その後の女子プロ野球
関西の放送状況がよく分からないが,関東エリアでは今年発足した女子プロ野球の試合を見たり、結果を活字で読む機会はないと思う(少なくとも私の目には全く触れなかった)。尤も従来の男たちがやる日本プロ野球さえ、関東でもスポーツ紙以外はほとんどおざなり記事で済ましているから(海の向こうの大リーグ以下の扱いだ)、女の子のやるお遊戯程度にしか見ていないのだろう。3月に取り上げてからぱったり途絶えていた情報が久しぶりに“順調な船出”と、記事になった。
参照 女子プロ野球 10/03
毎日新聞(6/25)大阪編集制作センター:水津聡子、要約と 《 》内は私見。
(前略)ナックルボールという「必殺技」を携えて男子のプロリーグに単身乗り込んだ吉田えり投手(18)=米独立リーグ「チコ・アウトローズ」所属=と、国内で約60年ぶりの女子プロ野球設立。二つは、似ているようで全く違う。他のスポーツと同様、女子同士で対戦してこそ引き出される魅力がある。
GPBL(日本女子プロ野球機構)のリーグ戦は4月23日、京都アストドリームスと兵庫スイングスマイリーズの2チーム制で開幕した。
背景には、近年の女子野球への注目度の高まりがある。08年に松山市で開かれた女子野球ワールドカップで日本が初の世界一に。昨年、関西独立リーグの神戸9(ナイン)クルーズに吉田投手が所属。野球をする女の子が「えりちゃんみたいになりた」と口にするようになった。ただし女子のトップレベルでもパワーは男子の中学生程度であり、男子に伍して活躍する吉田は特殊なケース。「女子としては野球がうまい」選手にとって、協議継続すら困難なのが現実だ。
現在、女子硬式野球部があるのは6校。大学、クラブチームと会わせても全国に30チームしかない。野球のために親元を離れたり、転職せざるを得なかった選手の話をたくさん聞いた。男子に混じってプレーする道も険しく、途中で諦めるケースは珍しくない。
《自分の希望を満たそうとすれば、親元を離れたり、転職などの条件は、男子とて何も変わらない。それに男子に混じってのプレーなど考えることからしておかしい。性差は歴然として存在する。これを男女差別ととらえる人がいるとすれば、とらえる方の頭がおかしい。》
京都の藤沢美和選手(23)は、女子ばかりのチームで男子リーグに参戦した愛知・中京女子大(現・至学館大)野球部の初代主将。練習に励んだが、5部リーグで卒業まで一勝もできなかった。専門学校へ進学後は男子チームでプレー。「ずっと一人で・・・・つらくて。でも野球がしたくて。プロに入った子は、ほとんどがそういう経験を積んでいるんです」と振り返る。
《当然の帰結で、性差を考えないことが最初から変なことだ。男子チームにとっては女子が混じっていることは、面と向かっては差別発言とも取られ、言いにくく迷惑でさえあったことと思う。》
大半の選手が、犠牲を払わなければプレーを続けられない。それが競技としてあるべき姿なのか。硬式の競技人口は6000人とされるが、条件さえ整えばやりたい人は多いはずだ。GBPLの狙いもそこにある。
《水津がいう犠牲とは何をさしているのか。上に書いた記事のどこに犠牲があるのだろうか。ただ、女であることを強調しているだけにしか聞こえないが。》
「先ず頂点を示して、裾野を広げようと考えた」と片瀬代表(34)。昨年のトライアウトは硬式野球経験のない受験者が目立ち、元槍投げ選手の萩原麻子投手(18)も合格した。少年野球の女子チームも増えたと聞く。特殊ケースではない頂点が見えたことで、諦めた選手が戻ってきたのだ。
GPBLは人件費や移動費用などの制約から2チーム、各15選手でスタートした。「観客が集まるのか」という不安もあったが、平均1500人近くが観戦する順調な滑り出し。約600人収容の神戸市の球場で予定していた全9試合は、「観客の安全が確保できない」との理由でキャンセル。その分は、元々女子野球が盛んな関東エリアから要望もあり、西武ドーム(埼玉)などでの試合を新たに組み込んだ。
GPBLは、健康食品会社のわかさ生活(本社・京都市)から資本金3億円の拠出を受け、運営している。新興団体としては恵まれた条件だ。これを生かし、地道にファン定着を目指す。入場料(前売り1000円、当日1500円)は中学生以下と65歳以上などに加え、女性は18歳以下が無料。選手は試合後のスタンド清掃とサイン会を欠かさず、ファンとの密着感を高めている。
《和気あいあいのプロ野球、これでは女による女のための野球だ。》
さらに、引退後は地元に帰って指導者になる道を開こうと、全選手が柔道整復師の資格が取得できる学校に通う。あとは、どこまで魅力をアピールできるかだ。
《引退後のことは男子のプロ野球選手にとっても考えるところだ。引退後、野球に関係のある仕事で生活できる人は多くはない。人生設計をするのは当たり前のことだ。》
運動部の記者としてバレーボールを取材し、男女の違いを感じた。スピード感あるスパイクで勝負が決まる男子に対し、女子はつないでつないで得点、それぞれの面白さがある。野球はどうか、男子は速球や豪快なホームラン。GPBLは攻守ともに「仲間につなぐ」という強い意志が、試合に熱気を与える。何より、楽しそうにプレーする姿に、声援を送りたくなる。打ち上げ花火ではなく、女子選手を照らす消えない火を、女子プロ野球が燃やし続けることを期待している。
《これまでにも米国で、日本で、資金難で消滅していった女子野球。その轍を踏まないためにも同じような球技、ソフトボールの厳しさ以上の厳しさや激しさを身につけなければ、楽しさだけでは珍味に飽きれば直ぐにファンはそっぽを向くだろう。》
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