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2010年6月 3日 (木)

野良猫の餌付け、癒しか迷惑か

 毎日新聞(6/1)から、
 野良猫への餌付けは禁止、糞尿で迷惑をかけた近所の人には慰謝料約200万円。近くの猫に餌をやっていた将棋の元名人・加藤一二三が5月、東京地裁立川支部でそんな判決を受けた。餌付けが愛猫家のエゴと言われないために、どうすればいいのか。

 加藤は控訴を断念し敗訴したが、判決については「外で暮らす猫の問題は、皆で支え合って行くという趨勢にあることを認めている」などど評価。「(集合住宅の)敷地外で餌やりを続ける」としている。

《加藤が言う「皆で支え合っていく」趨勢とは、このところ頻繁に耳にする人間の子どものことで政府も使うはやり言葉を借用したようだ。皆とは言葉の厳格な意味では、『一人残らず』ということだ。しかし、普通に言う「皆がしているから」「皆が言うから」「皆が持っているから」「皆が・・だから」は、責任の所在が曖昧で言い逃れの口実にも使われる便利な表現になっている。》

 近くの80代女性は「判決後は近所での餌付けは、ぱったり止んだ」と話すが、自宅には見知らぬ人から「猫をいじめないで」と電話がかかってきたという。「私たちは糞尿の臭いに悩まされていただけだったんです」。猫に悩む人たちと愛猫家との溝は深い。

《愛猫家が餌付けをするのを止めろとは言わないが、食事をすれば生理現象として後に排泄行為が必ず伴うのは人間も同じだ。餌付けをしている人たちが、そこまで責任を持って後の糞尿まで面倒をみているかどうかだ。可哀そう、可愛いいだけで餌の与えっぱなしでは問題が起こるのは当然だ。》

 猫の餌付けトラブルは各地で深刻化している。08年には川崎市と東京都足立区で、09年には千葉県船橋市で殺人事件まで起きた。日本動物愛護協会事務局長の吉野功は「猫問題は人間の密集した都市部で顕在化しやすい。餌やりは自由だが、敷地管理者の了解を得たり、生まれる子猫をどうすうるかなどの対応が必要」と指摘する。

《糞尿もそうだが、避妊手術をしなければ野良猫はどんどん増える。》

 横浜市磯子区の安達節子(55)は、餌やりを始めて10年。毎晩外に出ると馴染みの猫数匹が寄ってくる。「嫌なことがあっても忘れてしまう」、癒しのひと時だという。食べ残しの餌や糞は始末し、 猫には必ず不妊・去勢手術を施す。近所に20匹いた猫は、自然に7匹に減った。一緒に餌をやる森谷美恵子(54)は「地域の人とコミュニケーションをとるのが最も大切。町会には猫ボランティアの活動を説明し、防災訓練や公園清掃には参加する」。

《猫が目の前にいる場合は糞の始末は出来るだろうが、自由気ままに動き回るのが習性の動物のことだ。どこで糞をしているか分からない。「見ていないからどうにもならない」では無責任だ。他人の所有地内で糞尿をしていることだってある、いや、その方が多いだろう。不妊・去勢手術までしているこことには感心するが、考えようによっては人間の都合ですることだ。20が7に自然に減ったのはどのような自然の力が働いたのか、それとも手術の失敗で死んだのだろうか。》

 磯子区は99年、全国に先駆け、人と猫とが共生するための「猫の飼育ガイドライン」をまとめた。安達らも含め、27のボランティアグループが餌付けしている。ガイドライン推進協議会事務局長の獣医、坂田充古は「グループが活動する場所で猫は増えていない」と話す。

 カギは不妊・去勢手術。猫は年30匹以上を産むとされ、手術には協議会から助成金が出る。原資は賛同者が払う年会費1000円で、猫に困る人たちも入会して負担している。

 環境省によると、さいたま市や相模原市など約150の自治体に同様の助成制度がある。全国の猫の殺処分数も、約30万匹(96年度)から約19万匹(08年度)に減っている。

 野犬に関しては、狂犬病予防法などに基づき保健所や動物愛護センターが捕獲・処分する場合があるが、野良猫は、明らかに遺棄されたものや飼い主が引き取りを求めたものなど以外は処分の対象になっておらず、放し飼いされた飼い猫との区別も難しい。

 上野動物園元園長の中川志郎は「餌を与えるなら繁殖のコントロールは必須で、餌付けする人は、猫嫌いの人と折り合う努力が求められる」と話した。共生は、まず人間から、のようだ。

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