携帯フィルタリング普及 停滞
フィルタリングなど、保護者、親に自覚がない限り、クソの役にもたたないことは、ずっと指摘してきた。「うちの息子、娘に限って」の放任が、防ぎようのない犯罪の背景になっているのだ。売れればそれでいい業者の自主性など、信じる方が莫迦というものだ。
毎日新聞(10/28)から、
非出会い系サイトを利用する子どもが犯罪被害に遭うケースが多発している問題で、被害児童の約99%が携帯電話のフィルタリングサービスに加入していなかったことが警察庁の分析で分かった。サイトへのアクセす手段は約98%が携帯電話。フィルタリングの啓発強化を迫る分析結果になっている。
《フィルタリングは親が加入を承諾しなければ、子どもは興味があればどこにでも無制限にアクセスすることが可能だ。》
非出会い系サイトの主なものは、会員同士でメッセージを交換したり、プロフィルを公開する機能を持つコミュニティーサイト。大手の運営会社3社には、それぞれ約2000万人のユーザーがいるとされる。
警察庁が分析したのは、今年上半期(1〜6月)に非出会い系サイトを利用した児童(18歳未満)が被害に遭い、警察が検挙した730の事件。サイトにアクセスした手段が判明している被害児童は延べ671人で、うち携帯電話が659人(98・2%)、パソコンが12人(1・8%)だった。携帯電話の
フィルタリングサービスへの加入の有無が判明した児童は述べ609人。うち加入していたのは9人(1・5%)で、600人(98・5%)が非加入だった。被害者に関する分析では、サイト内で年齢を詐称していたケースが41・7%に上った。
大手のサイト運営会社は、被害防止策として一定以上の年齢差のある会員にメッセージが送れないようにする利用制限を導入。また、サイトを審査する第三者機関が認定していない非出会い系サイトは、フィルタリング加入によってアクセス制限される。
犯罪被害児童の約99%がフィルタリングサービスに非加入だったという警察庁の分析結果は、サイトの健全化を目指すネット業界に深刻な課題を投げかけている。携帯電話事業者はフィルタリング加入を契約時の原則とすることで普及に取り組んでいるが、保護者らのグループからは「店舗での説明は不十分だ」との声も上がっている。
《携帯電話による児童、子どもの被害報道は、昨日、今日に始まったことではない。子をもつ親なら、店の説明など聞くこともなく、子どもに携帯を持たせることの危険性は百も承知していなければ、保護監督責任者としては失格といってもいい。合い言葉のように「わが子を犯罪から守るため」といって逆に犯罪に巻き込まれる道具を与えているようなものだ。思春期のこどもたちが、異性への興味を持っても当然で、そのこと自体は健全とさえ言えるのだ。》
「行きたいところへ連れて行ってあげる」。昨年秋、高校1年の女子生徒(15)と淫らな行為をしたとして東北地方の警察署に逮捕された男(23)は、そんな文句をメールで送り、女子生徒を誘い出していた。発端は18歳と年齢を偽りコミュニティーサイトでやり取りしたメッセージだった。調べに対し「わいせつ行為が目的だった」と供述。女子生徒は「話がしたくて会った」と話した。女子生徒の携帯はフィルタリングに加入していなかった。
《女子生徒は間違いなく異性を求めている。話がしたかっただけとの奇麗ごとは、後からなら幾らでも言える。話だけなら、不用心にわざわざ会いに行くこともない。》
携帯電話業界がフィルタリング普及に本腰を入れる契機になったのは、09年4月施行の青少年インターネット環境整備法だ。同法は、携帯電話事業者などに対し、18歳未満が使う携帯電話についてフィルタリングの利用をインターネットサービス提供の条件とするよう義務づけている。これに基づき、点店頭で販売する際の「原則適用」の対応が広がった。
《「原則適用」には必ず「例外」も適用される。ただ、例外が被害児童の約99%もいるようでは「例外」ではなくなり、「通常」ということになり、「原則適用」の義務違反になる。》
また携帯電話事業者は、「小学生向け」「中学生向け」など複数のフィルタリングサービスを用意し、利用者の希望に応じて個別のサイトのアクセス制限を解除するサービスも提供している。しかし、内閣府が今年4月に公表した保護者2000人対象の調査によると、携帯電話のフィルタリング利用率は小学生61・7%、中学生54・7%、高校生38・7%だった。同法は、保護者がフィルタリングを利用しないと申し出た場合は「原則適用」の例外とすることを認めている。これが普及停滞の一因になっているとの指摘もある。
今年7〜9月、全国八つの地域の保護者グループなどが、計131カ所の携帯電話専売店や家電量販店を訪ね、フィルタリングの説明がどのようになされているかを調査した。店員が「原則加入」の説明をしていたのは42店、「穏やかに加入を誘導」したのは47店、「どちらでもいいですよ」との説明だったのは35店、「なくてもいいですよ」との説明は7店でみられたという。群馬県で調査した「ぐんま子どもセーフネット活動委員会」の委員長は「店員の認識不足に驚いた。店で誤った知識を与えられ、安心している親もいる。企業は店員の教育を徹底してほしい」と話している。
《認識不足に驚くのは親・や保護者の側だ。犯罪の道具に使われて、子どもが被害者になる報道はメディアが繰り返し報道している。自分の子の問題として理解していれば、携帯電話を持たせること自体に恐怖を覚えるのが当たり前だろう。それを店の説明不足として責めるとはモッテノホかだろう。》
子どもの携帯電話利用に詳しい藤川大祐・千葉大教育学部教授は語る。「携帯を買い与える保護者が、子どもの希望を受け入れてフィルタリングを利用しないと申し出る例が多い。必要なサイトまで閲覧できなくなるので不便だ、という認識が根強いのも普及しない一因だ。携帯電話事業者には、フィルタリングに加入しないことで生じうる危険や、必要なサイトについて個別にアクセス制限を外すサービスがあることを丁寧に説明し、普及に努める責任がある。サイト運営会社は、個人別のメッセージを含めたサイト全体の監視の充実やユーザーの年齢に合わせた利用制限の対応が求められる。
《基本的に、持たせる必要のない小学生や中学生に持たせることが、犯罪の底辺を広げているのだ。時代が変わったとはいえ、携帯電話は少なくとも小・中学生の必需品ではない。また、責任を販売店の店員にかぶせないで、わが子の身を守りたいのなら、親・保護者自身が進んでフィルタリングサービスを義務として、加入したものでない限り子どもには持たせるべきではない。それが親の監督責任というものだ。》
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