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2010年3月16日 (火)

「大学は出たけれど」

 《映画「大学は出たけれど」で、1929年、小津安二郎監督は、昭和初期の大学卒業者の就職率30%という大不況のどん底に喘いでいた経済下、大卒エリートの就職できないで苦労する話をコメディタッチで描いた。》

  毎日新聞(3/15)から、
 就職が決まらなかった学生が、翌年度も就職に有利な「新卒」で就職活動ができるように、卒業要件を満たしても在学させる「希望留年制度」を設ける大学が増えているという。敢えて単位を落として就職浪人するケースは以前からあったが、大学公認の留年制度の広がりは厳しい就職戦線だ。

 青山学院大(東京都渋谷区)は先月末の理事会で、「卒業延期制度」を今春から導入すると決めた。卒業に必要な単位を取得した学生でも、希望すれば留年が可能で、授業料は基本的に半額になる。青山学院広報室は「就職活動の継続などの明確な理由がある場合は有用な準備期間としてもらう」と話している。学生を支援しつつ、授業料で経済的負担が重くならないよう配慮した格好だ。東京工芸大(中野区)や湘南工科大(神奈川県藤沢市)も同様の制度を導入する。

 99年度から導入した立教大(豊島区)や、02年度からの成蹊大(東京都武蔵野市)のように以前から導入していた例や、一昨年のリーマン・ショックで内定取り消しが相次ぎ、特例として実施した明治大(新宿区)もある。文部科学省大学振興課は事前相談があった国立大や私立大の数から類推して、導入した大学は全国で数十に及ぶとみている。同課は「大学設置基準で卒業要件の最低基準を定めており、クリアした学生をどうするかは最終的に大学が決めること。教授が学生を恣意的に留年させるようなことがないよう規則を定めて実施するなら問題はない」と話している。

 大企業が、寝室を優先して採用している実態があり、学生側には「就職浪人」で身分が不安定になるより大学に残った方が有利との思いがある。

 厚生労働省若年者雇用対策室は「不況で学生は大企業志向になりがちだが、中小企業は6割が通年採用しており新卒・既卒にこだわっていない」と説明する。ある大学の就職相談担当者は「今の経済情勢では翌年に内定が出る保証はない。小さな企業でも就職してスキルを身につけてから転職を考える方がよく、希望留年は勧めない。大卒として苦渋の判断です」と話した。

《就職相談担当者の考えが理解できるのは、すでに就職して広く全体が見渡せる立場にいるからだ。これから就職しようとする人たちには目先のことしか見えていない。どれだけ将来有利と思われる職場に就職できるかに血眼だろう。転職の有利さを考える余裕があるわけがない。

《企業側の都合による「内定取り消し組」の留年は、翌年の就職にある程度の自信もあるだろうが、そうでなく就職できなかったレベルの留年は、「翌年度の新卒」との競争になる。企業は優秀な人材を求めている。翌年度の新卒の人材の方が優れていれば、「留年の新卒」の就職の可能性は薄くなる。翌年組と留年組との合計人数で争うことになるからだ。留年して翌年必ず就職できる見込みでもあれば留年もいいが、次の年の採用を保証されているわけではない。これまでに留年制度を導入してきた大学の、留年学生の就職における有利性は表れたのだろうか。留年は、その場しのぎの逃げ道にしかならないように思うのだが。》

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