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2010年5月 4日 (火)

足りない たばこ税の引き上げ幅

 毎日新聞(4/30)から、要約と《 》内は私見。
 《今年の2月17日、有名俳優F氏が大動脈瘤破裂で亡くなったと、それが藤田まことであることは直ぐに推察ができるが、彼の死を医師(本田宏:埼玉県済生会栗橋病院副院長)の立場から喫煙者ではなかっただろうか、ということで読者の気を惹いてこの先の文章を続ける。理由としては藤田の病歴(食道癌、慢性閉塞性肺疾患、)から推察してのことだが、たばこ税のあげ幅が少な過ぎることの話の切り出し方はいささか乱暴すぎることではないのか。》

 今回、たばこ税の引き上げが侃々諤々の論争《そんなに諤々の論争があったとは聞いていないが》の末に実施されますが、医療者としてみると、まだまだその引き上げ幅は足りないと言わざるを得ません。その理由は、たばこの危険性を日頃の診療を通して肌で感じているだけでなく、それが他の危険性を大きく凌駕しているからです。

 《どうしてこんなに中途半端な主張なんだろうか。喫煙が死に直結していることが確実なら、なぜ、医師の立場からはたばこの撲滅を言わないのだろうか。どれほど値上げ幅を大きくしても、吸いたい人は吸うだろう。それも1人や2人の数ではないはずだ。それらの人がたばこが原因で死亡することが分かっていても、医師の立場からは「それ見ろ、言わんことじゃない」で済むことなのか。それらの人の死を予防するのが医師の立場だとすれば、この世からたばこそのものを無くすることをなぜ言わないのか。値上げ幅の大きい小さい程度の些細な問題ではないはずだ。》

 統計によれば、「日本人の人口10万人当りの生涯リスク(一生のうちのそれが原因で死亡する推定人員)」は高い順に、1位は能動喫煙(喫煙に起因する疾病などでの早世)3万7500〜5万人、2位が受動喫煙(家庭内)5000人で、たばこ関連死が1〜2位を独占しています。3位は自動車の交通事故で480人、4位がディーゼル排ガス(東京都心に住み死因が肺がんの場合)300人と続きますが、たばこ関連死より1桁下がっています。

《統計などどうでもよい。この程度の内訳は、いくらでも分類の操作をすることが可能だ。》

 能動喫煙対策は未成年者喫煙防止法以外は特になく、国費はほとんど投下されていません。受動喫煙に対しては、厚生労働省の受動喫煙対策費4100万円(06年度)と、最近になって公共スペースやレストラン等の禁煙化が進められていますが、現実的には罰則のない健康増進法があるだけです。

 これが交通事故になると罰則のある道路交通法に加えて、陸上交通安全対策費1兆7351億円(07年度予算)が投入され、ディーゼル排ガス対策としては罰則のある東京都条例と東京都ディーゼル車対策費29億円(06年度)があります。

 日本では、喫煙対策というと、喫煙者の権利やタバコ農業を守る観点からの議論が沸き起り、世界から大きく後れを取っています。しかし、WHO(世界保健機関)はたばこ規制枠組み条約まで締結して喫煙対策を進めています。4月6日付きで日本学術会議が、職場や公共の場所での受動喫煙防止のために「強制力のある立法措置が必要」と提言しました。いずれも、喫煙対策を最優先に行う統計学的な意味があるからなのです。

《WHOも警鐘を鳴らしていくら規制しても、死亡する人数が多少は減るだけであることを百も承知だ。地球上には絶滅危惧種の植物が幾つもある。人工的に積極的なたばこの絶滅、栽培の中止を呼びかければいいだろう。当然のことだが国庫へ納まるたばこ税がなくなる。消費税や所得税をどんどん上げればいい。たばこが片づけば、発癌物質を含むもっと怖いアルコール類に矛先を向けよう。》

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