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2010年6月27日 (日)

公務員の飲酒運転に「懲戒免職」緩和の動き

 喉元過ぎれば熱さ忘れる。日本が、これほど酒飲み公務員に甘い規律のない国だとは信じられない。これからは、少々の酒では免職にはならないですむ。最高裁のお偉方も、よほど心当たりのある面々が揃っているようだ。事故に遭った遺族や巷では、一口でも酒が入っていれば公務員に限らない、厳罰を望む声が圧倒的だ。このような悲痛な叫びもお歴々には届かないのだろうか。一般庶民以上に公務員は法を遵守することが求められているはずだ。法は破るためにあるのではないのに、昨今の風潮として、法を破っておいて、法があるからいけない、とでもいうような道理を弁えない盗人(ぬすっと)猛々しく逆ねじ喰らわすような無法が罷り通っている。

 毎日新聞(6/27)から、要約と《 》内は私見。
 「飲酒運転した公務員の「原則懲戒免職」を自治体側が見直し始めたのは、司法が「原則」ではなく、事故の有無や飲酒の量などケース・バイ・ケースで免職の適否を判断していることが背景にある。06年8月に福岡市職員の飲酒運転で幼児3人が死亡した事故をきっかけに処分の厳罰化が広がったが、09年以降、「過酷すぎる」として免職を取り消した判決が最高裁で相次いで確定。厳罰化の流れに変化が生じている。アンケートでは、大半の自治体が「原則免職という基準に抑止効果がある」と答える一方、免職は重すぎるとした一連の司法判断を受け、処分のあり方に悩む姿も浮かぶ。かけがえのない人を失った遺族らは複雑な思いを隠さず、専門家は明確な判断基準の必要性を指摘した。

 基準が厳罰化された後、職員側が免職の取り消しを求めて各地で提訴していた。09年9月に兵庫県加西市の上告が棄却され、自治体敗訴が最高裁で初めて確定。その後、神戸市、佐賀県、三重県の敗訴が確定した。

 この4県市と、都道府県、政令指定市のうち、「原則懲戒免職」基準がある25府県市に司法判断の影響をアンケートした。回答によると、基準を「免職または停職」と緩やかに改めたのは、大阪府と、最高裁で敗訴した加西市。大阪府は「飲酒運転には厳正に対処すべきだが、最高裁の判断は尊重すべきだ」と指摘する。

 神戸市は検挙のみの場合などは「停職」とする新たな適用方針を定めた。市人事委員会は一連の司法判断を踏まえ、飲酒運転で横転事故を起こすなどした2人の懲戒免職を停職6ヶ月に軽減した。

 見直しを検討しているのは茨城、三重、滋賀県と、さいたま、岡山市の5県市。京都、長崎の2府県は見直すかどうかも含め検討中。さいたま市は「今後は、より一層慎重な判断が必要となる」とした。長崎県は「処分の取り消しについて国民の理解を得られるか今後の司法判断を注視したい」との姿勢を示した。

 一方、見直しの予定がないとしたのは19県市。福島県は「社会的非難が依然として高く、引き続き厳格に対処する必要がある」とする。福岡市は「変更が必要とは考えていないが、他都市の裁判例を注視していく」。佐賀県は「飲酒運転には厳罰で臨む姿勢に変わりはない」としている。

 「飲酒」の実態は一様ではない。自治体が敗訴した4件の訴訟をみても、2件は十分な時間を置かずに運転していたが、残る2件は前夜のアルコールが朝に検知された「二日酔い」だった。

《飲酒の実態が一様でないことは、誰でも理解している。それは酒を飲んだ時間帯が直前であろうが、昨夜の残りであろうが、検査時には間違いなく呼気中にはアルコールが抜け切れず、飲酒運転となる計測値が示されたのだ。この両者に道交法で定める飲酒運転としての違いをいう必要はない。》

 「原則懲戒免職」の基準が普及後、自治体敗訴が確定した兵庫県加西市の課長のケースでは、1,2審判決によると、課長は07年5月の休日、自宅近くの飲食店で酒を飲んだ後、車を運転したとして、罰金20万円の略式命令を受けた。飲食店ではビール中ジョッキ1杯と日本酒1合を飲み、運転したのはその30〜40分後だった。

 2審の大阪高裁判決(09年4月)は市の基準に合理性を認めながらも「仕事と関係ない運転で距離も短く、事故を起こしていない。アルコール検知量は最低水準。まじめに勤務した」などと情状面を指摘。「免職処分は過酷で裁量権を逸脱している」と結論づけた。

《仕事中でなければ飲酒運転は許され、走行距離が短かければまた、許される。真面目な人間がたまに飲んで運転するのは「たまにはあることだ」としてくれる。検知量が少々規則を超えていても事故を起こさなければ、それもまたいい。「この程度のことで免職は酷いじゃないか」と市を叱ってくれる。ここまで大目に見てくれるザル法では、酒飲みが酒やめられないのは道理だ。酒飲みにはますます弾みがつこうというものだ。》

 佐賀県が敗訴した教諭のケースは、06年7月の夜にホテルやスナックでビールや日本酒を午後11時ごろまで飲み、約30分仮眠するなどして翌日未明に運転。他の車と信号待ちを巡りトラブルになった。交番に呼び出された午前8時ごろアルコール検査を受け、検出データは酒気帯び運転となる呼気1リットル中0・15ミリグラムを下回る0・07ミリグラム。訴訟で県側は「運転時は基準を超えていた」と主張したが、1、2審判決とも「証拠がない」と退けた。

《ひき逃げが横行するはずだ。酔いを醒まして出頭すれば、証拠不十分で済ましてくれるんだ。一方、速やかに救護すれば刑が軽くなる仕組みが必要だ、と述べるのは、06年の福岡の3児死亡事故の遺族の代理人、羽田野節夫弁護士だ。》

 「二日酔い」は、三重県職員と、大型トラックに追突した神戸市消防局員の2件。それそれ飲酒終了から8〜10時間後の運転で「悪質な事情はない」と判断された。

《二日酔いのぼんやり頭で危険運転していても、「悪質ではない」と解釈してくれる。酒飲みには至ってお優しい天国のような国だ。》

 一方、宮崎県都城市職員が免職取り消しを求めた裁判では2月、自治体勝訴が最高裁で初めて確定した。職員は事故を起こしていないが、焼酎のロック6杯を飲んで30分後に運転。宮崎地裁判決(09年2月)は「検知量は多量で、情状酌量の余地はない」と断じた。

 同様に厳罰化が進んだ企業は、処分基準見直しの流れをどう見るのか。企業の法令遵守に詳しい山口利昭弁護士は「企業は社員が飲酒運転した場合の風評リスクが大きいので、今のところ見直しの動きは聞かない。厳罰化は社会の要請を受けた動きだ」と指摘する。

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