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2010年9月22日 (水)

子どもの暴力

 毎日新聞(9/22)「社説」から、
 子どもの暴力が深刻になっている。文部科学省が今月まとめた2009年度の「問題行動調査」によると、全国の小中高生による暴力行為の発生は計約6万1000件に上り、過去最多を更新した。

 参照 小中高生 暴力行為最多 10/09

《地震、雷、火事、親父(おやじ)、と生活して行く上で怖いものの中に含まれていた親父は大黒柱の地位を追われ、今では、母親の尻に敷かれる優しいだけの影の薄い存在になり、かといって権力の座を奪った母親は、子育てよりも働くことを優先する。「参照」でも書いたことだが、日本の民主警察が、「犬のおまわりさん」レベルの子どもにとって怖い存在ではなくなり、学校でも教壇から睨みを利かしていた教師は、上からの管理に縛られる上に、モンスター並みの保護者の突き上げに悩まされ、お客様扱いの子どもたちからは友だち程度にしか見られていない。その上にまだ、悪戯をしても叱ればすぐに「いじめだ、暴力だ、虐待だ」の声が響く。それを毎日窺っている子どもたちに取っては教師はとても「尊敬する人ではない」と認識するのは簡単なことだ。「褒めて育てる」で甘えることだけの箍のはずれた子どもたちが、思い思いに好き勝手するのは当然のなり行きというものだ。》

《と同時に大人や教師の側の日常の出来事の中に、子どもたちの目には「おとなのくせに」と映る事件が余りにも多く発生している。尊敬できる大人が子どもたちの目の前から姿を消しているのが現状だ。このように、家族制度の崩壊を背景に、日本社会全体に広がった価値観の喪失は、一朝一夕で立ち直らせることは不可能事だ。増えた暴力の原因を、データの数字でどのように解析するのか、問題の核心が見えていなければ、数字を弄り回すだけで解決の糸口も掴めないだろう。》 

 1970年代から80年代にかけて中学校を中心に起きた「荒れる学校」では、集団による暴力や器物損壊が目立ったが、最近は単独で暴れ、低年齢化する傾向があるという。教員に暴力を振るう例も増えた。

《以前書いたが、メディアの学校、教師たたきは凄まじいものがあった。尊敬されるべき教育者たちは袋叩きにあって萎縮した。いまさら、中庸を装っても遅い。一度地に堕ちた権威はやすやすと元には戻らない。》

 そうした子どもたちは感情の制禦が利きにくく、言葉による相手との意思疎通が不得手で、ルールを守る規範意識が薄いという。今の社会風潮を写しているようでもある。

《何を人ごとのようなことを言うのか。今の社会風潮は誰がつくっているのか。規範意識を教えるのは家庭内教育だ。親の義務である子どもに教育を受けさせるために学校に預けるにあたって、余計なおしゃべりをせずきちんと先生の話を聞くこと、友だちと仲良くすることを教えておくことから、教師への尊敬が生まれ、規律を守ることを覚えて行くのだ。何かというと権利だけを主張する保護者に欠けているのが、これだ。》

 一方、暴力が増えているのに、いじめは減っている。やや首をかしげざるを得ない。認知されたいじめは約7万3000件で前年度より14%減少し、特に近年注目されるインタ−ネットがらみの「ネットいじめ」は3170件で、30%も減った。

 対策効果も考えられるが、文科省は「技術の進歩で見つけにくくなっている面がある」とみる。さらに、潜在するいじめの早期発見のため、子どもの個別面接、アンケートなどを実施するよう異例の通知をした。

 実際、いじめがあったと報告した学校は、なかったという学校に比べ、個人面接やアンケートの実施率が高い。じっくり子どもに面接することが早期発見につながることを示している。

 06年秋以来相次いだいじめ自殺から、文科省はいじめの定義をより被害者の側に立ったものに改めた。国私立も加えた06年度の認知件数は前年度より大幅に増えて約12万5000件に上った経緯がある。

 この時の熱意が陰っているとは思わないが、表面化しにくいいじめについては、より細心の注意を払いたい。もちろん、それは学校だけが取り組めばすむ課題ではない。

 文科省はこうした子どもたちの「問題行動」について「家庭、地域を含めた総掛かりで取り組む必要がある」と言う。今国会に広がっている保護者・地域社会が学校運営に参画する「コミュニティースクール」や「学校支援地域本部」も、その理念と力を発揮すべき課題である。

《「家庭」は分かるが「地域を含めた」総掛かりとは一体何をいうのか。おまわりさんや、昔いた近所の怖いおじさんや、おじいさんを言うのではないだろう。この人たちが何かを言えば、昨今の親たちには、逆ねじを喰らうだけだろう。責任の所在もはっきりしない自治体が何かを働きかけることなど無理だし不可能だ。》

 また、文科省は小中学校で現行40人の学級編成基準を来年度から段階的に35人以下にする方針だ。それでどんな教育を実現するのか、その説明も共通認識もまだ十分ではないが、「問題行動」についてもこの少人数学級化の中でどう取り組み、どう改善を図るか練ってほしい。

 そして、全国統計調査と問題分類は必要だが、数字を現場対策に生かすのは限度がある。防止やアフターケアで具体的に参考になる検証事例を共有し、応用することが肝要だ。

《いつもいうことだが、問題の核心がずれていたり、理解できていなければ、数字をいじっても労多くして益なしだ、何の答えも生まれまい。》

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