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2010年9月29日 (水)

北朝鮮の独裁世襲

 毎日新聞(9/29)『なるほドリ』から、
 《日本でも政治家の世襲の悪弊は近年特に取り上げられて問題になるところだが、おとなりのキンさんの国、の異様さは何と言っていいのだろうか。玩具のようなこけ脅かしの軍隊を持っているが(日本政府はこれを恐ろしい、恐ろしいと、国民に恐怖心を植え付け、役にたたない迎撃ミサイルで防禦するのに躍起だが)、国の統治権までを世襲にするとはいずれは滅び行く悲喜劇の舞台でも見るようだ。実現すれば、キンニッセイ、キンショウニチを経て三代続く世襲となる。》

 北朝鮮は、キンショウニチの後継者を三男のキンショウギンにしたというが、どうして世襲なんだろう。中国や旧ソ連などの社会主義国は、世襲を封建的なものとして批判してきた。北朝鮮も社会主義国家だから本来は世襲はいけないはずだ。北朝鮮自身も公式には「最初から世襲ありきではない。次代を担う最も能力ある指導者を選んだら、たまたま現指導者の息子だった」と説明する。

《身内の論理で、もの言えば命が危ない独裁の国情を作り上げ、限られた選択肢の下で、そうなるようにしかならない結果だろう。》

 Q でも、キン総書記もキンニッセイ首席(故人)の長男だ

 A キン首席が身内への権力継承を決めたのは、北朝鮮の後ろ盾だった旧ソ連と中国で起きた権力闘争の影響だと言われている。旧ソ連では1956年の共産党大会で「スターリン批判」が起きた。53年に死去するまで絶対権力者として君臨したスターリンの生前の暴虐ぶりが後継者となったフルシチョフによって暴露され、スターリンの権威は地に堕ちた。中国では71年、毛沢東の後継者に指名されていた林彪による毛沢東暗殺未遂事件である「林彪事件」が起きている。この二つの事件を見たキン主席は「世襲しかない」と考えた。

 Q 今回も同じことか

 A キン総書記は権力を握る過程で「革命の血統継承」の重要さを強調してきた。自らが世襲で権力の座に就くための理論武装で、北朝鮮の公式メディアでは70年代から「偉大な継承」などというフレーズが多用されてきた。30年以上もこうした教育を受けた結果、北朝鮮の国民もいまや「世襲は当然」という意識になっていると言われている。

 Q キンショウギンは三男だよね

 A 当初は、長男のショウナン氏や次男のショウテツ氏が後継者として有力視されていた。でも、この2人は本人たちも後継者になることを望まなかったし、キン総書記もショウギンが一番のお気に入りだったようだ。

《長男はディズニーランドがお気に入りで、偽造ビザで日本観光を目論んで失敗し、送還されたことが国際的信用を失墜させたこと、次男もやはり外国で女連れの写真を報道されたことなどがキンさんの逆鱗に触れたため、との説も流れているが。その点、三男のショウギン氏は表に出ることもなく、これからの偶像作りにはもってこいなのだろう。》

 Q 最高指導者の息子だし、ショウギンは幼いころから国民に知られていたのか

 A キン総書記の家族関係は機密扱いで、一般国民は何も知らない。ショウギンの存在が知られるようになったのは、09年以降と思われる。韓国の報道によると、ショウギンを後継者にするという決定が朝鮮労働党内で伝えられたのは、ショウギンの25歳の誕生日である09年1月8日。それ以降、ショウギンを後継者と讃える歌とされる「パルコルム」が広く歌われるようになるなど、後継者としてのショウギンの存在が国民の間で急速に広まった。最近は、ショウギンを「人民の指導者」と位置づけた国民向けの宣伝活動が行われているようだ。商用などで中国に出てくる北朝鮮国民も、「キンショウギンが後継者」と口を揃えて話すようになっている。
 

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