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2010年10月19日 (火)

続・山小屋のトイレに国の補助が

 毎日新聞(10/18)から、
 8月に取り上げたが(参照)その続編。
 Toilet_2 山岳地帯の屎尿処理のあり方が揺れている。トイレがない山では登山道周辺に排泄物が散乱し、トイレがあっても維持管理はボランティアや民間の山小屋頼りだ。国の補助も対象が限定されている。受益者負担の観点から「公費を出すべきではない」との議論もあるが、処置を放置すれば山の裸地化や水質の悪化を招く。山小屋トイレの現状はどうなっているのだろうか。

 「用を足してから登下山しましょう」。長野県・北アルプスの岳沢小屋で、山岳ガイドが登山者に呼びかけた。小屋は、上高地と穂高連峰を結ぶ要所にある。4年前、雪崩で全壊し、再建の際にトイレは約1600万円かけて7月、地上に排泄物を運搬できる「カートリッジ式」に建て替えられた。

 90年代後半、世界史全遺産登録を目指した富士山が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の関係者から「環境保全に問題がある」と指摘され、山の屎尿処理が注目された。当時、多くの山小屋が排泄物をそのまま地下に浸透させたり、埋め立て処分していた。

《若いころ、山登りをしていた私は、例えば富士山に登っても、頂上で昼食を取り、ミルクも飲み、その後下山するわけだが、排泄をしなくてもいいように、数日前から体調をコントロールし、そのため排泄する必要もなく往復していた。特に富士山は昔から山岳信仰の対象であり、「六根清浄」(“ろっこんしょうじょう”‥‥我欲などの六っの執着を断ち、魂を清らかな状態にすることで、登山の際にかけ声としても用いられた。)を唱えて登っていた。最近の決められたトイレまで用意されての登山では、極力それ以外の場所を汚さないようにすることは、登山者の最低限のマナーと心得るべきだろう。》

 事態を重く見た環境庁(当時)は99年、環境配慮型トイレの普及に向け補助制度を導入。カートリッジ式や微生物に分解を手伝わせるバイオトイレが広がった。最も補助を受けている自治体は、常念岳(2857メートル)を始め有名な山が多い長野県。09年度までに山小屋トイレ163カ所のうち、補助制度による38カ所を含めた109カ所が「垂れ流し」から環境配慮型になった。

 補助が出るのは1000万円以上の規模の大きい新設や改修に限定されている。それより小規模のトイレやその後の維持管理は所有者やボランティアに委ねられている。

 9月中旬、日本百名山の幌尻岳(北海道、2052メートル)の山小屋から、登山愛好家らで作る「日高山脈ファンクラブ」の21人が、一斗缶などに詰めた342キロの屎尿を担ぎ降ろした。登山口から車で公園に運び、ゴム手袋やマスク装備で浄化槽に捨てた。「においがきつい」と声が出る。屎尿が跳ねて、顔にかかることもある。

《田舎で少年時代を送った者には、畠の近くに2〜3畳ほどの大きさの深い肥溜めが設けられていたことを知っていよう。今では下肥(しもごえ)を畠に蒔く野菜栽培は無くなったが、お百姓には欠かせない「こやし」を溜める屎尿池だった。その当時のお百姓には失礼だが、その肥溜めの傍を通るだけで今にも鼻が曲がりそうなほどの悪臭が立ち籠めていたものだ。当時は柄杓で畠に蒔いたが、山のトイレの屎尿を入れた缶を背負って廃棄作業をするのは、思っても頭が下がる思いだ。何十年と我が家のトイレの掃除をしている私も、便器の手入れには手や顔、口にまで屎尿が跳ぶこともあるが、家族のものと思えばこそ我慢も出来るのだが。》

 人力の運搬は年2、3回。下山まで沢を10回以上渡り、高橋事務局長は「いつ事故が起きてもおかしくない状況」だという。小屋を所有する平取町に、ヘリコプターによる運搬を要請しているが、町の担当者は「1回200万円以上かかり、財政的に厳しい」と話す。

 年間3万人が訪れる北ア・涸沢カールにある「唐沢ヒュッテ」ではヘリコプターを使う。昨シーズンは20回の搬送を頼み、屎尿処理費や人件費、トイレットペーパー代も含め300万円弱かかった。山口孝社長は「客のチップだけで賄うのは難しい」と溜め息をつく。トイレがない山では、ボランティアが定期的に登山道周辺の排泄物を回収している。9月上旬、北海道の大雪山系ニセイカウシュッペ山の林で年1回の回収作業があり、排泄物やトイレットペーパーが散乱しているのが確認された。

《雑多な人間の集まるところでは、それこそ「たけし」ではないが、皆んなで破れば怖くない心理が働き、当たり前のようにマナーは失われる。スイス・レマン湖畔のトイレの凄まじいほどの汚れっぷりは、何度か取り上げたが、世界共通のことかも知れない。》

 愛甲哲也・北海道大准教授(園芸学・造園学)の調査では、大雪山系トムラウシ山の南沼夜営指定地で、植物の生えていない「裸地」が77年は約120並行メートルだったが、97年には1066平方メートルに拡大。登山者が用足しに踏み入ることと、垂れ流された排泄物が主な原因とみられる。

 屎尿は微生物によって分解されても窒素やリンが残る。高山植物にとって栄養過多の状態になり、成長し過ぎたり枯れたりして、生態系が壊れる。大便に含まれる大腸菌で、水源が汚染される恐れもあるという。

 トイレが整備されてもマナーが守られなければ環境悪化は止められず、関係者の間では「補助の継続は必要だが、受益者(登山者)も負担すべきだ」との意見が強い。NPO法人「山のECHO」(東京都港区)の上幸雄代表は「適正な額を議論したうえで、入山料に含めた徴収などを試行してはどうか」と提案する。

《山が山男だけの数で済んだ時代は終わった。性別も年齢もピンからキリまでが揃って山へ山へと金魚のフンか蟻の行列のように続く時代になった。垂れる糞尿も膨大なものになっている。もう垂れ流して済むことは許されないだろう。だがしかしだ、受益者負担で金をとれば、今度は「金を払っているんだから、これくらいいいだろう」を言う人間の数が、また「皆で垂れれば怖くない」と続くことになるだろうな。》

 愛甲准教授は、行政の役割について「携帯用トイレなど、入山者数などに応じたトイレのあり方がある。初期投資の補助だけでは不十分で、対策の前提として登山者数や環境への影響など基礎データを調査すべきだ」と指摘する。

《携帯トイレについては、私も以前のブログ(「富士山が糞尿まみれに」2008/08/02)で書いている。》

 

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