区長の育休
毎日新聞(4/16)から、
夕刊編集部、本橋由紀が、制度がないままに、東京都文京区長・成沢広修が今月3日から15日まで、育休のために休暇を取ったことを取り上げて記事にしている。
「炊事に洗濯、やりました。朝、風呂に入れるのが日課で、目に水を入れて泣かれたり」制度がなく「批判は覚悟の上で決めた」という区長の育休取得が報じられたのは先月11日。「自治体の首長で初」という。
厚生労働省の「育児をしない男を、父とは呼ばない」というコピーに、賛否両論が起きたのは99年だった。それから10年余まり、区長のもとには、それまで面識のなかった著名人などからも温かい手紙が届いた一方で、「ニッポンの母」と名乗る投書には「女々しい」と書かれていたという。
《99年の厚労省のくだらないコピーも、投書の「女々しい」も両極端の立場からの取るに足りない見解だ。厚労省が言う「育児」とは何を思い浮かべてのことだったのだろうか。おむつの世話も、沐浴も、子守りも、一緒に遊びもしなかった昔の男親たちは、父とは呼ばないのか。よくもここまで厚労省は女におもねてよいしょを考えていたものだ。逆に、父親が子育てを手伝うことを、女々しい、とはこれまた偉ぶったものだ。たしかに成沢区長のように大上段に振りかぶってするのが子育てとも思わないが。》
男性の育休取得率は08年度でたったの1,23%、女性のそれは9割を超す。ある女性会社員は「男性の育休は仕事に響きますから」ときっぱり。変わらない現実か。
《ひがむことはない、基本的には、太古から概ね動物の世界では子育ては雌がやるもの。人間の子育てが女性に偏るのも、生物学的には強(あなが)ち間違いではないことだ。》
「ちゃんと昇進してますよ」と、大手印刷会社で新しいビジネスの開発部門にいる佐藤伸一は言う。小学4年生の娘(9)が生後6カ月だった01年秋から8カ月間、育休を取った。当時「仕事は30年やる。1年は取り戻せる」と話していた通り、「主任1年、係長1年の最短コース、同期で2番目の課長」になった。次世代育成やワークライフバランスの分野を担当しているという。
成沢区長は言う。「母親の偉大さを実感しましたよ。夜、寝かしつけるのだって、母親の仕上げがいるのだから」。トップに立つ男が、それを身を持って感じたのはうれしい。自然体で仕事と家庭を両立させる区長と佐藤氏はともに44歳。育休から得たものは今後に活かされるだろう。
新党「立ち上がれ日本」結成時の会見で、自称・応援団長は「30代、40代、50代」に不満を述べていた。でも、新しい時代を作ろうとしている人間はいる。
《成沢が、たった2週間そこそこの骨休めのような休暇を取っただけで、母親の偉大さを実感しました、とは思い上がりも甚だしい。母親とは成沢が2週間で体験したことをしていれば済む範囲や程度のものなのか。せめて8カ月間の育休を取った佐藤がいうのならまだ分かる。また、大上段からもの言うような本橋の記事の目線も尊大だ。》
《私の体験から、私の妻は専業主婦であったが、私はいちいち休暇を取らなくても、どんなに仕事が忙しくても乳飲み子の時から、わが子は沐浴もさせたし、おむつの世話、長じて入浴もさせてきた。それに家族の風呂の準備、後始末、トイレの掃除など(これは今でもずっと続いている)やってきた。何もかしこまった育児に取り組んだ思いはない。当たり前に父親を、夫をやってきただけだった。幸い母乳が良く出たので、哺乳瓶での授乳はそれほど多くはなかったが、それもやってきた。男の育休など自慢して取るものじゃないし、取ったからって自慢するものじゃない。》
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