日韓基本条約
毎日新聞(8/28)|なるほドリ」から、
日本と韓国の国交正常化にあたって1965年に締結された条約。
1、両国間の外交関係樹立
2、1910年に結ばれた日韓併合条約の無効確認
3、韓国を朝鮮半島になる唯一の合法政府と確認
4、貿易や交通などの協定交渉を開始
などが決められた。
Q この条約が、なぜ45年も経った今、注目されるのか
A 日韓併合条約の効力を巡る解釈について両国の意見が異なっているのだ。日本は「併合条約は合法的に締結された」と主張し、韓国は「強制的に締結された条約は当初から向こう」との立場をとってきた。基本条約の交渉時にも議論になったが、結論が出なかったため、「もはや無効」という曖昧な表現が使われた。今月10日に菅直人首相が発表した日韓併合100年をめぐる首相談話は「韓国の人々は、意に反して行われた植民地支配によって、国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷つけられました」と強制性を認めたが、韓国では「併合条約の不法制を認めるべきだ」という声が上がった。
Q 文化財返還とか戦後補償という言葉もよく聞くが
A これは基本条約と同時に締結された請求権・経済協力協定の問題だ。国交樹立の際、植民地支配の間に生じた財産請求権をどう清算するかが問題になった。05年1月に韓国政府が公開した「日韓条約関連文書」によると協定を結ぶ過程で日本側の経済協力と引き換えに韓国側は対日請求権を放棄することを決めた。
Q 放棄したはずの問題が再発するんはなぜか
A 90年代に元従軍慰安婦が名乗りを上げたのを契機に韓国で日本政府に謝罪と補償を求める声が起きた。この時、日本政府は「協定で解決済み」との立場を取った。しかし韓国では「協定締結時に知られていなかった問題についてまで請求権を放棄したわけではない」「人権問題は条約に優先して解決されるべきだ」との主張が出た。
《(協定締結時に知られていなかった・・・)わけではないだろう。日本側からは暴かれたくない恥部を敢えてさらけ出すよりは、そのままそっとしておきたかっただろうし、韓国側の元従軍慰安婦当人たちも、忘れたい過去を白日の下に曝される恥辱を避けたかったものと考える方が人間的ではないか。元従軍慰安婦の人たちが、忘れようにも消し得ない辱めは何年経っても忘れられるものではないだろう。》
文化財についても同様だ。国交正常化の過程で宮内庁所蔵書籍を含む1432点が返還され、国際法上決着した問題とされてきた。しかし日韓併合100年を機に「不当・不法な方法で日本に持ち出された文化財に請求権放棄の効果は及ばない」との立場から、韓国の市民団体などが、日本に流出した多くの文化財返還運動を開始した。
Q 首相談話で、宮内庁が保管していた文書が韓国に戻されることになったが
A 談話は「返還」ではなく「お渡ししたい」という言葉を使った。他の戦後補償問題への影響を避けるためだったとみられる。今年1月、朝鮮半島から日本に6万1409点の文化財が流出したと発表した韓国文化財庁も「すべての流出文化財の返還実現は困難」との立場だが、韓国からの文化財返還を求める声は、今後さらに大きくなることだろう。
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