歩行者との事故、過失相殺認めず 自転車側に高額賠償
毎日新聞(8/21)から、要約と 《 》内は私見。
自転車の車道走行ルールを厳格化するため道路交通法が改正された07年以降、自転車で歩行者を跳ねて重傷を負わせた場合、民事訴訟で数百万〜5000万円超の高額賠償を命じる判決が相次いでいることが分かった。これと並行して東京や大阪など主要4地裁の交通事故専門の裁判官は今年3月、「歩道上の事故は原則、歩行者に過失はない」とする「新基準」を提示した。高額賠償判決がさらに広がるのは必至の情勢となる一方、車道走行ルールが浸透していない現状もあり、今後議論を呼びそうだ。
《街なかを歩いていて目につく道交法無視の1番手は歩いている人間だ。次いで大いのが自転車利用者。「舗道上の事故は原則、歩行者に過失はない」とするが、日本の道路で自転車専用道路が整備されているのはごく一部でしかない。大都会の街路樹が植えられているような大道路では、自転車は車道の左側を走ることも可能だが、自動車がやっとすれ違いで走行可能な程度の道幅では、道行く人たちでさえ右側通行を守る人はほとんどいないのが実態だ。この中を同じように逆走する自転車は数えれば切りがないほど目にする。上のように、「歩道上の事故は・・・」が拡大解釈されて運用されることになれば、混乱を招くことになるが、そうならないためにも、自転車専用道の整備と啓蒙、道交法の一段と明確な基準づくりが必要になるだろう。》
<事故件数は10年で3・7倍に>
社団法人「自転車協会」の調べでは、全国の自転車保有台数は08年3月時点で約6910万台。最近10年で約398万台増えた。警察庁によると、09年の自転車関連事故は15万6373件で、交通事故全体の21・2%を占める。自転車事故の増減はこの10年はほぼ横這いで、8割以上は対自動車だが、対歩行者事故に限ると、99年の801件から09年は2934件。10年間で3・7倍に激増した。自転車同士の事故も09年は3909件で、10年前の4・4倍に増えている。
自転車側が過失の大きい「第1当事者」となった2万4627件のうち、未成年の占める割合は39・6%。訴訟では13歳前後から賠償責任を負うとの判断が多く、未成年が高額な賠償を求められかねない実情が浮かぶ。これらを含め、自転車側に法令違反があったのは、自転車事故全体の3分の2に及んだ。
<過失相殺>
損害賠償訴訟で被害者にも責任や過失があった場合、その程度に応じ裁判所が賠償額を減らす仕組みで、民法に規定されている。例えば交通事故被害者の損害額が2000万円だったとしても、被害者に周囲の安全を確認しなかったなどの過失があり、賠償額から差し引くべき割合が20%と判断されれば、賠償命令額は1600万円になる。一般の訴訟では裁判官が事案に応じ自由に過失相殺の割合を決められる。
それではいったい自転車は歩道が走れないのか、走れるのか。
『なるほドリ』欄から、
歩道を自転車で走っていて警察官に注意されることがあるが、それは、道路交通法で自転車は「軽車両」に分類され、車輛の一種とされているので、原則として車道の左側を走らなければならないからだ。違反したら3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金という前例もある。以前から自転車の歩道走行は原則禁止とされていたが、07年6月成立の改正道路交通法(08年6月施行)で、例外的に歩道を走ってもいいケースを明確化した。でも、その際の国会審議で、当時の国家公安委員長が「私自身も『ルール上は車道を通るんだ』という認識がなかったんだ」と答弁したくらいだから、一般の人に浸透していないのも無理はない。
Q 例外って、どんな時なら歩道を走れるのか
A 改正前でも、道路標識などで許可された場合は走行できたが、改正で、13歳未満か70歳以上、あるいは体が不自由な人が運転する場合、路上駐車があるなど車道や交通の状況からやむを得ない場合、等に走行可能になった。原則禁止にも拘わらず歩道を走る自転車が耐えなかったので、実態に即してより守り易い法律に変えた。07年には自転車安全利用五則も定められた。
♦自転車安全利用五則♦
1、自転車は車道が原則、歩道は例外
2、車道は左側を通行
3、歩道は歩行者優先で、自転車は車道寄りを徐行
4、飲酒運転・2人乗り・並進の禁止。夜間は例と点灯。交差点での信号厳守と一時停止・安全確認
5、子どもはヘルメットを着用
Q でも、車道を自転車で走るのは怖いことだ
A たしかに、日本では自転車専用レーンの整備がまだまだ不十分という問題もある。でも、自転車が歩道をビュンビュン走っていると、歩行者は安心して歩けない。歩道走行を許可されているところでも、自転車は車道寄りを徐行する必要がある。歩行者の通行を妨げてしまう時は、一時停止するように決められている。
Q 自転車が車の一種なら、酒に酔って乗るのもだめなの?
A そうだ。酒気帯び運転をしたら、自動車と同じように5年以下の懲役または100万円以下の罰金を科されることがある。2人乗りや自転車が並んで走るのも原則禁止だし、夜間にライトを点けなかったり、むやみにベルを鳴らしたり、傘をさしたり携帯電話を使用しながら乗るのも法律や公安委員会規則で禁じられている。信号無視や一時停止違反を含め、いずれも罰則が定められている。自転車は手軽な乗物だが、人を死なせる危険性もあるということを念頭において、安全運転を心掛けることだ。
《歩きながらの携帯がなくならないのと同様、自転車を走らせながら携帯を眺め、耳に当て、甚だしいのはキー操作までやっているのもいる。また、郊外では、友達同士で狭い道を大声でしゃべりながら、2台3台がスピードを上げて並走するのを見るのは珍しくもない。》
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