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2010年4月17日 (土)

3/254

 タイトルの数字は一体なんだろう。凡そ1%だけしか合格しなかった日本の看護師国家試験での外国人合格者の合格率を表した数字だ。国内は不景気だ、就職できないといいながら、日本人の多くが比較的楽な一般事務職の方にばかり目を向け、最初から嫌うのが介護の現場だ。その介護の世界で働きたいと遠く海外から来日したけれど、難しい日本語がマスターできず、合格した1%以外の人たちは夢破れて帰国せざるを得ない結果となった。大卒が、高卒がいくら厳しいとは言いながらこれほど厳しい就職難ではなかろう。莫大な国費を使いながら何のための選抜だ、このことについて書こうと思っていた矢先のパソコンのトラブルだった。遅まきながら毎日新聞が15日、『締め出し試験の愚かさ』と題して社説で取り上げた。3月27、4月13日の記事と併せてまとめてみたい。

 3月26日、看護師国家試験の合格者発表があった。経済連携協定(EPA*)に基づき日本の病院で研修していたインドネシア、フィリプン人の計3人が初めて合格した。両国の受験者(254人)の合格率はほぼ1%の狭き門だった。
 受け入れは08年8月のインドネシア人から始まった。これまでに介護福祉士候補者を含めて800人以上が来日し、病院や施設で働きながら合格を目指している。しかし、日本語の壁があり、昨年の看護師試験では全員が不合格だった。

 *・・2国間の経済連携を強化するための協定で、看護師・介護福祉士候補者の受け入れも含まれる。インドネシア人候補者は08年8月から、フィリピン人は09年5月から受け入れ、両国合わせ看護師候補者約360人、介護福祉士候補者約480人が来日した。半年間の日本語研修の後、日本の病院・施設で働きながら資格取得を目指す。介護福祉士は実務経験3年が必要で1回しか受験できない。

《世界でも特にマスターすることが難しいといわる日本語だ。語学の天才ででもなければそう易々と身につくことはないだろう。翻って我が身に置き換えて考えてみれば理解も早い。中・高・大と短くても8年、普通に大学を出るまでの10年間、何%の日本人が英語をマスターできているか。それに後から記すが、横文字にはたやすく置き換える日本語を、現在の大学生では正しく読むこともできないだろう難解な漢字や言葉が理解できないからと、不合格にするとは理解に苦しむ。》

 (4/13)「なるほドリ」から
 外国人の1%は日本人の合格率90%に比べると超難関っだたと言える。試験問題240題はすべてマークシート。「漢字が読めない」「文章の意味がわからない」という日本語力のほか、日本の社会保障制度の勉強など受験対策が不十分だった面もあるようだ。

《昨年合格者ゼロだった経験は何も活かされていない。受験者のレベルが劣っている、勉強不足などを論(あげつら)っているだけでは何年繰り返していても結果はでない。昨年、なぜ1人の合格者もでなかったのか、問題の分析も改善にも手をつけた気配が全く感じられない。日本語の習得に時間がかかるのであれば、来日以前に本国である程度の準備をする機関の設置を呼びかけるとか、ある程度の習得をした者を受け入れるとか、難解な言葉をカタカナでもひらかなでも平明な言葉に置き換えるとか、必要な働き手を募集しているのなら、それなりの努力をするべきだろう。》

 Q これから何度もトライできるのか

 A 看護師候補者は来日から3年以内に合格しなければ、日本で働き続けることはできない。08年8月に来日したインドネシア人の候補者100人は来年が3回目の試験で、最後のチャンスになる。落ちれば帰国しなければなりません。

《ほんとうにそれでいいのか。嫌々連れてきた人たちではなかろう。進んで介護の職に就きたい人たちのはずだ。》

 Q 日本人と同じ試験なんて気の毒だ

 A 来日条件として日本語能力を問わないことや、働きながら国家資格を取るという制度に対しては、当初から「そもそも合格させる気がないのでは」という指摘があった。インドネシア政府の要請もあり、外務省から指示を受けた厚生労働省は「褥瘡 ジョクソウ(床ずれ)」「清拭 セイシキ(体を拭く)」「側臥位 ソクガイ(横向きに寝る)」など難しい言葉の言い換えを検討している。

《受け入れる前の準備段階で検討しておくべき事柄だ。それにも拘わらず、何の方策も持たないとは不合格にするのを楽しんででもいるかのようにさえ思える。》

 Q それだけで合格者は増えるのか

 A これまで試験対策は受け入れ先の病院に任せ勝ちだったが、今年度からは日本語学習支援への予算が増えた。日本語学校への通学や病院への講師派遣など、看護師候補者1人に約12万円が充てられる。政府は受験機会を増やすことや、来日前に一定の日本語能力を求めることも検討している。

《これを俗に『泥棒見て縄』という。》

 Q 母国で看護師だったはずだけど、日本の国家試験にも受からないとだめなのか

 A 日本看護協会によると、海外で看護師として働く人には、ほとんどに国が語学審査もしくは国家試験受験を課している。国家試験は必要としても、不合格で大量の看護師候補者が帰国すれば国際問題になるという危機感も政府にある。来年、最後のテストを受ける人たちの緊急対策と、長期的な体制の整備が同時に求められている。

 EPAの受け入れを巡っては、現場の病院・施設まかせで「日本語支援が不十分」(平野裕子・九州大学准教授)という指摘があった。インドネシアのマルティ・ナタレガワ外相も今年1月、岡田克也外相との会談で「漢字が難しい試験を改善してほしい」と求めているという。

 国は昨年から日本語学習教材の開発や過去の試験の翻訳を始め、2010年度は今年度に比べ10倍の予算(約9億円)が計上された。ただ「褥瘡」など難しい用語の言い換えの検討を初めたばかりだ。安里和晃・京都大准教授(移民政策)は「本国では一定のスキルがあるのに、不合格で無資格のまま大量帰国ということになれば、EPAの制度そのものが問われかねない」と話す。

                ーー 明日につづく ーー

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