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2010年5月30日 (日)

顔のやけど、労災補償に男女差は違憲

 毎日新聞(5/28)から、
 金属を溶かす仕事中の顔面のやけどを巡り、京都府内の男性(35)が、労災補償給付で女性より低い等級の障害認定しか受けられないのは男女平等を定めた憲法に反するとして、国がした認定の処分取り消しを求めた訴訟の判決が27日、京都地裁であった。滝華聡之裁判長は、障害認定の基準となる障害等級表について「著しい外見の傷跡についてだけ性別で大きな差が設けられているのは著しく不公平で、違憲だ」と延べ、国の認定を取り消した。

《古くは、男は度胸、女は愛嬌とか、男はむさ苦しくてもよい、女は顔が命など、と言われたが、近ごろのように眉を剃り、化粧水をつけ、女装し、美容にうつつを抜かす男どもが生まれた平成の世のことだ。容貌だけ見て、男か女かも判然としない人種がテレビの中でも活躍し、人気を集めているのが普通だ。顔のやけどに性差がついていては、これまでのように女からの一方的な差別提起に対抗して男の側からの異議申し立てが出てくるのは時間の問題でもあったのだ。》

 原告側弁護団は「障害等級表を違憲とする初の判決。画期的だ」と評価している。判決のよると、男性は精錬会社に勤めていた95年11月、説けた金属をかぶってやけどを負い、胸や腹、ほおに傷跡が残った。労働者災害補償保険法は精神的苦痛を考慮して、顔などの傷跡は女性の方が高い等級になると規定している。園部労働基準監督署は04年4月、男性を障害等級表で11級と認定したが、男性側は「女性なら7級を受けられたはず。男女差別だ」と主張していた。

 判決は障害等級表について「年齢や職種、利き腕、知識などが障害の程度を決定する要素となっていないのに、性別だけ大きな差が設けられている」と指摘。「この差を合理的に説明できる根拠は見当たらず、性別による差別的扱いをするものとして憲法14条違反と判断せざるを得ない」と結論づけた。

《差は、敗戦後日本に初めて持ち込まれた男女同権の民主主義の恩恵と、古い概念の女は容貌の価値基準で設けられたものと考えられる。》

 弁護団によると、11級だと1日の平均賃金の223日分の一時金しか受け取れないが、7級は同131日分が年金として毎年支給され、大きな格差があるという。

 厚生労働省労災補償課は「今後の対応については関係省庁と協議して決定する」としている。

【解説】
(前略)障害の影響の男女差に一定の理解を示しつつ制度を「著しく不合理」としたのは、格差の余りの大きさだったと言える。

 制度の基礎となる同法の施行は戦後間もない1947(昭和22)年。当時の就労事情などを反映し、女性に有利な補償制度を設定したとみられる。判決は現状についても「精神的苦痛や就労機会の制約、それに基づく損失補填の必要性は女性の方が大きい」と認めた。

 一方で、判決は実際の給付の男女差が補償の「必要性」の差を大きく上回ったと判断した。日常露出している部分の障害の等級は女性が7級、男性は12級で、他部位の障害との併合となる原告でも11級。年金を受け取れる1〜7級と一時金の8〜14級では大きな差が生じるからだ。

 憲法14条の男女平等に反するとの司法判断は、賃金差別訴訟や交通事故被害者の逸失利益を巡る訴訟でも出されている。しかし、国の制度を違憲と認定したのは極めて珍しく、今後の対応が注目される。

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