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2010年5月21日 (金)

まずは保育所を増やせ

 毎日新聞(5/21)から、要約と《 》内は私見。
 第一生命経済研究所主任研究員・松田茂樹が「くらしの明日」欄で、標題のタイトルで本紙に寄稿しているのだが、私はその必要性を認めない。理由は2月のブログ『子育てビジョン』に詳しく書いた。

 松田の考えは次のようなものだ。現在認可保育所の入所希望者が増えているが、希望しても入れない待機児童は昨年10月時点で4.6万人。その待機児童は都市部の0〜2歳に集中し、近年は大規模な集合住宅が開発された場所で局所的に保育ニーズが増えるという地区長があるという。そこにいる子どもの年齢が上がればニーズは減るため、瞬間的な保育需要ともいえる。

《2月にも書いたが、0〜2歳は児童ではない、乳幼児だ。しっかりと母親が母親の温もりで身近にいて育てなければならない年齢だ。それを生むがはやいか保育責任を投げ出し、さっさと他人に預ける。それでもまだ保育所が足りない足りないという。しかしこの先、生みたくない女たちの世代の出生率がどんどん下がる。閑古鳥が啼く建物を造る必要などさらさらない。だが、松田は先のことは先になって考えればいいという。私は、0〜2.3歳の乳飲み子、乳幼児に必要なのは、企業内保育所であることを言い続けてきた。これは育児が必ずしも母親でなければならないものではなく、企業内にあれば、父親でも育児参加することが可能になる対策でもあるからだ。またこれは、政府もいう社会全体で子育てを、の考えにも沿うものでもあるのだ。》

 これに対し、松田は、政府が保育に関して精力的に検討しているのは、幼稚園と保育所の垣根を取り払い、幼児教育と保育をともに提供するという幼保一体化だ。その精神には共感するが、順序が違う。一体化には幼稚園教育要領と保育所保育指針の統合、施設の基準づくりなどが必要で、時間がかかる。既存の幼稚園と保育所を一つにしても施設数は増えないし、肝心の保育所不足は解消されない。今、最も優先すべきは、とにもかくにも保育所を増やすことだ、とおっしゃる。保育所を利用できないと子育て世帯の生計維持が難しくなるうえ、子どもを産み育てにくいと感じる人が増えて少子化は止まらない。幼保一体化は長期的課題として取り組めば良い、という。

《何が何でも生まれたばかりの子でも他人に預けることを前提に物事を考えているようだ。人間的な何かを忘れてはいないか。生まれたばかりで母親から切り離される赤児の側のことを考えてみる必要はないのか。それに、現在の日本で、どれだけ苦しいとはいえ、赤児を一時預かり所に入れて、両親が働かなければ子は餓死するという生活レベルの家庭がそんなに多くあるのか。せめて子どもが3歳になるころまでは、育休が取れる仕組みを作る方が余程人間的な世の中になるのではないか。》

 短期間に保育所を増設する場合、平均100人定員で0〜6歳の子を預かる従来型の認可保育所は不向きだ。待機時児童の多い都市部に広い土地・建物は少なく、保育を必要としている子の8割以上は2歳以下だからだ。

《繰り返しになるが、親が近くに居られる企業内保育所以外で、0〜2歳の乳幼児を預かる保育所などない方がいい。母親から切りはなさいでできる育児を考えるべきだ。》

 発想を変えて、「コンパクトな保育所」を全国の都市部に普及させることを提言したい。モデルは東京都が独自に行う認証保育所である。平均定員30人で、主に低年齢児を受け入れている。施設が小型で済むため、ビル内にも設置しやすい。認可保育所の建設費は約2億円であるが、建物の一部改修でコンパクトな保育所をつくれば6000万円だ。局所的・瞬間的に発生する都市部の保育需要には、ピンポイントに設置できる施設の方が適している。

《どうしてその考えを発展的に企業内保育所に展開できないのだろう。》

 ところが国はコンパクトな保育所に積極的でなく、都の認証保育所には国費が投入されていない。これでは財政力のある東京都ですら設置や運営が苦しく、利用者の負担も大きい。他の自治体では同様の保育所を造りたくてもできない。現在のように全国一律の基準を設け、それを満たした施設に国費を投じるのではなく、地域に合った施設づくりができる仕組みにすべきだ。

《国が金を出してくれないから何も出来ない、子も生まないでは悲しすぎるし、知恵がなさ過ぎないか。》

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