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2010年3月 8日 (月)

「借金時計」

 先日、どこかのテレビ局も取り上げていた。三重県松坂市長(山中光茂、34歳)が市長選(09年2月)のおり公約の筆頭に掲げた市の債務総額を示す「借金時計」を市庁舎前に設置、昨年9月から動き始めている。山中市長はいう、「子ども手当」的バラマキに未来はない、と。

 毎日新聞(2/25)から、《 》内は私見。
 私(山中市長)は昨年末、「子ども手当の地方負担分を予算計上しない」と記者会見で発言した。多くの市民から「国と市のどちらからお金をもらっても一緒。なぜ松坂市だけ手当をもらえなくなるのか」という意見をいただいた。だが、一方では実際に子育てをしている母親から「子育て環境の整備を優先してほしい。生活が厳しくても将来の負担を真剣に考え、子育ては自分たちで責任を持つ」という趣旨の手紙も数多く届けられた。

 さきの市長選では、公約の筆頭に市の債務総額を示す「借金時計」を市庁舎前に掲げることを記した。そして、昨年9月に字持ち企業から寄贈を受け全国自治体初の「借金時計」が動き始めた。現在の松坂市の借金額は約1300億円だが、今年度は借入額よりも返済額を多くしたため時計の数字は常に減り続けている。誰もが目につく場所に掲示され、市職員は常にその借金額の変化に対し市民への説明責任が生じる。市民の皆さんにも「子どもにツケをまわしたらあかん」という意識を強く生み出す効果が出ていると肌で感じる。

《非常に解りやすい理屈だ。手当を支給されればその分生活の苦しさはいっとき和らぐだろう。しかし、それはすぐに慣れる。そして、次の情けを求めることになる。人間の欲望にはどこまで行っても上限がない。》

 就任後、さまざまな市民生活にかかわる重要案件について行政が判断を確定してから説明会を開くのではなく、議会に諮る前に「市民意見聴取会」を開き、その意見をもとに判断を確定させることにしている。

《市民の総意にもとずいて、ということは「お上(かみ)の言うこと従っておればそれでよい」といった戦前の「上意下達(じょういげだつ)」では民主主義の現在いけないということだ。その反対語が市長のいう市民の声を拾い上げる「下意上達」の市民の責任の伴う民意となる。》

 借金時計を設置して以来、各種意見聴取会で市民の方々から声が出るのは「本当は事業を進めてほしいが、子どもたちの未来のために我慢する」「その事業のかわりに自分たちでできることは努力する」という財政状況に配慮した意見だ。

 その声に基づき、これまで行政が「事業推進ありき」できた案件に見直し・廃止という結論を出し、財政改革につなげる結果を市民の理解の下で生みやすくなった。市民から「やってくれ陳情」を受け事業推進するばかりではなく、次世代のため「やらない覚悟」を示さねばならない時代である。

 松坂市における11年度以降の子ども手当の市民への満額支給は国費、地方負担合わせて約75億円になる見込みだ。一方で、松坂市が10年度すべての分野における政策、投資的経費として計上できる予算額は約30億円。保育園整備や子育て教育環境への投資をはじめ、農業振興、街づくりなどさまざまな予算をその枠内ぎりぎりで対応しているのが現実だ。各自治体は市民の「現実の幸せや痛み」に常に直面する中で、行政への満足度を落とさないようにしながら、財政削減に必死で取り組んでいる。国も地方も次の世代へ大きな借金を抱えるなかで、本当に今優先すべき税金投入先が子ども手当なのか。本来ならもっと地方の現実を国が理解するなかで、国と地方、そして国民を巻き込みしっかり議論して行くことが不可欠である。

《紙くずのような国債でごまかし、消費税も上げることもしないで、選挙公約だから、でバラマキが始まろうとしているが、すでにその財源はおぼつかない現実が見えている。中流生活に慣れた日本人は、苦しい苦しい、と言えばなんとかしてくれた経緯から、甘えることに慣れてしまったが、日本以上に貧富の差の激しいアメリカには子ども手当の制度などない。》

 松坂市は結果として、地域間の不公平などを考慮し子ども手当の10年度予算は計上するが、本来は市民と職員の努力で縮小していた市の財政規模は大幅に拡大する。全国各地で真剣に国民の未来を考える首長と話をする機会が多いが、現在の子ども手当のあり方をよしとする人は誰1人としていないのが現状だ。

 国が厳しい財政状況だからといって「地域主権」という言葉を安易に用い、地方に責任を押し付け、市民へのバラマキを行う政治の方向性は納得できない。

 市民一人一人に「次の世代への責任」を強く感じてもらい、「自分たちでできることは自分たちでする」社会に向かう必要がある。「借金時計」から始まった市民主権の松阪モデルが各自治体に広がるよう、訴え続ける。

《給食費未納分などを子ども手当てから天引きしよう、など不明朗、不公平な考えまで出てきた。このような中途半端な政策には必ず破綻が生じる。いっそ、子ども手当など思い切って「財源がたりません、ごめんなさい」でやめにしたらいい。ひょっとすと、その決断に民主党の支持率は持ち直すかもしれないよ。》

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