまりに無自覚だからです」。
日本大の小笠原喜康教授(教育学)は、問題はむしろ学生を取り巻く教育環境にあるという。「論文は先行研究の引用が不可欠で、それらをどう乗り越えて自説を唱えるかが問われる。そんな常識を大学は学生に教えてこなかった。そもそも学生たちは、大学に来るまでにも、自分の頭で考えるような教育は受けていなかった。突然しっかりやれと言われたって、学生も困りますよ」「論文執筆は一生に一度のことかもしれない。出来栄えはともかく、あなたの考えを知りたいのだ」。小笠原教授は、こう言って学生の尻を叩くことにしている、という。
《学びの原点は「模倣」から始まる。これは教えられて身につくものではなく、「他」が見える人には自らが持っている自主性の中から育っていくものだ。赤ん坊から幼児期を通って成人する過程でその人の精神性の中に形づくられていく。考えることは学校教育の中で教えられるものではなく、学校で教えられなければ考えることもできなければ、その時点ですでに失格だ。小児でも「これ何?」「どうして?」「なんで?」は頻繁に発する。問題意識は誰もが生まれた時から持っているものだ。それを育てることができるかどうかは本人の自覚だけだ。大学生にもなってそのことも理解できないでは社会に出ても、企業人になっても何の役にも立たないだろう。お笑いの欽ちゃんが言う、「何で、そうなるの?」は大学生には自分が問われている言葉と理解するだけの度量も必要だろう。》
大学側は、リポートや論文でコピペが発覚した場合、停学や退学など厳しい対応を取っている。
《4割もの学生が、「やったことがある」と答えている現状から考えて、発見率が高まる今後、それらの学生に対して厳しい処分で臨めば学校経営がやっていけなくなるが、現実問題だろうか。》
一橋大は今年度初めて、授業履修のルールブックに、コピペは不正な行為であることを明記した。
《情けない話だ。まるで中学生か高校生の生徒手帖だ。》
コピペルナーも購入し、教員が希望すれば使える。これまで個々の教員任せだったが、全学的に対応する方針に転じた。来年度にも、大学として処分対象にするという。
早稲田大は06年1月、学生を停学3カ月の処分にするとともに、その学期に履修していたすべての科目の登録を無効にするとの原則を打出した。最終的な処分は各学部や大学院が決めるという。
慶応大は08年度から「自分の意見とそれ以外の部分を明確に分ける」「インターネットからの引用はURLとその取得日を載せる」など、リポートや論文を書く際のルールを履修案内に明示。違反すれば停学、退学の処分もあり得る。
東京大も、コピペは不正行為や学問的倫理に反する行為にあたるとして、退学や停学の処分対象にしている。コピペを未然に防ぐため、06年度からは必修科目で、論文やリポートを作成するための心得を指導しているという。
《私のブログは独断と偏見に満ちているから、特記せずとも言葉も乱暴で直ぐに分かるのだが、引用元は必ず明記し、私見は括弧に入れて表すように心掛けている。》
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